ヤットの本を熟読し、イメージを膨らませる。G大阪ユースの1年生ボランチ深江龍明が大事にしている2つのこと
あらゆる面でチームのベクトルを前に向ける潤滑油に
プレミアWEST第5節・帝京長岡vs.ガンバ大阪ユース。強風が吹くなかで行なわれた一戦で、G大阪ユースの1年生ボランチ深江龍明が抜群の存在感を放った。時折予測不能な動きをするボールを正確にコントロールすれば、素早い出足のインターセプトからショートカウンターの起点に。チームも2-1の勝利を手にした。
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つい先月まで中学生だった深江は、開幕戦でいきなりスタメンの座を掴むと、第2節の神村学園戦ではフル出場で初勝利に貢献。第4節(第3節は延期)のサンフレッチェ広島ユース戦ではフル出場に加え、FW中積爲のハットトリックとなる3点目をアシストした。
プレーは決して派手ではない。だが、ミスが非常に少なく、常に周りの状況を見たポジショニングでセカンドボールの回収やビルドアップの経由地、そして前述したようにショートカウンターの起点になるなど、あらゆる面でチームのベクトルを前に向ける潤滑油となっている。
「ボランチとして大切にしているのは、常に2つ、3つ先の予測をすることと、サッカーは頭を使わないと生き残っていけない、ということですね」
1年生とは思えない落ち着いた口調で語るプレースタイルの根源は、G大阪の選手、レジェンドたちに大きく影響されたものだった。
愛知県豊田市出身の深江は、父親が立ち上げたFC ALONZAのジュニアチームに所属し、中学もジュニアユースの2期生として3年間プレーした。
「ALONZAでは技術面をしっかりと磨いてきたし、個人戦術とチーム戦術の組み合わせなど、本当にサッカーをいろいろ深く学べました」
そのなかで深江には明確なプレーモデルがあった。それは小さい頃からファンであったG大阪の存在だった。
「僕がガンバを好きになった理由は、固定の選手がというより、やっている攻撃的なサッカーに魅了されたからなんです。それにスタジアムに行けば、サッカーだけじゃなくて、サポーター、スタッフが全員でサッカーを作り上げているような雰囲気がたまらなく好きでした。そのなかでボランチは象徴的な存在でもあるので憧れていました」
中3時にはジュニアユース年代のオールスター戦とも言えるメニコンカップにも出場した。そしてG大阪ユースから声がかかり、セレクションを受けて見事合格。念願叶って青黒のユニホームに袖を通すことになった。
「リーダーシップのある中心的な存在になっていきたい」
加入が決まってから、よりG大阪の試合を見るようになり、ネタ・ラヴィや鈴木徳真のプレーを真剣に見つめた。さらに明神智和や遠藤保仁というG大阪のボランチのレジェンドの本を購入し、何度も読んだ。
こうしたイメージトレーニングも彼がすぐにG大阪ユースのサッカーに順応できた要因でもあった。
最初は「周りはジュニアユース出身の選手たちばかりなので、不安もあった」が、いざ入ってみると「自分のプレースタイルにも合っているし、毎日やりがいを感じられて、めちゃくちゃサッカーをやっていて楽しいです」という。
「今日も新潟に向かう飛行機の中で、ヤットさんの本を読んでイメージを膨らませてきたんです。そこで改めて『常に2つ、3つ先の予測をすること』と『サッカーは頭を使わないと生き残っていけない』と思いました。
やっぱりガンバ大阪のボランチは、1、2年生関係なくチームの中心的な存在でなければいけないと思っているので、どんどん持ち味を出して、チームに積極的に関わっていきたいし、ゴールにも関わっていきたい。リーダーシップのある中心的な存在になっていきたいです」
すでにG大阪のボランチとしての矜恃と覚悟を持ち合わせている深江の目には、1年生だからという甘えは一切ない。身も心も青黒に染まっているスーパールーキーは、先人たちから学び続けて、トップ昇格、その先のステージを目ざす。



