韓国遠征2戦全敗でも見えた光と課題。U-21日本代表、最大の懸念は塩貝&後藤に代わる“9番”の不在。指揮官が断言「良かったではダメ」【現地発】
遠征先変更がもたらしたモノは?
3月末のインターナショナルマッチウィークの期間を利用し、U-21日本代表は韓国に赴いて親善試合を行なった。
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中東情勢の影響で遠征先がトルコから韓国に変更されたなかで、2028年夏のロサンゼルス五輪をターゲットとする大岩剛監督が率いるチームは、27日にU-21アメリカ代表、29日にU-23韓国代表と対戦。結果は2戦全敗。アメリカには0−2、韓国には1−2で敗れた。
決してネガティブな内容ではないが、振り返る前に触れておかなければならないことがある。今遠征の行き先変更により、メンバー編成に与えた影響と今活動のテーマが変わったことについてだ。
当初の予定通りにトルコ遠征が実施されていれば、A代表組を除いた海外組を可能な限り招集する予定だった。
昨年7月に立ち上がった大岩ジャパンは、過去の活動でベストメンバーを組めたのは昨年11月の英国遠征しかなく、優勝した今年1月のU-23アジアカップもインターナショナルマッチウィーク外の開催で国内組中心の編成。そうした事情も踏まえ、海外組も制限なく呼べる今遠征はフルスペックで招集し、ロス世代の最高基準を示す場にしたい意向を持っていた。
しかし、前述の通り、中東情勢の悪化で遠征先が土壇場で韓国に変更。活動期間も当初の予定よりも短縮され、海外組は韓国までの移動時間と時差を考慮して招集を見送った。そのため、メンバーを再考する必要があり、今回はラージグループの拡大を目ざしたチャレンジングなスカッドとなった。
2月下旬に行われたデンソーカップチャレンジサッカー(大学の地域選抜対抗戦)でアピールに成功したMF岩本悠庵(中京大)、FW小池直矢(法政大/磐田加入内定)、FW福永裕也(京都産業大)を初招集。そのほかにもJの舞台で出場機会を増やしつつある白井亮丞(東京V)、FW鈴木大馳(鳥栖)、CB山田海斗(神戸)も大岩ジャパンのメンバーに初めて加わった。
また、昨年9月のU-23アジアカップ予選を最後に代表から遠ざかっていたMF名和田我空(G大阪)やMF矢田龍之介(筑波大 ※12月末の活動に招集されるもインカレを優先した関係で参加できず)も久々に復帰。1月のU-23アジアカップで優勝を経験した国内組のコアメンバーがいるとはいえ、フレッシュな顔ぶれで韓国に乗り込んだ。
上記の前提条件を踏まえ、ベスト布陣とは言えなかったなかで示した可能性は大きい。アメリカとの初戦はU-23アジアカップ優勝に貢献したGK荒木琉偉(G大阪)、右SB梅木怜(今治)、MF小倉幸成(法政大/岡山入団内定)、FW横山夢樹(C大阪)らがスタートから起用され、攻守で相手と互角以上の試合を展開した。
相手はU-21世代に加え、コロナ禍の影響で活動機会が制限された世代の強化として04年以降に生まれた選手を9名招集。28年夏の自国開催となる五輪に向けての強化は9月以降と見込まれているなか、海外組“0”の日本は、攻守でアグレッシブにプレーしてフィジカル面でもスピード面でも相手に競り負けなかったのは明るい材料だろう。
不発の白井、鈴木、サディキに突きつけられた現実
続く韓国との試合は、スタメン11人を総入れ替え。経験値が浅いメンバーでキックオフを迎えた。
前半終盤に先制点を奪われ、後半開始早々にも失点。それでも試合を通じて年上の相手から主導権を握り、代表経験の浅いメンバーが先発の大半を担ったなかでも怯まずに戦い抜いた。
韓国は優勝すれば兵役免除となる今秋のアジア競技大会に向けて強化を進めており、海外組8名を招集するなど本気モードの布陣。そうした状況下で日本はアンカーの岩本、左ウイングの小池、右ウイングの福永といった初招集組がアピールし、一定のパフォーマンスを見せたのは評価すべきだ。
だが、結果は連敗。その現実から目を背けてはならない。何より、ロス五輪はもちろん、その先に個々の選手がA代表入りを目ざすのであれば、この2連戦のパフォーマンスに満足してはいけないのだ。大岩監督は言う。
「良かったではダメなんです。もちろん、初めて招集された選手は良いプレーをして嬉しいかもしれない。でも、喜んでいてはいけないんです。私たちが求めるところはアグレッシブに戦うこと、攻守の切り替え、球際の攻防は当たり前にやる。もうそれを求めるレベルではないので。我々のグループは。
そういうものを次の活動で見せて欲しいし、この悔しさを私たちは絶対に忘れない。私だって、負けたことは悔しくてたまらない。それは選手にも伝えて、もっと上を見て彼らに求めていきたい」
特にセンターフォワードは満足のいかない出来だった。もともとロス世代は最前線に多くのタレントを擁しており、韓国遠征と同じタイミングで行なわれたA代表の英国遠征にFW後藤啓介(シント=トロイデン)とFW塩貝健人(ヴォルフスブルク)が参加。海外組で今回の遠征に招集できなかったが、FW貴田遼河(アルヘンティノス)もアルゼンチンリーグで結果を残しつつある。
そのほかにも同時期のU-19代表に参加していたFW徳田誉(鹿島)、FW高岡伶颯(ヴァランシエンヌ)、FW神代慶人(フランクフルト)といった有望株が控えており、タレントには枚挙にいとまがない。
だが、現時点でJリーグ組や大学生組では、圧倒的な数字を残しているストライカーがいない。インターナショナルマッチウィーク外に開催される可能性が高いU-23アジアカップ(五輪の最終予選)や五輪本大会を考慮すれば、国内組からひとりでも多くのストライカーが台頭することが望ましい。
継続して招集されてきたFWンワディケ・ウチェブライアン世雄(桐蔭横浜大)がコンディション不良により不参加となった今遠征は、代わって追加招集されたワッド・モハメッド・サディキ(岐阜)に加え、白井、鈴木にとっては大きなチャンス。もし海外組が招集されていれば、メンバーに入っていなかった可能性が高く、羽田憲司コーチも「(核がいないから)ストライカーがアピールをしてほしい」と話していた。
しかし、結果はいずれも不発。絶対に生き残るというギラギラした感じはなく、どちらかと言えばプレーは遠慮がち。能力云々の前に代表でポジションを掴み取る心構えが足りていなかったように見えた。もちろん、本人は意気込みを持って代表にやってきただろうが、物足りないのは明らかだった。
初招集組は及第点のプレーでスタートラインに立った選手は多かったが、ストライカーのポジションである“9番”の出来に関して不満が残る。そうした課題を踏まえ、選手たちはどのような変化を見せるのか。次回の活動は6月。ロス五輪をターゲットする選手たちの変化に期待したい。



