2026年J1補強診断! 百年構想リーグ開幕直前「補強成功」の7クラブは?
W杯イヤーとなる2026年は秋春制移行前の特別なシーズン「百年構想リーグ」が行われる。すでに各クラブがトレーニングキャンプを実施して2月6日の新シーズン開幕へ準備を進める中、現時点(1月21日現在)で「補強成功」と言えるクラブはどこになるのだろうか。
* * *
まず、昨季の上位陣の中で注目したいのが、昨季4位のサンフレッチェ広島だ。
4年続いたミヒャエル・スキッベ体制から新たに38歳のバルトシュ・ガウル新監督を迎えた今季、海外移籍した田中聡の穴埋めに松本泰志(←浦和レッズ)を呼び戻す形で獲得し、シャドーの小原基樹(←アルビレックス新潟)、左WBの志知孝明(←アビスパ福岡)をレンタル復帰させた。
そして新たなエース候補として、今オフの目玉の一人だった鈴木章斗(←湘南ベルマーレ)の獲得に成功したことが大きい。現在22歳、過去2シーズンで公式戦通算83試合出場で25得点をマークして“和製ベンゼマ”とも謳われる万能ストライカーは、新チーム発足後の実戦で早くも巧みなポストプレーを披露して適応能力の高さも見せている。
主力の多くが残留した点も大きく、今後、新たな外国人補強が叶えば、戦力はさらに充実する。
同じく新監督としてミハイロ・ペトロヴィッチ氏を招聘した名古屋グランパスは、昨季16位と低迷したチームからの大幅な戦力アップが期待できる。
主力をほぼ残留させた上で、昨季2位躍進した柏の一翼を担った小屋松知哉(←柏レイソル)、ボランチながら昨季J2で10得点をマークした高嶺朋樹(←北海道コンサドーレ札幌)、昨季J2で17得点を挙げたマルクス・ヴィニシウス(←FC今治)と飛車角級の人材の獲得に成功したのだ。
レンタル復帰した甲田英將(←愛媛FC)、宮大樹(←北海道コンサドーレ札幌)も戦力として計算でき、選手層も厚みを増している。“ミシャ式”の戦術浸透が課題になるが、マンツーマン戦術とダイナミズム、攻撃的なサッカーを展開できる陣容が揃っていると言える。
長谷部茂利体制1年目の昨季は8位に甘んじた川崎フロンターレも、今オフの積極的な補強が目立った。
左SBの山原怜音(←清水エスパルス)、サイドアタッカーの紺野和也(←アビスパ福岡)、さらにGKスベンド・ブローダーセン(←ファジアーノ岡山)と実力&実績十分の面々をチームに加え、さらに争奪戦の末にCB谷口栄斗(←東京ヴェルディ)の獲得にも成功している。
昨季の主力ではファン・ウェルメスケルケン際、さらに功労者のGKチョン・ソンリョン、 DFジェジエウも退団したが、MF山市秀翔(←早稲田大)、FW持山匡佑(←中央大)、MF長璃喜(←昌平高)の魅力たっぷりの新人たちも加わっている。戦力値は上がったはずだ。
松橋力蔵監督2年目を迎えたFC東京も確実に戦力アップに成功した。
昨季は3バックが機能せずに低迷するも4バックに変更した後半戦に巻き返しての11位。そのチームからマルセロ・ヒアンと長倉幹樹の前線2人をレンタルから完全移籍に移行させることに成功した上で、魔法の左足を持つ山田楓喜(←京都サンガF.C.)を獲得し、CB稲村隼翔(←セルティック)、左SB橋本健人(←アルビレックス新潟)、GK田中颯(←徳島ヴォルティス)らを加えた。
そしてレンタル移籍先で大ブレイクした佐藤龍之介(←ファジアーノ岡山)を無事、呼び戻したことが“大補強”。攻守に力強さを増してA代表にも選出された19歳が、ユースから昇格した4人とともに東京の新時代の旗手になれるか。百年構想リーグで結果を残したい。
ダニエル・ポヤトス監督に別れを告げ、38歳のイェンス・ヴィッシング監督を迎えたガンバ大阪も好印象だ。
ファン・アラーノ、黒川圭介が退団したが、満田誠の完全移籍移行に成功。そして守備面での貢献度も高い万能ストライカーの植田朝日(←横浜F・マリノス)を獲得し、中野伸哉(←湘南ベルマーレ)、中村仁郎(←FC岐阜)、唐山翔自(←東京ヴェルディ)をレンタル復帰させた。
池谷銀次郎(←筑波大)、吉原優輝(←拓殖大)の即戦力の大学生コンビに加え、ユースからも才能豊かな4人が昇格。大型補強とは言えないかもしれないが、新監督とともにチームはフレッシュな空気に包まれており、サポーターの期待も高まっている。
アーサー・パパス監督2年目のシーズンとなるセレッソ大阪は、ラファエル・ハットン、高橋仁胡、西尾隆矢、進藤亮佑がチームを離れたが、身長190cmの大型FW櫻川ソロモン(←横浜FC)、スピード豊かなドリブラー・横山夢樹(←FC今治)に加え、鷹啄トラビス(←水戸ホーリーホック)、田中隼人(←柏レイソル)のCB、そして元日本代表GK中村航輔(←元ポルティモネンセ)を獲得した。
レンタル復帰した石渡ネルソン(←いわきFC)、大迫塁(←SC相模原)、大卒ルーキーの金本毅騎(←阪南大)も楽しみだ。昨季18得点を挙げたハットンとはタイプの異なる櫻川が機能するかどうかで評価が分かれることになりそうだが、期待を持てる陣容となっている。
そして、V・ファーレン長崎だ。8年ぶりのJ1昇格を果たした中、エジガル・ジュニオ、フアンマ・デルガドの外国人選手が退団したが、それ以外の主力はほぼ残留。
そして高い得点能力を持つチアゴ・サンタナ(←浦和レッズ)、優れた技術と得点力を併せ持つ長谷川元希(←アルビレックス新潟)、スピード&運動量でサイドを活性化させる岩崎悠人(←アビスパ福岡)と名のある実力者を獲得した。
GK波多野豪(←FC東京)、 DF進藤亮佑(←セレッソ大阪)の2人、FW洪怜鎭(←法政大)、MF鍋島暖歩(←東洋大)、 DF佐々木奈琉(←早稲田大)の新人たちも選手層をアップさせられる存在だ。
その上で“サプライズ”となったのが、26歳のジャマイカ代表の快速ウインガー、ノーマン・キャンベル(←ラナースFC)だ。日本の環境に順応できるかどうかが鍵になるが、時速37.2キロを記録した爆発的なスピードで大暴れする可能性を秘める。
その他、乾貴士(清水エスパルス→ヴィッセル神戸)、汰木康也(ヴィッセル神戸→柏レイソル)、パク・スンウク(浦項スティーラース→清水エスパルス)、レナート・モーザー(コリングIF→ファジアーノ岡山)らが注目の移籍選手たち。
移籍期間は4月8日まで設けられており、今後の追加での選手補強によって「成功」と言えるチームが出てくるはず。引き続き、移籍市場の動向とともに、「新戦力」たちのチームへの順応度にも注視したい。
(文・三和直樹)
三和直樹/1979年生まれ。大阪府出身。スポーツ紙記者として、主にサッカー(G大阪、C大阪など)を担当。プロ野球やラグビー、マラソンなども取材した。野球専門誌の編集兼ライターとして活動後、現在はフリーランスとして執筆を続ける。近鉄バファローズ&スペイン代表ファン。シニアサッカーでFW&CBとしてプレー中。



