激白(1)日本代表MF中村敬斗が明かす2部降格と2026年の目標、「苦しかった」3つの経験を乗り越えて「決めた!」キャリア一番のゴラッソ
■日本人選手として「最多」の11得点
サッカー日本代表、そしてフランスのスタッド・ランスでプレーする中村敬斗。2025年は、彼のサッカー人生にとって、まさに“天国と地獄”を味わう激動の1年だった。
■【現地フォト】S・ランス中村敬斗「キャリア一番のゴラッソ」を放つ瞬間!
2024-25シーズン、フランスのトップリーグであるリーグ・アンで、日本人選手としてシーズン最多となる11得点を記録。ヨーロッパ5大リーグ(イングランド・ドイツ・スペイン・フランス・イタリア)で日本人選手として初となる2ケタ得点を達成し、5試合連続ゴールという新記録も樹立するなど、キャリアにおいて最高の輝きを放った。
だが、その一方で、チームはクープ・ドゥ・フランス(フランス・カップ)決勝で敗れ、リーグ戦では終盤に失速。リーグ・ドゥ(2部リーグ)へ降格するという悪夢を経験する。
さらに夏の移籍市場では騒動に巻き込まれ、ストーカー被害に遭うなど、ピッチ外でも苦難が続いた。それでも彼は不屈の精神で前を向き、新シーズンを2部で迎えたスタッド・ランスでエースとして躍動。日本代表としてもブラジル戦、ボリビア戦で貴重なゴールを決め、その存在価値を改めて証明した。
栄光と挫折、その両方を味わった25歳のアタッカーは今、何を思うのか。目前に迫った2026年北中米ワールドカップへの思い、そして未来への展望を、彼自身の言葉で語ってもらった。(全3回/第1回)
■「悔やんでも悔やみきれない」最後の3連敗
2024-25シーズン、個人としては最高の記録を残すことができましたが、チームが2部へ降格してしまったことについては、本当に悔しい思いでいっぱいです。
降格が決まったとき、「仕方ない」という気持ちもありました。特に、冬の移籍市場で2人の中心選手がチームを去ってから、なかなか勝てなくなったのは事実です。勝てるはずの試合で勝ち点を落とすことも多かった。
でも、一番の要因は、最後の3試合で3連敗してしまったこと。あそこで勝ち点1でも取れていれば、僕たちは残留できていたはずなんです。
いま振り返っても、あの3連敗が本当に痛かった。無理に攻めなくても、しっかりと引いて守っていれば、勝ち点1は取れたかもしれない。そう思うと、悔やんでも悔やみきれません。
■「サッカー人生で腐ったことは一度もない」
降格が決まり、夏の移籍市場が開くと、僕の周りは一気に騒がしくなりました。最終的にスタッド・ランスに残ることになったのですが、正直に言うと、その決断が下されたときの心境は、決してポジティブなものではありませんでした。
もちろん、いまはランスで楽しくプレーしていますし、この経験もプラスに捉えられています。でも、当時は本当に苦しかった。移籍騒動だけでなく、プライベートではストーカー被害にも遭い、精神的に厳しい時間を過ごしました。
2025年を振り返って、印象に残っている出来事は何かと聞かれれば、日本がワールドカップ出場を決めた3月の試合のこと、そしてチームの降格が決まった5月の試合のこと。それから、このランスに残ることになった日のことですね。はっきりと記憶に残っています。
これまで、僕はサッカー人生で「腐った」ことは一度もありません。ベルギーで試合に出られず、ベンチ外が続いたときでさえ、投げやりになることはありませんでした。だから、今回の騒動があったからといって、僕のサッカーに対する情熱が消えることはありませんでした。
スタッド・ランスの心強い兄貴分であり、日本代表の先輩でもある伊東純也選手もチームを離れ、ベルギー1部ヘンクへと移籍しました。僕自身も移籍騒動などで、一人でトレーニングを続けなければならない時期もありましたが、自分にできることを黙々と続けていました。
■ワールドカップ前の目標「監督に報いたい」
2部リーグで迎えた新シーズン、僕は出場13試合で7得点2アシストという結果を残せています(2026年1月13日時点。現地時間1月17日に行われたリーグ・ドゥ第19節のトロワAC戦で今季8ゴール目となるヘディング弾を記録)。
チームに帰ってきて、すぐに活躍できるものなのか、2部のレベルがどういうものなのか、正直わからなかった部分はありました。でも、実際にプレーしてみて、「もっといけるな」という手応えを感じています。
数字だけ見れば悪くない結果かもしれませんが、僕自身は「もうちょっと行きたかったな」というのが本音です。アシストも、あと1つか2つは伸ばせたはず。常に上を目指す気持ちに変わりはありません。
昨年12月8日のラヴァル戦で決めたゴールは、自分でも「間違いなく、スタッド・ランスに入ってからのベストゴール。キャリアでも一番のゴラッソ」だと思っています。中央でボールを受けて、少し右へ運んだとき、目の前にスペースが空いているのが見えました。そして前を向いたら、相手が来ていなかったので、迷わずに振り抜いた。ゴールまで約25メートル。思い切り体をひねって放ったシュートは、自分でも良い感触でした。キーパーがほとんど動けずにボールがネットに突き刺さったのを見たときは、本当にうれしかったですね。
今年の目標は、もちろんワールドカップに出場することです。でも、その前に、スタッド・ランスでの目標があります。それは、チームをフランス1部であるリーグ・アンに昇格させること。これはチーム全員の目標ですし、僕個人の将来の目標である「ビッグクラブへ移籍する」ためにも、絶対に成し遂げなければならないことです。
2部の中堅チームにいる選手よりも、1部昇格を成し遂げたチームで得点を量産している選手のほうが、間違いなく評価は高くなります。今の監督とは、とても良い関係を築けていて、僕が近い将来、チームを去るであろうことも理解してくれています。だからこそ、お世話になった監督に報いるためにも、このチームをリーグ・アンに上げたい。その気持ちは非常に強いです。
中村 敬斗(なかむら けいと)。2000年7月28日生まれ、千葉県我孫子市出身。身長180cm。ポジションはフォワード、ミッドフィールダー。三菱養和SCユースを経て、2018年にガンバ大阪でプロキャリアをスタート。その後、FCトゥウェンテ(オランダ)、シント=トロイデンVV(ベルギー)、LASKリンツ(オーストリア)など欧州のクラブを渡り歩き、2023年夏からフランスのスタッド・ランスに所属。2024-25シーズンにはリーグ・アンで日本人選手最多となる11得点を記録。各年代別の日本代表に選出され、2023年3月にA代表デビューを果たした。日本代表としては通算22試合出場10得点を記録している(2025年11月時点)。



