【セルジオ越後の天国と地獄】パトリックの帰化は大歓迎! 協会とJリーグが『帰化サポートプログラム』を立ち上げたら、僕は全力でバックアップするよ SOCCER DIGEST Web 1月15日(金)17時23分配信

「僕としては、パトリックに限らず、帰化選手が増えるのは大賛成」

 ガンバ大阪のブラジル人FW、パトリックが日本への帰化を希望するというニュースが話題になっているね。日本国籍を取得し、日本代表としてロシア・ワールドカップに出場というシナリオかな。僕としては、この件をすごく好意的に受け止めているよ。

帰化は過去に何度もあったし、決して珍しい話ではない。日本が初出場した98年フランス・ワールドカップでは呂比須 ワグナー、02年日韓大会と06年ドイツ大会では三都主アレサンドロ、10年南アフリカ大会では田中マルクス闘莉王。もっと遡れば、ネルソン吉村、ジョー ジ与那城、ラモス瑠偉らがいるよね。

唯一、14年のブラジル大会では帰化選手が出場しなかったけど、それまでのワールドカップでは帰化選手が必ず日本代表にいた。そう考えると、ロシア大会に帰化選手がいても不思議はないよ。

僕としては、パトリックに限らず、帰化選手が増えるのは大賛成だね。この前のラグビー・ワールドカップを見ても分かるように、外国出身選手が日本の躍進 に貢献していた。ラグビーは代表資格に国籍という条件がないから、サッカーとは条件が大きく異なるけど、それでも「日本サッカーの強化」という意味では参 考になる話だよ。

例えば、日本サッカー協会とJリーグがタッグを組んで、『帰化サポートプログラム』というのを立ち上げたりしたら面白いよね。様々な面でグローバル化が進むなか、日本サッカーも改革に乗り出さないと、世界の潮流から取り残されちゃうよ。

サッカー協会やJリーグがそうしたプログラムに取り組んで、帰化選手のサポートに本腰を入れるならば、僕は全力でバックアップしたいと思っている。

今は日本代表を「国内組」と「海外組」とカテゴライズしているけど、そこに「帰化組」が加わる日が来るかもしれない。逆に日本人が他国に帰化して、他国代表として出場するようになれば、『日本人』というブランドがサッカー界で確固たる地位を築いた証拠になると思う。

「Jリーグに関しては、“永住権”を有する選手は、『外国籍枠』から外すルールを設けたらどうだろうか」

 Jリーグに関して言えば、“永住権”を有する選手は、『外国籍枠』から外すというルールを設けたらどうだろうか。

国籍とはまた別の話で、僕も取得した永住権とは、日本に住むことを国から許可された証。プロ野球では、外国籍選手であっても、「特別永住権」を有していれば『外国籍枠』に含まれない。

サッカー界に話を戻すと、EU加盟国の欧州リーグでは“市民権”を上手く利用している。まずEU加盟国の選手は、他国でプレーしても『外国籍枠』に含ま ない。また南米やアフリカなどEU圏外の選手でも、長期居住やEU圏の人との結婚、血縁関係などによって市民権を取得すれば、『外国籍枠』に含まないこと になっているリーグが多い。

法律も絡む話とはいえ、Jリーグも同じようになれば面白くなるよね。よく「外国籍選手が多く出場すると、日本人の出場機会が減る」という話もある。

一面ではそのとおりだけど、逆にハイレベルな競争が日常化し、日本サッカーのレベルアップにつながるはずだよ。海外から人の出入りも活発になり、競争が激化すれば、サッカーの質も自ずと高まっていく。

Jリーグ史を紐解けば、帰化選手の在籍経験があるヴェルディ川崎(現・東京V)、清水エスパルス、浦和レッズ、名古屋グランパスなどは、タイトルを獲得したシーズンには必ずと言っていいほど帰化選手が活躍している。

帰化選手と外国籍選手をフル活用すれば戦力は充実するし、それ相応の結果を残しているよね。これは決して偶然ではないだろうし、Jリーグの『外国籍枠緩和』はもっと議論してほしいよ。

「U-23代表は白星発進したけど、初戦の内容を見る限り、『オリンピック本選に出るようなチームではない』と感じたよ」

 話は変わるけど、カタールのドーハでリオデジャネイロ五輪アジア最終予選(兼アジアU-23選手権)が開幕して、U-23日本代表はグループリーグ初戦で北朝鮮に1-0と辛勝したね。

白星発進という結果は素直に称賛したい。ただ内容を見る限り、悪いけれど、「オリンピック本選に出るようなチームではない」と感じてしまったよ。パスは つながらないし、守備でもクリアばかり。試合後、手倉森監督が「(今後)これよりもひどい試合をやるはずがない」と言っていたようだけど、それぐらい試合 内容は低調だった。

攻撃のバリエーションや1試合を通じての内容は、北朝鮮のほうが上回っていたよ。日本から勝利への気迫は伝わってきたけれど、内容は褒められるものじゃ なかった。これからレベルの高い相手と対戦した時、今のままでは苦戦必至だろうね。そういう意味で、内容が悪いながらも勝利したのは大きかったけど、攻守 両面の課題が多く目に付いたよ。

期待された南野のパフォーマンスはパッとしなかったし、個々のプレーもどこか硬く、落ち着きを欠いていた。相手の猛攻に押し込まれる形で、日本のファウ ルも多かったね。戦前の予想どおりに苦戦した感は否めないね。少なくとも、“アジアの横綱”というサッカーではなかった。

これまで日本は5大会連続で五輪本選に出場したけど、今回出場権の獲得に失敗したら、2020年の東京五輪に向けて不安が一気に膨らむ。それは裏を返せば、ここ数年の選手育成に「失敗」の烙印が押されるということ。

今のU-23日本代表を見て思うのは、チームにも選手にも「華がない」ということ。メディアも必死になってネタを探しているけれど、いまひとつ注目度が上がらないよね。こういう状態だと、選手の名前も憶えづらいんじゃないかな。

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