初心に戻るため母校・静学で準備。自信を持ってブラジルの古豪・グアラニ挑戦のMF高橋隆大は「人生をひっくり返したい」

日本の“最小最強ドリブラー”がブラジルで人生を“ひっくり返す”。ガンバ大阪は4日、MF高橋隆大がグアラニ(ブラジル)へ完全移籍することを発表した。高橋は静岡の名門、静岡学園高で活躍後、G大阪へ加入。プロ1年目は奈良へ期限付き移籍し、プロ2年目の昨年は北九州に育成型期限付き移籍をしていた。

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今回、高橋は期限付き移籍ではなく、完全移籍を決断してのブラジル挑戦だ。G大阪ジュニアユースで10番を背負って全日本ユース(U-15)選手権日本一。同じく10番を背負った静岡学園では世代を代表するドリブラーとなり、Jクラブアカデミー相手でも全く止まらないようなドリブル突破、左右両足からの強烈なシュートを見せていた。

“最小最強ドリブラー”になることを掲げ、その通りのプレーでプロ入りを勝ち取った。また、U-16日本代表やU-17日本代表候補、U-17日本高校選抜にも選出されているが、プロ入り後は奈良でJ3出場わずか1試合。北九州では同14試合に増やしたものの、先発は1試合もなく、その大半が15分以下の出場時間に留まっている。

「ビッグマウスじゃないっすけど、間違いなくオレがダントツで上手かったと思っています。北九州でも、奈良でも。けど、プロは上手いから出れるわけじゃない。足りひん部分もめちゃくちゃあったから」

高橋は身長156cm、体重58kgと小柄。それでも、試合に出た際はドリブルで誰よりもスタンドを沸かせたという自負があり、SNSでもそのプレーが話題になっていた。ただし、以前より向上したとは言え、守備や安定感が課題に。また、目立つプレーをしても結果を残せず、壁に当たっていた。サポーターの期待に応えられなかったことが本当に悔しかった。だが、自信がなくなった訳では無い。

「(他の)ドリブラーとか見てても、全然オレの方が上やっていうのは思いますし、ホンマに『出たい、出たい』が凄い強いです。『出たらもっとやれる』『このチーム、もっとオレが良くできる』って思いがずっとあったんで。自信がなくなったとかはもう一切ないです。むしろ、『やっぱりオレはプロでもできる』なっていう風に思えることができた2年間やった」

その思いをぶつけられる場として、目を向けたのは海外だった。「2年間、J3でやって凄い壁っていうか、めちゃくちゃ悔しい2年間を過ごして、心機一転じゃないですけど、自分の中でマジで甘さを抜きたかったんで、そのために海外で1人の身でやりたいっていう話をして、(代理人に)海外を探してもらいました」。その過程の中で、プレー映像を見たグアラニが高評価。右サイドでのオフェンス面を期待されたようだ。

ブラジル1部リーグ優勝歴を持つグアラニは、ナポリ、柏などで活躍した元ブラジル代表FWカレカ、ブラジル代表として1994年W杯で優勝したMFマウロ・シルバらを輩出しているクラブで、カンピオナート・パウリスタ(サンパウロ州選手権)1部と全国リーグのセリエC(3部)に所属している。高橋はブラジル行きを即決。「(調べたら)J1にもブラジル人選手をいっぱい送ってるようなチームでヨーロッパにもいっぱい行ってるし、そこで活躍したら、ホンマに見返せるし、全部評価がひっくり返るようなチームに行けるっていうのですぐ決めました」。ブラジルのサッカーのイメージは、「個のサッカー。身長は関係ない。上手いやつが出る」。そのブラジルは自分の良さをより発揮し、伸ばせるという期待感も持って海を渡る。

「多分、めちゃくちゃ上手い人いっぱいいると思うし、なおさらチームのレベルが高いと思うけれど、そこでもやっぱ自分のテクニックを光らせたいなっていう風には思いますね。最初は日本人で、この身長でナメられると思うけど、マジでナメられるんめっちゃ嫌いなんで。もうすぐ黙らせるくらい練習でやって。すぐ股抜いて、削られてもまた抜いてを繰り返して、すぐ認めさせて試合出てやるしかないなっていう風に思います」

高橋は1月20日頃から、母校・静岡学園のトレーニングに参加。「(理由は、)マジで初心に戻ろうと思って。それが1番デカくて。やっぱ自分を一番成長させたグラウンドで、成長させてくれた服着て。もう一回、1から戻ってっていうことをやってるんですけど、やっぱ『めっちゃいい練習やな』って改めて思います」。静岡市内のホテルに宿泊しながら練習参加。知人に自転車を借り、練習場の谷田グラウンドまでの上り坂を高校生と一緒に上がっていた。

選手権にも出場したMF佐々木雄基(2年)とMF神吉俊之介(2年)、またG大阪ジュニアユースを含めて後輩のMF北田優心(2年)らとコミュニケーション。トレーニングでは凄みを見せる一方、ミスすると「隆大! 隆大!」と誰よりもイジられていた。「良い後輩です。ナメて接してくるんですけど(苦笑)、全然、オレもそっちの方がやりやすいんで」。同時に「甘ないよ」とプロの厳しさも伝えているという。何よりブラジルで活躍することが受け入れてくれた静岡学園のスタッフや後輩への恩返し。かつてブラジルで活躍した静岡学園の大先輩FW三浦知良に続くのは「オレでしょ」という思いを持っている。

「ほんまに人生をひっくり返したい」と高橋。当初の予定より移籍発表も、ブラジルへ渡るタイミングも大きく遅れてしまったが、間もなく就業ビザが発給される模様だ。1か月以上滞在した静岡から現在は地元・京都に戻り、大学のトレーニングに参加しながら最終調整。今月中旬にはブラジルに渡り、すぐグアラニへ合流する予定となっている。FWネイマール(サントス)が活躍中のサンパウロ州選手権でグアラニが敗退したことを高橋は残念がるが、4月開幕の全国リーグ出場を目指す意気込み。「自信はあります。楽しみです」。ブラジルから伝わるような活躍をして、ブレイクの時を待ってくれている人たちを今度こそ喜ばせる。

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