サッカーコラサッカーコラム G大阪、苦戦の中で芽生える意思統一 生き物のようなチームがつかむ連勝劇

【No Ball、No Life】ゴールデンウイークは5日までにG大阪の試合を2度取材した。首位にいた京都に競り勝ち、湘南には前半で4得点を奪って連勝。3万人前後が入ったホームのパナスタも大いに盛り上がった。

京都戦前日の取材から順を追うと、苦しい台所事情の中でチームが意思統一されていき、その狙いが形になったことが伺える。MF鈴木は「相手を見て自分たちのプレーを選択することを継続するべき」と話し、「ボールをつなぐ方がいいならそれを継続する。ロングボールを混ぜた方が相手にダメージを与えられるなら、それを継続する」とイメージしていた。

FW宇佐美は「前からボールを奪いに来られたり、自分の流れでできないと落としてしまうゲームが多い」とチームの課題を認識。「ボールを奪いに来る相手にボールを保持しきって前に行く力はまだないのかな」と現状を見据えた上で、「相手が嫌がることをする上では、背後を1本使うことも手」と戦い方を想定していた。

京都や湘南はまさにボールを前から奪おうとしにくる相手。コメント通り選手たちが共通認識を持って戦いに臨めていたのか、京都戦はサイドに流れた宇佐美とFWヒュメットへの長いボールから速攻を決めて2得点を奪った。宇佐美は湘南戦でも1―0の前半13分に中盤でのボール奪取から裏へ飛び出し、DF岸本の追加点を呼び込んだ。

京都戦の前には中盤を支えていたMFネタラヴィが負傷で離脱し、MF美藤も離脱。その中でこの2試合はトップ下起用が主だったMF満田がボランチ起用された。ポヤトス監督は京都戦の前に「ボランチのけが人がいるので、ビルドアップの部分やCBも含めた構成に調整が必要」と話し、「ビルドアップのところではパチッとした選手がというか、そこになかなか難しさがある」とボールをつないで運び切る戦いは〝保留〟することを示唆していた。満田も含めてチームはボールを持たれた際も走って陣形を狭く保ちながら相手を誘導し、奪い切って速攻に転じる場面が増えた。

指揮官が3年目の指揮を迎え、昨季の4位からさらなる上積みを望みたくなる今季。ただ、選手が入れ替わりけが人が出ると、なかなか直線的な成長というのは目指しづらい。勝ち点がついてこなかった中で、確かな結果を得ることができたこの2試合には大きな意味があるだろう。

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