「サッカーが24時間頭から離れない」16位と苦しむガンバ大阪・明神智和新監督が明かす“指揮官の孤独”と“もう一度見たい絶景”
J1リーグで現在16位と苦しい戦いが続いているガンバ大阪。ヴィッシング前監督の電撃退任を受け、今夏急きょチームの舵取りを託されたのが、クラブのレジェンドであり、百年構想リーグまでコーチを務めていた明神智和新監督(48)だ。選手時代には3冠達成に貢献し、クラブの歴史を誰よりも知る男が、就任からここまでの「戸惑い」「苦悩」、そしてピッチに立つからこそ味わえる「やりがい」について本音を語った。
「安易に『チャンスはある』と言えない」コーチ時代からの葛藤と変化
「コーチの時も頭の中はかなりサッカーを考えていたつもりでしたけど、監督になると24時間、寝ている時以外は頭からサッカーが離れないですね」
そう苦笑いを浮かべて語る明神監督。クラブをどう良くするか、練習をどう組み立てるか、試合の修正をどう行うか・・・頭の中は常にサッカーで埋め尽くされている。立場が変わったことで最も戸惑いと神経を使っているのが、選手たちとの「距離感」と「言葉選び」だという。
「コーチのときには、試合に出られていない選手に対して『お前は絶対できるからチャンスはあるぞ、頑張れよ』と声をかけられました。でも今、自分はメンバーを使う、使わないを決断する立場です。だからこそ『必ずチャンスが来る』といった安易な言葉はかけられなくなりました。そこは少し気を使うようになりましたね」
プロの世界において、ピッチに立てる11人、ベンチに入る20人以外の選手も含めて全員を幸せにすることは不可能な現実がある。その重責と、時には冷徹な決断を背負うからこそ、かける言葉一つ一つに指揮官としての思いと配慮がにじむ。
結果が出ない苦悩の先にある「絶景」と家族がくれる安らぎ
プロの世界である以上、勝利という結果が出ない時期は当然苦しい。「結果が出ない時は嫌な思いになりますし、常にプレッシャーは感じています」と明神監督は素直な胸の内を明かす。
そんなし烈なプレッシャーの中で、唯一サッカーから頭を離してリラックスできるのが「家族と過ごす時間」だ。子どもと遊んだり一緒にご飯を食べたりする何気ないひとときが、指揮官の心をそっと支えている。
重圧と背中合わせの毎日だが、それを押し切るほどの「最高のやりがい」が監督という仕事にはある。
「勝った瞬間はもちろん嬉しいですし、選手が成長した瞬間や、サポーターが喜んでくれる瞬間は本当に良かったなと感じます」
中でも、勝利した後にスタジアムのゴール裏へ挨拶に向かい、サポーターと選手・スタッフが一つになる瞬間は格別だという。「下からあの景色を見るというのは、なかなか多くの人が経験できるものではないので……まさに『絶景』です。あの瞬間を味わうために試合をやっていますし、サポーターと繋がったと感じる最高の瞬間ですね」
熱き指揮官が胸に秘める決意と自信
現在16位という苦境から脱出し、再びガンバ大阪らしい輝きを取り戻すために、明神監督が目指すサッカーは明確だ。
「より前にプレスに行き、高い位置でボールを奪ってより速く攻める。そこをもう一段ブラッシュアップしていきたいです。ファン・サポーターには試合に来て熱狂してほしいですし、そのためには内容と結果の両方を求めて出していかなければいけないと思っています」
目指す監督像を尋ねると、明神監督は迷いなく力強い言葉を残した。
「勝つ価値観だけでなく、プラスアルファで選手を成長させられる監督になりたい。そして何よりまず結果です」「偉大なチームの指揮を執る責任の重さは十分理解している。でも、自信がなければこの前に座っていません」そう語っていた熱き指揮官。下を向いている暇はない。サポーターと共にあの「絶景」を何度でも分かち合うため、明神ガンバの巻き返しの戦いは、ここから本格化していく。



