「俺はツネの後見人じゃない…」 岡田武史氏に“見限られた”宮本恒靖会長の窮地 アジア杯延期で「森保続投」も完全に裏目…問われるリーダーシップ

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3人の支え

宮本氏がJFAの会長に就任したのは、2024年のこと。誕生には多くのJFA幹部の後押しがあった。事実上、任命したのは田嶋幸三前会長である。同氏は現在JFA名誉会長とともにFIFA、AFCの理事でもある、日本サッカー界の大立者だ。22年3月、田嶋前会長は「会長補佐」というポジションをつくり宮本氏をJFAに呼んだ。そして23年に専務理事に昇格させるなど、自分の後継にするべく引き上げてきたわけだ。

宮本氏は2011年に現役を引退。18年から古巣のJ1・ガンバ大阪からも「幹部候補生」としてトップチームの監督に招聘されたが、4季目の途中で解任された。15歳からガンバのユースチームに所属するクラブにとっては叩き上げの存在だったが、独断で方針を決めるなどしてチームが崩壊したことで、ガンバでは宮本氏の話題はいまもタブーと言われているほど。22年にJFA入りした際、次期会長のポジションはほぼ約束されたのも同然だったが、「監督で成功していない宮本にJFAのトップが務まるはずがない」(代表OB)という声も根強くあった。

しかし、そんな声を抑え込んだのが田嶋体制だ。田嶋氏は就任と同時に、岡田氏を副会長、西野朗氏を強化委員長(後に代表監督)に起用するなどして、この3人でJFAを運営した。西野氏は後に退任したが、宮本会長とは、ガンバで監督と選手だったという間柄。協会に残った岡田氏を含め、この3名が、宮本体制を支持して会長就任が実現した。ちなみに、田嶋前会長は筑波大出身、岡田、西野両氏は早大ア式蹴球部(サッカー部)の同窓という間柄。そして「筑波大」「早大」出身者は今も昔も根強くあるJFAの2大学閥でもある。一方の宮本会長は同志社大学出身で、協会内での基盤が弱い。彼らの支え無しに宮本体制は立ち行かなかった。

「後見人じゃない」

前出のサッカーライターによれば、

「森保監督は、田嶋会長時代に選出された監督で、西野前監督の推薦によるもの。宮本会長は日本代表監督を自分で主導権を取って選んだ人にしたいという思いもあった」

この外国人監督招聘案については、ほぼ宮本会長の独断で行い、副会長である岡田氏にも相談がなく、事後報告だったという。そして【前編】で述べたように、招聘は失敗した。

すると、

「困った宮本会長は、西野さんを頼った。“助言者”という形で、次期監督選考に関与してもらい、結局、森保監督に期限付きで再登板してもらうことになった。その過程で岡田さんにも相談をしたようです。しかし、岡田さんや西野さんにとっては、勝手に森保監督を首にしようとした挙げ句、こじれた関係を取り持ってもらうべく、自分たちにすがってきたと映ったのでしょう。そもそも、岡田さんは森保さんの手腕を高く評価していましたし、西野さんにとっては自分が指名した後継者でもあるわけですから……」

この夏、岡田氏は知人にこう語っている。

「俺はツネの後見人じゃないよ」

「会長選に出る際には、“立候補してくれて良かった”と喜び、宮本氏が配った選挙用のマニュフェストで対談にまで応じていました。ずいぶん変わってしまったものです。岡田さん自身、もう70歳ですし、今治FCの会長や今治明徳学園の学園長も務めるなど忙しい。もう付き合っていられるか、という気持ちになったのでしょう」

財政難と人脈不足

では、重要な「後見人」を失った宮本会長の今後はどうなるのか。

「財政難が一番の気がかりです。JFAは総工費42億円をかけた代表チームのキャンプ施設『JFA夢フィールド』の建設や、女子プロサッカー『WEリーグ』創設に向けての支援金、そしてコロナ禍での全国の地域クラブへの無利子・無担保の融資など巨額出費が相次ぎ、2022年度には49億円の赤字決算となった。その穴埋めとして自社ビル(JFAハウス)を200億円ともされる額で売却しましたが、その入金もすべて終わり、今年度予算では約31億円にものぼる赤字が見込まれています。この立て直しが急務です」(前出・記者)

加えて、人脈の狭さも気にかかる。

「JFAには辞めた岡田氏を除いて2人副会長がいますが、そのうちの1人に、民間企業の現役トップ、西原一将・西原商会社長を呼びました。会長枠としての、宮本会長の一本釣りですが、当の西原副会長自身が“何で俺?”とびっくりしていたほどです」(同)

岡田氏辞任に続き、宮本会長は難題をさらに抱えた。中東情勢の悪化によって、森保監督のラストゲームとなるはずだったアジア杯の開催が、2027年12月〜2028年1月に延期となったのだ。

「これによって、ロス五輪の予選とアジアカップの日程がかぶることになった。五輪とA代表の両方を大岩氏が見ることは極めて困難ですから、どのように対応するのか。森保監督の異例の半年間の任期延長という決定が、もろに裏目に出てしまった格好です。難局打開のために、よりリーダーシップが問われることになりますが、今の宮本会長にこれを乗り切る求心力が果たしてあるのかどうか…」(同)

5日には、JFAの理事会が開催された。会議後に取材に応じた宮本会長は、「岡田さんとは喧嘩別れではない」「『外からツネのことを支えるから』と言っていただいた」と火消しに躍起。しかし、理事会では田嶋名誉会長のFIFA会長選立候補が決まったという。

「インファンティノ会長に対抗する姿勢を鮮明にしたもので、岡田さんの主張に賛同する理事たちによる動きです。宮本会長は完全に蚊帳の外でした」(前出・サッカーライター)

存在感は日に日に薄くなっているようだ。

【前編】では、岡田氏が宮本会長によるA代表「外国人監督招聘案」に不信感を抱いた理由について詳述している。なぜ岡田氏は宮本会長の監督選考に激怒したのか――。

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