12秒で4回ハンドの可能性…鹿島vsG大阪の最終盤PKで審判団が好連係「コミュニケーションを取って正しくチェックできた」

日本サッカー協会(JFA)審判委員会は12日、都内でメディア向けのレフェリーブリーフィングを開催した。鹿島アントラーズがJ1第33節のガンバ大阪戦で最終盤にPKを獲得した場面について、一連のプレーで両チーム合わせて4つのハンドの可能性があったことを示しながら「レフェリーがVARとちゃんとコミュニケーションを取って正しくチェックできた」と審判団を評価した。

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スコアレスで迎えたこの試合の後半45+1分、右サイドから攻め込む鹿島のMF松村優太のクロスが相手MF黒川圭介の左手に直撃。ただプレーが続いてDF濃野公人がこぼれ球を拾うと、対応したG大阪DF福岡将太のクリアが濃野の左手に当たり、もう一度福岡が蹴ったボールも濃野の左手に当たった。なおもプレーが続いて鹿島がセカンドボールを拾う。今度はDF津久井佳祐がクロスを上げるとMF満田誠の左手に当たり、ここで満田のハンドとして鹿島にPKが与えられた。

12秒間で4つのハンドの可能性が発生する珍しいシーン。2分ほどVARチェックが行われた結果、最終的に満田のハンドによるPKで確定した。なおこのPKはGK一森純がFW徳田誉のキックをセーブし、0-0のまま試合終了となった。

佐藤隆治JFA審判マネジャーは「時間帯を見てもこのPKが試合結果に大きく影響する判定。チェックには時間がかかったが、VARはより慎重に正しく確認をしてくれた」と総括した。同氏によると黒川にボールが当たった直後から、VARはハンドの可能性で映像を確認していたという。その最中に主審が満田のハンドを取ったためPKになったシーンを優先してチェック。佐藤氏も「ボールの軌道に手を残している」と説明するようにハンドの反則で問題ないことを確認した。

その上でVARは、直前に濃野が2回ハンドをした可能性があることから当該事象の確認に移った。主審は濃野の手にボールが当たったことを把握しており、ノーハンドと判定したことをVARに伝達。FW宇佐美貴史からも濃野のハンドをアピールする声があったといい、山本雄大主審は把握していることを伝えながらVARがチェックしていると説明した。

VARは映像を見て1回目は体から広がっているものでも、意図的に触れたものでもないためノーハンドと判断した。2回目についても手の広がり具合や非常に距離が近く予期できない状況からノーハンドの判定を支持。JFA審判委もそれぞれの判定を支持した。

その一方、佐藤氏は黒川のハンド疑惑について「ハンドの反則。左手が(体の幅から)出ている」と見解を述べ、濃野のハンドで満田のハンドによるPKを取り消していた場合でも、一番最初に発生した黒川のハンドを取って結果的に鹿島にPKが与えられたことを示した。その場合、主審はオンフィールド・レビューで濃野のハンド疑惑を確認し、その後に黒川のハンド疑惑を確認する流れになる。

佐藤氏は一連の判定について「レフェリーが(濃野の)ハンドの可能性があるという情報をきっちりとVARに伝えて確認した」と述べ、適切な情報提供により見落としが起きなかったことを称賛した。

「今シーズンうまくいかなかった判定を振り返ると、ピッチ上のレフェリーは反則があったのではという疑念を持ちつつもVARが当然チェックしてくれるだろう(と考えて情報を伝えなかった)ということで正しく確認できなかったシーンがあった。そういった意味では基本的なことかもしれないけれど、レフェリーがVARとちゃんとコミュニケーションを取って正しくチェックできたことはよかった」

また、VARが確認している間はAVARが主審と情報を共有したりピッチ上での出来事をVARに伝えたりする役割を担うため、「VARは一個一個丁寧にジャッジをし、AVARがきちんとコミュニケーションを取った」と佐藤氏。黒川のハンドチェック中に発生した満田のハンドと濃野の2回のハンドの可能性も見落とさずに確認できたことについて、VARルーム内での適切な連係が正しい判定に繋がったことを示した。

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