「ドラマ多過ぎ!」水沼さんと北條さんがルヴァンカップ決勝名勝負を語る

史上最速2トップは「やばかった」

2003Jリーグヤマザキナビスコカップ

鹿島アントラーズ 0-4 浦和レッズ

得点:13′ 山瀬 48′ 86′ エメルソン 56′ 田中

2003年11月3日(月・祝)14:09KO国立競技場 入場者数:51,758人

北條:浦和、クラブ史上初タイトルの一戦です。浦和は前年も決勝に行って、鹿島に負けているんですよね。

水沼:メンバーがすごい。浦和の監督がオフト。鹿島はトニーニョ・セレーゾ。この試合、鹿島CKのボールをクリアしようとした坪井とエメルソンが激突して、二人が頭をテープぐるぐる巻きにしてプレーしていたシーンが印象に残っていますね。得点は先制が山瀬(功治)のヘッドで、次はエメルソン、そして田中達也、エメルソンが2点目。

北條:鹿島は3点ビハインドになった後、小笠原満男が2枚目のイエローで退場します。

水沼:田中達也の突破を止めようとしたんですよね。達也のドリブルはスラローム系じゃないんですよ。キュッキュッ、カックンカックンって教習所のクランクみたいな感じで止めにくい。あと覚えているのは、エメルソンが縦パスに抜け出した2点目のシーン。出てきたGK曽ヶ端(準)をかわして、カバーに走ってきた大岩(剛)にシュートを打つと見せかけると大岩が滑って(無人の)ゴールに流し込んだ。

北條:田中達也とエメルソンの2トップは本当に「やばかった」。

水沼:あと、鹿島のエウレルが負傷交代しましたが、代わりに入ったのが中島裕希で。まだ町田ゼルビアで現役なのもすごいです。

2点ビハインドからの大逆転劇

スタイル全開でクラブ史上初優勝

2018JリーグYBCルヴァンカップ

湘南ベルマーレ 1-0 横浜F・マリノス

得点:36′ 杉岡(湘南)

2018年10月27日(土)13:10KO 埼玉スタジアム 入場者数:44,242人

水沼:湘南はスタイル全開でした。ガンガン前から行って走り切って。杉岡(大暉)のものすごいシュートが決まってそれが決勝点になった。

北條:曺貴裁監督が最後、地面につっぷして泣いていましたね。

水沼:横浜FMはアンジェ・ポステコグルー監督1年目。かなりのハイラインを敷いていた。伏線ですよ、この試合が。このシーズン失点が多くて「ちょっどうなの?」と思われながらも決勝まで来ている。そしてマリノスは翌19年にタイトルを獲りました。

北條:いいストーリーです。決勝まで行くと「来季は行けるんじゃない?」となるのかもしれない。カップ戦の決勝がリーグ戦に繋がることってありますね。

水沼:確実にありますね。自信を得られますから。

北條:あと、若いチーム、優勝経験のないクラブがこの大会で初優勝することが多い気がします。湘南ベルマーレは初優勝です。

水沼:思います。ルヴァンカップの決勝はサポーターもすごく盛り上がって独特の雰囲気になりますし、“登竜門”だと感じますね。

悲願を懸けた大会屈指の名勝負

まさに決勝。PK戦の明暗

2024JリーグYBCルヴァンカップ

名古屋グランパス 3-3(PK5-4) アルビレックス新潟

得点:31′ 42′ 永井 93 ‘中山(名古屋)/71’ 谷口 90’+11(PK) 111’小見(新潟)

2024年11月2日(土)13:09KO 国立競技場 入場者数:62,517人

北條:昨年の一戦です。これも点の取り合い、壮絶なPK戦でした。

水沼:PKを外した長倉(幹樹)が号泣しているのと小見(洋太)の印象がすごく残っていますね。

北條:延長前半の小見の同点ゴールをアシストしたのは長倉のスルーパスでした。でもPK戦って不思議とその試合で活躍した選手が外すことがあるような気がします。

水沼:あと、延長に入って先に名古屋の中山(克広)が決めるんですけど、小見の同点弾のPKは中山が小見をひっかけて与えていたんですよね。

北條: ドラマがちゃんとありますね。新潟も2019年の札幌ではないですが「悲願の初タイトル」という背景があって。

水沼:カップ戦はドラマが多過ぎますね。リーグ戦はPK戦はないですから。

北條: 水沼さんは決勝で蹴ったことがありますか?

水沼:蹴りましたよ。天皇杯、国立で。舞い上がって外したこともある(笑)。当時でも、カメラマンも後ろにどーっといるし。

北條:平然とPKを決める選手ってやはりすごいんですね。

水沼:あれだけの人がいる中でね、バッジョの名言もあるし。ほら言って。

北條:え? 私が言うんですか(笑)? では…「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」。

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