【ACLエリート】“警察クラブ”に大型資本――Jリーグ勢が警戒すべきベトナム王者コンアン・ハノイFCとは何者か
AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)でJリーグ勢5クラブ(鹿島、柏、京都、G大阪、神戸)との対戦が決まったベトナム王者のコンアン・ハノイFC。公安省、すなわち警察組織を母体に持つ“警察クラブ”でありながら、ピッチの上ではすでに国内最強クラスの実力を示している。25-26シーズンの国内リーグ(Vリーグ1)では他を寄せ付けない戦いぶりで独走優勝。資本面の強化も進められており、Jリーグ勢としても侮れない相手となるだろう。
ベトナム代表の主力多数
ベトナム代表級のタレントを多く揃える中でも、まず外せないのがMFグエン・クアン・ハイ。同国代表で歴代最多キャップ数を誇るレジェンドで、実績、知名度、勝負強さのいずれを取っても別格の存在だ。フランス2部でのプレー経験も持ち、国際舞台の経験も豊富。卓越した左足の技術、高い戦術眼、そして試合の流れを変える決定力を併せ持ち、Jリーグ勢にとって最優先で封じたい存在になる。
前線では、ベトナム代表で9番を背負うFWグエン・ディン・バックが要注意だ。若さと爆発力を備えたアタッカーで、現在開催中のASEANカップでも5得点を挙げる活躍を見せている(※8月18日時点)。今年には一部の現地メディアでヴィッセル神戸への移籍も噂されたが、その後にコンアン・ハノイFCとの契約延長が発表されている。
外国籍選手にも実力者が多数
さらに厄介なのは、外国籍選手の層の厚さだ。元ファジアーノ岡山のオーストラリア人MFステファン・ムークは、日本サッカーを知る存在であり、強度と運動量、前への推進力を兼ね備える。
新加入ではイラク代表DFフランス・プトロスが守備の軸として注目される。今年の北中米ワールドカップ(W杯)にも出場した実力派で、国際舞台の経験値は十分。さらに元U-20コロンビア代表FWブライアン・ペレアも加わり、前線の迫力を押し上げている。
プレーオフは敵地で豪州アデレードを撃破
コンアン・ハノイFCを“本物”として印象づけたのが、ACLEプレリミナリーステージ(プレーオフ)での戦いだ。ベトナム代表に選出されていた主力選手が複数不在という苦しい条件を抱えながら、敵地オーストラリアでアデレード・ユナイテッドを2-0で撃破。新加入のプトロスやペレアらが存在感を放ち、戦前予想を覆してリーグステージ進出を決めた。Jリーグ勢にとってここで警戒すべきなのは、主力が欠けても勝ち切れる総合力と、新戦力が短期間で機能するチーム設計だろう。固定メンバーへの依存度が低く、複数の勝ち筋を持っている相手は厄介そのものだ。
資本面を強化、ミズノとも契約
加えて、クラブの将来性を押し上げているのが資本面の強化だ。コンアン・ハノイFCは今年5月、ベトナム最大の民間コングロマリットであるビングループとスポンサー契約を締結。公安省を母体とするクラブに、国内最大級の民間資本が合流した構図はインパクト十分で、単年の好調で終わらない継続的な強化の可能性を感じさせる。
さらに、日本のスポーツブランドであるミズノとも2026-29年の戦略的パートナーシップを締結した。ミズノ・ベトナムの発表によれば、これは単なるキット供給契約ではなく、クラブのブランド価値向上、国際市場での存在感拡大、ファンとの結びつき強化までを見据えた協業だという。つまりコンアン・ハノイFCは、戦力補強だけでなくクラブブランドそのものをアジア仕様へと押し上げようとしている段階にある。Jリーグ勢にとっては、今この大会で当たる相手であると同時に、今後さらに規模を拡大していく可能性を持つ新興勢力として見ておくべき存在だ。




