【天皇杯|採点&寸評】連覇達成のG大阪。細部の質で浦和を上回る SOCCER DIGEST Web 1月1日(金)17時16分配信

浦和――柏木不在の影響は大きく、攻撃を組み立てられなかった。

【チーム採点・寸評】
浦和 5
準決勝の柏戦で足を傷めた柏木がベンチ外、その試合で120分間出場した関根がベンチスタート。柏木不在の影響は大きく、攻撃を組み立てられず苦しんだ。そのなかで、ワンチャンスをモノにして一時は追い付いたものの、逆に勝ち越し点を与えて敗れた。

G大阪 6.5
パトリックの突破力を最大限に活かしながら、CKでは狙いどおりの形から追加点。終盤は相手に押し込まれる時間が続いたが、守備の綻びを見せずにリードを守り抜いた。ゴール場面に象徴されるように、細部の質で浦和を上回り、大会連覇を成し遂げた。

【浦和|採点・寸評】
GK
1 西川周作 5.5
パトリックのほうが優位な立場にあったとはいえ、ニアを抜かれるというGKとしては悔やまれる形で先制点を献上。こうした大一番を制するには、背番号1のビッグセーブが不可欠だった。

DF
4 那須大亮 5.5
パトリックの豪快な突破と横の揺さぶりに苦しめられた。後半に入り、ボールを持ち運んで攻撃に厚みをもたせる場面もあった。67分には関根のクロスに合わせ、惜しいヘディング弾を放った。

5 槙野智章 5
序盤に手を踏まれて大量の出血。その影響もあったのか、パトリックにつききれない場面が見受けられた。CKではパトリックのマークを外して2点目を与えたのは致命的なミス。76分には決められていればトドメを刺されていた遠藤のシュートをブロックしたが……。

46 森脇良太 5.5
逆サイドのフォローにしっかり入ったもののパトリックに振り切られて先制点を献上。“影のバランサー”といえる存在で、クサビのパスやロングキックで攻撃の起点となる役割をこなしていたが、ゴールにつながるプレーは見せられなかった。

MF
3 宇賀神友弥 5.5(69分OUT)
守備に軸足を置きながら機を見て前線に攻撃参加。要求されたミッションはこなしていた。途中からはCKのキッカーも担当。より攻撃的な布陣にするため途中交代に。

16 青木拓矢 5
柏木の代役として期待されたものの、低い位置でのプレーが目立ち、脅威を与えられず。試合終盤は遠藤を見ながらゲームメイク。44分の関根のスルーパスは拾いたかった。

22 阿部勇樹 5
柏木が不在のなか、“普段どおり”ではないリスクをかけたプレーを見せたかった。66分には狙い澄ました惜しいミドルを放ったが、もっとゴールを意識した仕掛けをしたかった。

19 武藤雄樹 5.5(57分OUT)
プレッシングやペナルティエリア内でのスライディングタックルなど、守備面での貢献度は高かった。カウンターで長い距離を走って貢献したものの、ゴール前で“嫌な存在”になれなかった。

7 梅崎 司 6(57分OUT)
宇佐美を見つつ前線に繰り出すという難しい役割をこなし、クロスから一時同点に追い付くゴールを演出した。途中交代となったが、シャドーに残しても面白かっただろう。

20 李 忠成 5.5
なかなかボールが収まらず、裏のスペースばかりを狙う“悪い時の李”になってしまった。それでも“一発”がハマり、ダイビングヘッドから同点弾に絡んだ。だが、輝いた時間は限られた。

FW
30 興梠慎三 6.5
李のヘディングシュートがポストに当たり、撥ね返ったこぼれ球を左足で豪快に突き刺す。その後も“興梠らしい”動きで前線に変化を与え、李とポジションチェンジするなど工夫も見せたが2点目は奪えなかった。

交代出場
FW
21 ズラタン 5.5(57分IN)
試合終了間際のヘディングシュートはわずかにクロスバーの上に…。15年度シーズン、3試合3ゴールと“ガンバキラー”ぶりを発揮していただけに、もう少し長い出場時間を与えても良かったのでは。

MF
24 関根貴大 6(57分IN)
公式戦14試合ぶりのスタメン落ち。それでも何度も仕掛けてサイドを崩すなど“浦和の突破口”となった。しかし、ゴールには絡めなかった……。

MF
31 高木俊幸 6(69分IN)
攻撃にアクセントを与えて、ほぼミスなくクロスや突破からチャンスを作った。結果論になってしまうが、よりゴールに近い普段のシャドーのポジションであったほうが、より効果的だったか。

監督
ペトロヴィッチ 5
“G大阪対策”で右WBに起用した梅崎が得点に絡んだ。しかし、交代出場した選手がゴールに絡めず、またも詰め切れずに敗れた。

G大阪――2ゴールのパトリックはもちろん、守護神の好セーブも光った。

【G大阪|採点・寸評】
GK
1 東口順昭 6.5
前半アディショナルタイムには、興梠の近距離ヘディングに素早く反応。相手に猛攻に晒される場面が続いたが、的確な判断で相手のシュートを止めると、終盤にも槙野の一撃をストップ。

DF
14 米倉恒大 -(12分OUT)
右SBで先発も、開始10分に相手と接触するアクシデント。足を負傷してピッチに倒れ込むと、ゴール脇で治療を受けたがスタッフから「×」のサイン。担架で運ばれて途中交代。

5 丹羽大輝 6.5
身体を投げ出すスライティングで藤春のパスミスをカバー。最終ラインを統率しながら、相手に飛び出しに対してもソツなく対応し、クロスを幾度となく跳ね返した。

6 金 正也 6
丹羽とのコンビで“中央の壁”として君臨。パス回しでもたつく場面こそあったが、空中戦で強さを発揮すると、最後まで集中を切らさずズラタンや興梠らの突破を阻止した。

4 藤春廣輝 5.5
バックパスのミスからピンチを招くなど、前半は球際での対応がやや不安定。後半に入るとやや持ち直し、関根の投入によって再び劣勢となるも、粘り強い対応を続けた。

MF
15 今野泰幸 6.5
米倉の負傷交代後は右SBに移行し、宇賀神との1対1で翻弄される場面も。ただ、53分のCKではパトリックに付いた槙野の動きを阻止して得点を援護。そのプレーを高く評価。

7 遠藤保仁 6.5
正確なロングパスを宇佐美に通してチャンスメイク。CKからパトリックの2点目を演出し、終盤は2列目に上がって奮闘。欲を言えば、アディショナルタイムの決定機は決めたかった。

11 倉田 秋 6
前線からの守備で相手にプレッシャーをかけると、32分には絶妙なスルーパスでパトリックの先制弾をお膳立て。疲弊する終盤に見せた40メートル近いドリブルは圧巻だった。

13 阿部浩之 5.5
激しいアップダウンを繰り返して守備で貢献。急きょ右SBに回った今野との連係も常に意識し、宇賀神や高木らの突破に対応した。その分、攻撃面での迫力を欠いた感は否めず。

39 宇佐美貴史 5.5(76分OUT)
4分にエリア内に侵入して好機を作れば、25分には相手を引き付けて藤春の上がりを促すなど、左サイドで攻撃の起点に。後半に入ると運動量が低下し、絡む回数も減って76分に交代。

FW
29 パトリック 7.5(88分OUT)
前線で身体を張ってボールを収め、32分には森脇を簡単に振り切ってニアをぶち抜く先制ゴール。53分にはCKから2点目を叩き込むなど、局面での存在感が際立っていた。

交代出場
MF
21 井手口陽介 6.5(12分IN)
米倉の負傷交代を受けて、急ピッチのアップ後にボランチとして途中出場。堂々たるプレーを見せて、攻守ともに一定の安定感を保った。“予定外の出場”という点も査定に加味した。

MF
27 内田達也 6(76分IN)
長期離脱から復帰し、大舞台で宇佐美に代わって出場。井手口と2ボランチを組み、中央の危険なエリアをカバー。攻撃面で見せ場は作れなかったが、守備で効いていた。

FW
20 長沢 駿 -(88分IN)
リードした終盤に投入され、裏のスペースを狙いながら相手を翻弄。シュートに絡む場面はなかったが、与えられた役割を最後まで遂行し、勝利に貢献した。

監督
長谷川健太 6.5
2点目のCKは、まさに準備してきた“チームプレー”の賜物。後半には、要所で交代カードを切りながら、システムも変えて浦和の猛攻に耐えた。米倉の負傷にも慌てずに対応し、大会連覇を飾った。

Share Button