死闘を経て結束強まったU-20日本代表「戦っていない選手は一人もいない」DF桒原陸人(明治大)のチームへの思い、立ち振る舞い、献身性
初めての公式会見に登壇し、堂々と立ち振る舞った。U-20日本代表は25日にAFC U20アジアカップ準決勝・オーストラリア戦の前日会見を行った。船越優蔵監督とともに登壇したのはDF桒原陸人(明治大)。メディアからの質問にも答えつつ、会見後には「どこ見たらいいのかわからなかった」と笑顔で振り返った。
PK戦までもつれた死闘、準々決勝・イラン戦を制してU-20ワールドカップ出場権を掴んだ日本は、翌24日を今大会初の休養日とした。14日の初戦から中2日おきに4連戦。怪我人や体調を崩す選手が出ていたこともあり、「オフを取るならここしかないと選手も感じていた」(桒原)。26日の準決勝を前に、各選手は自由な時間を過ごした。
中国・深センの街に出る選手もいたなか、桒原は読書や数人とともに次戦の相手オーストラリアの試合を研究した。また、チーム内で流行っている人狼ゲームや、GK中村圭佑(東京V)が持参したというUNOやトランプを「一生やってた(笑)」。つかの間の休息を十分に味わい、「メンタル面でもすごくリフレッシュできた。いいオフになった」と語った。
23日の準々決勝・イラン戦を振り返り、桒原は「大会を通じてすごくいいチームになってきている」と胸を張る。「ベンチワークも含めて、戦っていない選手は一人もいない。全員が声を出していた。自分は泣いてしまったけど、それくらいいいチームになっている」。PK戦ではキッカーとして決める選手、そして外してしまった選手、ゴールに立ちはだかるGK荒木琉偉(G大阪)に対し、チーム全体でピッチ内外から声を張り上げ続けた。
「(高橋)仁胡が外して、荒木が逆を突かれて決められたときは若干(勢いを)持ってかれそうな雰囲気も感じた。だけど、リュウ(佐藤龍之介)は決めるやろうと思っていたので。そこでグッと持ってきて、最後リオン(市原吏音)は決めるやろうなと思っていた」
桒原は今大会2試合でプレー。グループリーグ初戦で後半45分間、準々決勝では延長後半14分から出場した。けっして多くない出場時間に「試合に出たいという気持ちはある」と悔しさものぞかせる。それでも今大会、チームのために尽くす姿も目立った。
自分を律し、チームのことを考え続ける姿勢。「試合に出ないときの立ち振る舞いや取り組み方は(明治大の)先輩から学ばせてもらった」。目に留まったのは、とある練習後の一幕。深セン日本人学校の中学生と交流する場で、公式の場を終えて引き上げる選手もいたなか、手持ちぶさたな学生を集めてリフティングゲームで会話をしながら桒原一人で盛り上げた。オンオフ関係なく是としたことは単体で行動できる、チームにとって貴重な存在だ。
「準々決勝もラストの出場だったけど、絶対に出場はあると思っていた。モチベーションは高く保てている」。そう語る桒原は大一番の準決勝に目を向ける。「出たときには監督の期待に応えたいというのがすごくある。チームとしてもちろん決勝に行けるように全力で戦いたい」。見据えるのはアジアの頂点。最後まで献身的にチームを支えていくつもりだ。