ガンバ大阪の荒木瑠偉がトップデビューへ。スケール感抜群の17歳がスタッド・ランス戦に懸ける思いとは

 ガンバ大阪が8月2日、毎年夏の恒例行事となった海外クラブとのプレシーズンマッチに挑む。フランスのスタッド・ランス戦は過去、様々なアカデミー出身の好選手を輩出してきたガンバ大阪にとって、新たな一ページが刻み込まれる一日になる。ジュニアユース時代から将来を嘱望されてきた大型GK荒木瑠偉のトップデビューを試合前日の1日、ダニエル・ポヤトス監督は明言した。

17歳が口にしたトップデビューへの期待感と秘めた自信

194センチの長身というサイズだけではない、ジュニアユース時代からその名を轟かせてきた荒木瑠偉には「大物」「大器」という言葉がふさわしいスケール感が漂う。本来であれば高校3年生ということを忘れさせるほど、番記者らの囲み取材に応じる17歳は待望のトップデビューへの期待感と秘めた自信を口にした。

「ワクワクもあるし、ちょっと緊張もあるんですけど、緊張しすぎないように頑張りたいですね」とスタッド・ランス戦で出番があることを悟った荒木だが、ガンバ大阪ユースや世代別代表で数々の大舞台を経験しているものの、やはり飛び級でのトップデビューは特別な瞬間だ。

――トップで試合に出るのはまた違う思いがある?

「また、別ですかね、色々な代表でも緊張感ある試合とか経験して来ましたけど、また新しい緊張感があるなかでの試合なので、楽しみですね」

――スタッド・ランス戦でのパフォーマンスは今後のガンバ大阪での公式戦にも繋がっていくが?

「 相手の情報も何もなくて、難しい相手だと思いますけど、無失点というのが一番アピールに繋がるので、無失点を目指したいですね。」

イタリアで得た刺激をデビュー戦の舞台に還元する

 7月18日から28日までガンバ大阪が提携するアヤックスのトップチームの練習に名和田我空とともに練習参加。イタリアで行われた「コモカップ」にも帯同し、出場こそなかったものの名和田とともにメンバー入り。欧州の名門クラブの空気を吸ってきたばかりの17歳にとって、海外で受けた刺激が残る最高のタイミングでのデビューになる。

――アヤックスの練習参加で受けた刺激や、更にGKとして発揮したいと感じた思いは?

「レベルが高かったですし、GKもやっぱりヨーロッパっぽいシュートストップというか、スタメンのGKを見てもシュートストップでチームを救っていたので、そういうところを参考にして明日は頑張りたいです」

――日本人GKのスケール感を超えている荒木選手だが、海外ではそれぐらいのサイズのGKは当たり前のように数多くいるが?

「別に(普通に)いますよね、僕ぐらい大きくてデカくて体もゴツくて動けるGKがあっちには多いので、そういうGKを目指していますね。でもやれないとは感じなかったですけど、スピード感がまたちょっと日本と違うプレースタイルとか緊張感もありましたし、手応えでやれるなと感じました」

――アヤックスから帰ってきたタイミングでスタッド・ランスと試合が出来るのも、自分の力を見せる場になる?

「情報がなくても、ピッチの中で変えていって対応することが大事になってくると思うので、出来るだけDFラインをコントロールして安定させたいですね」

「シュートストップ」への強いこだわりと、試合への渇望

 荒木も「シュートストップ」という言葉を自らの強みとしてしばしば口にするが、ガンバ大阪を長年支えてきた東口順昭も、現在の正GKの一森純も抜群の反応の良さを持つ。ただ、荒木には恵まれた体躯を生かしたセービングも持ち味だ。

――この先、自身が描く方向性やスタイルは?

「もっと極めていきたいですし、世界のトップトップの選手を見ても、シュートストップは基本、どのGKも出来ています。今はシュートストップとかハイボールも武器ですけど、他の全部も出来て、オールラウンダーが一番いいと思っているので、他もやっていきたいですけど、特にシュートストップにはこだわっていきたいですね」

――今後のキャリアを考えても、今後を左右しかねない重みを持つ試合になりそう?

「すごく大事な試合だと思いますけど、それでちょっと気負いすぎても、いつものプレー発揮できなかったりとか、ミスに繋がっちゃうと思うんで、いつも通りのプレーを出せるように意識していきたいですね」

――今、理想としているGKは国内外を含めている?

「理想というか、基本的にA代表を目指す中ではやっぱり、(鈴木)彩艶選手は見ていてもどんどん成長していて隙がなくなってきている。若い世代でああいう選手がいるので、すごく参考になるなと思っています」

――荒木選手のポテンシャルを考えれば、どんどん試合に出れば更に成長するし、逆に出ないといけない立場であるが?

「海外に行ったり、今回のようにアヤックスでコモカップに参加しても、17歳で自分の年代で試合に出ている選手がいたりとか、対戦相手でも若手の10代がいっぱい、試合に出たりとか、国内外でも若い選手がどんどん出てきているので、自分も負けていられない。今、試合に出ていたとしても早くはないと思うので、なるべく早く試合に関わっていきたいですね」

 ジュニアユース出身の東口順昭はガンバ大阪でのタイトル獲得数や、残留争いで果たした役割、そして2018年のワールドカップでメンバー入りを果たしたことを考えれば、ガンバ大阪の歴代ナンバーワンGKであることに異論はないだろう。そして、ガンバ大阪ユース育ちで荒木同様、飛び級でのトップ昇格を果たし、東京五輪で正GKを務めた谷晃生(現町田ゼルビア)も近年のガンバ大阪アカデミーが輩出した逸材だ。

 そんな東口や谷を超える可能性がある「ダイヤの原石」が、パナソニックスタジアム吹田のゴールマウスでプロデビューを飾る。「ワクワクもある」と荒木が語った思いは、その勇姿を待ち侘びるサポーターも抱く感情だろう。

 荒木瑠偉がついにパナソニックスタジアム吹田のゴールマウスに立つ。

https://news.yahoo.co.jp/expert/authors/shimozonomasaki

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