元日本代表FWの播戸竜二氏が異例の決断 J昇格を目指し奈良で関西1部の新クラブ社長に就任

元サッカー日本代表FWの播戸竜二氏(46)がJリーグ昇格を目指し、新クラブの社長に就任することが1日、分かった。奈良・生駒市に拠点を置く関西1部リーグのヴェラーゴ生駒を引き継ぐ形で「IKOMA FC奈良」が誕生し、J通算109得点をマークした元代表が異例のクラブ経営に乗り出す。最短28-29年のJ加盟を目指し、近く正式発表される。

【写真】G大阪時代の播戸竜二氏

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兵庫・姫路市出身で現役時代はG大阪や神戸、日本代表で活躍した播戸氏が、異例の挑戦を決断した。関西1部の新クラブの社長に就任し、J1から数えれば5番目の地域リーグから、JFLを経てJリーグ昇格を目指す。

人口約11万人の生駒市は奈良県北西部に位置し、大阪市や奈良市のベッドタウンとしても有名。そこに拠点を置く関西1部ヴェラーゴ生駒を引き継ぐ形で、新クラブのIKOMA FC奈良が誕生する。複数の関係者が尽力、調整を行い、打診を受けた播戸氏の社長就任が内定。近く正式発表できる段階に入った。

ストライカーとしてJ1通算325試合87得点の実績を残した播戸氏は、闘志あふれるプレーでJ2、J3を含めてのべ8クラブ、J通算では396試合109得点をマーク。G大阪へは練習生契約で入団し、オシム監督時代には日本代表に選出された。その成功体験を、自身初のクラブ経営にも生かす。

現役中に自身のマネジメント会社を立ち上げ、将来はJクラブの社長就任を目標に掲げ、今回はその第1歩になる。19年9月の引退後は経済界との人脈をつくり、Jリーグ初代チェアマンや日本サッカー協会会長だった川淵三郎氏、元日本代表監督の岡田武史氏(現J2今治代表)らとの交流を通じ、マネジメントも学んできた。

一方でJリーグ特任理事、日本サッカー協会アスリート委員会委員、WEリーグ理事など歴任。現在Jリーグ選手OB会副会長を務め、さまざまな角度から発展の一助を担った。

現在のヴェラーゴ生駒は、アマチュアチームとして関西1部に所属。10月に閉幕した今季、全8チーム中6位(3勝7分け4敗)だった。最短28-29年のJリーグ加盟へ、新クラブではまずチーム強化が大きなテーマになる。

同時にJリーグ百年構想にあるように、さまざまなスポーツ、芸術・文化の場を地域や市民に提供し、交流できる総合型地域スポーツクラブにする計画もある。不屈の闘魂でサッカー界を発展させてきた若き46歳の新社長が、地元関西で大きな野望を持ってクラブのトップに立つ。

◆播戸竜二(ばんど・りゅうじ)1979年(昭54)8月2日、兵庫・姫路市生まれ。琴丘高から練習生で98年G大阪入り。小野伸二らと「黄金世代」で臨んだ99年ワールドユース選手権(現U-20W杯)で準優勝。札幌、神戸を経て、G大阪での06年に日本代表デビュー(国際Aマッチ通算7試合2得点)。08年ACL、天皇杯優勝に貢献。C大阪、鳥栖、大宮、琉球を経て19年9月に引退。引退後はNHKなどで解説を行い、民放ラジオやテレビでレギュラー番組も持つ。21年に松坂桃李主演の映画「孤狼の血LEVEL2」で俳優デビュー。171センチ、67キロ。

◆元JリーガーのJクラブ社長就任 草分け的存在が札幌の社長になった野々村良和氏(現Jリーグチェアマン)。元代表の森島寛晃氏はC大阪で社長を経て会長に、細貝萌氏は群馬で社長に。播戸氏のように地域リーグの新クラブでの社長就任は珍しいパターン。

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