【悼む】釜本さんが感情むき出しで“日本のFWたち”に叫び続けた「あいやー」

1968年メキシコ五輪銅メダリストで、日本サッカー界を代表するストライカーとして活躍した釜本邦茂さんが10日に大阪府内の病院で肺炎のため死去した。81歳だった。同日にJリーグが発表した。京都府出身。2023年9月ごろから誤嚥(ごえん)性肺炎で入院。昨年の秋に手術を受け、一時、回復したものの療養を続け、6月中旬に容体が悪化した。日本サッカー界のレジェンドの悲報。本紙歴代担当記者が釜本さんとの思い出を振り返り、故人の死を悼んだ。

【写真】1985年、TBS「うちの子にかぎって…」でとんねるずと共演した釜本邦茂さん

Jリーグが開幕し、大先輩記者から「ガンバで誰が一番シュートがうまいか知ってるか?」と問われた。名古屋担当だった自分は「礒貝ですか?」と返したが「アホ、ガマやがな」と釜本監督を名指しした。それほど別格な存在感。指揮官として結果が出ず、チームを離れてから接点が生まれた。スポニチ評論家として釜本さんと一緒に観戦する機会に恵まれたのだ。

とにかく熱い。ガンバが攻め込みながらゴールを奪う機会を逸すると記者席の机をバシーン!!と叩いて「あいやー」と絶句。「今の見てたやろ、千田君。左でガッと行ったんやから、中央でドーンと構えとったらええんや。なのにシュート撃たんで右にパスって…」。釜本さんは嘆いていた。特にボックスに入ったFWがシュートを選択せずパスを出した時に「あいやー」を連発した。

現役時代、右45度からなら外さなかった釜本邦茂の必殺ゴールゾーン。Jリーグ創生期の日本人FWはそうした型を見いだすことができずにW杯予選で敗れ続けた。練習で一番シュートがうまい監督は、自分よりシュートを決めることができる選手を育てたいと模索して、評論家になってFWに厳しいゲキを飛ばした。

日本代表がアジア最強になった今、安心して見守ってくれるだろうか。代表FWの皆さん、天国から「あいやー」が聞こえないよう、お願いします。

https://www.sponichi.co.jp/

Share Button