「ステップアップするためにここにいる」ベルギー2年目の22歳日本人FWが充実の躍動!STVV谷口の股を抜くアシストには「いやいや、狙ってません」【現地発】
ウェステルローを6位に押し上げるハイパフォーマンス
シント・トロイデン(STVV)は開幕戦から4勝2分けと好調でベルギー1部リーグ2位に付けている。そんな“今季の驚き”に対し、ウェステルローは9月14日、3-0で完勝した。
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攻守がしっかり噛み合ったウェステルロー。試合後の記者会見で、シャライ監督は先の移籍市場でFC東京から加入したDF木村誠二のことを褒め称えた。
「誠二はチームのDFにスピードを加えてくれました。すぐにチームに適合した、インテリジェントな選手です。今、彼は英語の勉強に取り組んでいます。来た当初は、コミュニケーションを取るのに少し難があったのは当然のこと。そのなかで、しっかり進歩を示しています」(シャライ監督)
攻めでは今年1月に加入したFW坂本一彩が39分、ナチョ・フェリの決めた先制ゴールを見事にアシストし、結果を残した。タックルに来たDF谷口彰悟の股の間を通した技ありのラストパス。これは狙い通りだったのか?
「いやいや、あれは狙ってませんでした。谷口選手の足が思ったより伸びてきて、(谷口が)逆を突かれたというか。だから狙ったわけじゃないんです」
この日の坂本は78分間に渡ってシャドーストライカーのようにプレー。長身FWフェリをやや後ろからサポートするポジションを取りながら、衛星のように動き回ってSTVVの守備網を撹乱した。
今季のウェステルローは開幕戦でアンデルレヒトに2-5の完敗を喫したが、その後は調子を上げていき、現在6位と上位圏に付けている。その要因を坂本はこう語る。
「開幕戦はちょっと統一感がなく、自分たちのやりたいことがまとまってなかった。だんだんチームが良くなってきたと感じています。守備の面でも攻撃の面でも、意思統一がはっきりしたことが、現在の結果につながっていると思います」
STVV戦のアシストシーンでも明らかなように、坂本は今季から加わったフェリとの連携を高めている。
「『ビルドアップの時にロングボールを蹴るので、そこで90番の選手(フェリ)がボールを収めて、その周りを自分が(活用する)という関係性を築け』と言われていて、それがうまくいっていると思います。今日も僕がアシストして、彼がゴールを決めたという、いい関係性がありました。彼とのやりやすさを感じています」
「ぜひ、プレーオフ1に出て、やってみたいですね」
第4節のセルクル・ブルージュ戦(1-4の敗戦)の後半からピッチに立ち、その後、アントワープ戦(2-0の勝利)と今回のSTVV戦ではフル出場して連続クリーンシートに貢献する木村は、坂本にいい影響を与えている。
「日本人が入ったことは自分にとって心強いことです。日本人同士ということで、ビルドアップで分かり合えることがある。縦パスをもらうことだったり、誠二くんが入ってきたことによるやりやすさがあります」
1月、ガンバ大阪からウェステルローに移籍した坂本は6ゴール・2アシストという上々の成績で最初の半シーズンを終えた。今季はここまで2ゴール・1アシストだ。
「自分としてはもっと(数字を)求めたいところですけれど、焦ってもしょうがない。でも6試合で2点という結果は(シーズンの)入りとしていいんじゃないかと思います」
ウェステルローでの2季目を飛躍の年とすべく、坂本はどう過ごしていくのか。
「やっぱり自分はステップアップするためにこのリーグにいるので、個人の結果を重要視しつつ、チームとしてもやるべきことをやっていきたいです」
ベルギーリーグやオランダリーグは強豪クラブですら主力選手をビッグリーグのクラブに引き抜かれる側なので、若い選手の野望に対するクラブ、メディア、ファンの理解がある。
「みんな(若手や中堅のチームメイトたちは)そうですし、チームの強化部の方も(理解がある)。このクラブ自体が有望な若い選手をいっぱい集めて(育てて売る)、という感じなので、チームとしてはそこを求めていると思います」
夏の移籍市場で、フェイエノールトはウェステルローのふたりの左サイドバック、ロメンスとボスを獲得候補リストに載せ、結局ボスを獲得した。同ポジションの2選手が1クラブに狙われるほど、ウェステルローには有望株が揃っている。しかもチームは6位と、プレーオフ1(上位6チームによるリーグ優勝を懸けたプレーオフ)進出圏内にいる。「ぜひ、プレーオフ1に出て、やってみたいですね」と坂本は力を込めた。



