流れ変えた中村敬斗の同点弾、土台はガンバ大阪での練習…オランダの堅守切り裂いた「カットイン」
盟友との「あうんの呼吸」で同点弾
敵陣左深くで久保がボールを持った瞬間、中村の頭にイメージが浮かんだ。ドリブルを仕掛けた技巧派レフティーが相手を引きつけ、ラストパスは自身の足元へ。右に鋭く切り込む得意の「カットイン」からニアサイドにシュートを沈める――。
数秒後、現実となる。試合を振り出しに戻す、値千金の同点弾。世代別の代表時代からともにプレーする盟友のアシストで決めた57分のゴールを、「あうんの呼吸。話していなくても、何となく来るだろうと分かっていた」と爽やかに語った。
欧州の強豪クラブでプレーする名手がそろうオランダ守備陣を切り裂いた「カットイン」。そのテクニックを身につけたのは、G大阪時代だった。U―23(23歳以下)チームの監督だった実好礼忠さんは、類いまれな才能を認める一方で、「とりあえず加速しておけばという感じで、一本調子」と当時を振り返る。
相手とのスペース作るステップで「狙い通りのゴール」
元DFの実好さんは、単純に右に移動するだけでなく、少し相手から遠ざかってスペースを作る技を教え込んだ。右斜め後方にステップを踏むことで生まれたこの日の「狙い通りのゴール」(中村)は、当時の指揮官が「どこにこんなエネルギーがあるんだ」と驚いた練習量が土台にある。
今季はフランスの2部でプレーし、過去にはオーストリア2部も経験した。苦境に置かれても「自分を見失わず、信じてきた」と胸を張れる日々で研ぎ続けた武器が、初めてのW杯で燦然(さんぜん)と光った。



