【首位から最下位までわずか11差。J1オリジナル10・ビッグクラブの現在地(2)】13位・ガンバは一進一退。最下位・名古屋はルヴァンも敗退。マリノスはリーグ6戦未勝利で監督交代の激震! 下位グループの名門の現状は?
4月16日時点で下位グループに位置するビッグクラブを見ていくと、やはり最も気がかりなのは名古屋グランパスではないか。
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今季の彼らは非常に前評判が高かったが、開幕6戦未勝利というまさかのスタートを強いられた。3月29日の横浜FC戦でようやくリーグ初勝利を飾り、続く横浜F・マリノス戦でも連勝したが、その後の湘南ベルマーレ、ガンバ大阪戦で連敗。10試合を終えても最下位から抜け出せずに苦しんでいる。
こうした中、16日には前年王者としてYBCルヴァンカップ2回戦・カターレ富山戦に挑んだが、120分戦っても決着がつかず、PK戦までもつれた挙句、苦杯を喫するという最悪の結末を突きつけられたのだ。
この試合の先発は椎橋慧也、森島司、浅野雄也、徳元悠平らJ1で実績のある面々がズラリと並んだ。もちろんピサノアレックス幸冬堀尾や森壮一朗といった若手も出場していたが、戦力的にはかなり充実していた。それでも今季J3から上がってきたばかりの相手に勝てないのだから、クラブとしても失望感が大きかったはずだ。
このままだと、長谷川健太監督の去就問題がヒートアップすることは避けられない。ここから大型連休の連戦で、大鉈を振るうのは難しいタイミングでもあるが、ここからの対戦カードは広島、鹿島、柏レイソル、清水エスパルス、ファジアーノ岡山と上位グループにいる相手ばかり。そこで足踏み状態が続くようだと、本当にJ2降格の恐れが現実味を帯びてくる。そうなる前にクラブはどんなアクションを起こすのか。現体制を維持するにしても、何らかの策は講じなければならない。その動向を冷静に見守るしかない。
■自信を失っている横浜F・マリノス
今季からスティーブ・ホーランド監督率いる新体制に移行したマリノスもギアが上がる気配が見られず、18日にとうとう指揮官解任という決断が下された。当面はパトリック・キスノーボ・ヘッドコーチが暫定的に指揮を執り、クラブ側は新監督人事に着手するというが、ACLEのサウジアラビア・ラウンド直前に大鉈が振るわれるのは異例中の異例。それだけチームが危機的状況に陥っていたということなのだろう。
実際、アビスパ福岡と清水との直近2試合を見ても、先手を取りながら、後半になって足が止まり、ひっくり返されるという信じがたい敗戦を喫した。これでリーグ6戦未勝利となり、選手たちも自信を失ってしまっている印象だった。
ACLE前にリーグ戦が詰め込まれ、超過密日程になっているという厳しい現実は大きいが、それは川崎フロンターレにも言えること。川崎は苦境の中でも着実に勝ち点を積み上げている。そう考えると言い訳はできない。
キャプテン・喜田拓也や守備の要、ジェイソン・キニョーネスや渡邊泰基の負傷、アンデルソン・ロペスやエウベルの不調など、停滞の要因を挙げればいくつかあるが、それでも勝たなければいけないのがマリノスである。
ここへきて遠野大弥や植中朝日がゴールという結果を残し、山根陸や諏訪間幸成ら若い世代が存在感を示すなど、前向きな要素がないわけではない。監督交代という激震が走る中、いかにして苦境から這い上がるのか。ACLE出発直前の20日の次戦は復調傾向の浦和レッズが相手。この試合も簡単ではないだろうが、光明が見えるような一戦にするしかない。
■不本意な序盤戦を過ごすG大阪
もう1つ、目を向けるべきなのが、ガンバ大阪。2024年J1で4位とジャンプアップし、今季はタイトルも視野に入れていただけに、ここまでの序盤戦は不本意と言わざるを得ないはずだ。
リーグ戦の方は4月6日の柏レイソル戦で黒星を喫した後、12日の名古屋戦で辛くも勝利。5試合ぶりの白星を飾り、チーム全体が安堵感に包まれた。そのうえで、16日のルヴァンカップ・水戸ホーリーホック戦に挑み、延長の末にファン・アラーノの決勝点で勝利。公式戦2試合連続白星で、ようやく勢いに乗っていけそうな雰囲気になりつつある。
今のガンバが取り組まなければいけないのは、得点力アップと失点減の両方だ。特に昨季大躍進の原動力となった守りの部分はよりブラッシュアップさせるべき。中谷進之介も「今季は噛み合っていない部分がある」と語っていたが、直近の公式戦2試合はクリーンシートを達成。ようやく守備陣と中盤の良好なバランスが見えてきたのではないか。
そのベースを生かしながら、攻撃に厚みを加えられれば理想的。今季は宇佐美貴史が万全でないのが懸念されるところだが、イッサム・ジェバリや山下諒也ら他のアタッカー陣がもっと存在感を示して、エース不在をカバーしなければならない。まだ無得点の満田誠やデニス・ヒュメット、若手の名和田我空、南野遥海らの奮起も求められるところ。まずは直近20日の横浜FC戦を注視していきたい。 (取材・文/元川悦子)



