中田英寿&小野伸二級高卒ルーキー「W杯で優勝」神村学園からG大阪加入・名和田我空の夢
明治安田J1リーグは14日、J2&J3は15日に開幕する。スポーツ報知では開幕特集として今季、神村学園(鹿児島)からG大阪に加入した“逸材”MF名和田我空(がく、18)にインタビュー。世代別代表で活躍し、過去に日本代表MF堂安律(現フライブルク)、同FW中村敬斗(現Sランス)らが背負ったクラブの出世番号「38」を与えられたルーキーは「2ケタゴール」を目標とした。2026年8月からの秋春制移行に伴い、現行制度では最後となるシーズン。将来は海外挑戦、W杯出場を掲げる大型新人が旋風を巻き起こす。
明確な目標と自信を持ってプロのピッチに立つ。高卒1年目の名和田が、よどみなく言い切った。
「(目標は)2ケタゴール。点を取れるのは自分の魅力で、やっぱり点を取るのが好きです」
シュートだけではなく、パス、ドリブル、ボールタッチも世代最高峰の質を誇る。トップ下で攻撃を組み立て、得点も量産できる万能型。23年U―17アジア杯ではMVPと得点王に輝き、優勝に貢献するなど国際舞台でも実力は証明済みだ。
「ラストパス、ボールを持った時の質は自信を持っている。ラストパスや一つ一つのシュートを決めきるところにはこだわりたい」
同学年で、英プレミアリーグ・サウサンプトンに加入内定のFW高岡伶颯(れんと、17)=日章学園=のようにJリーグを経由せず海外挑戦する選手も増える中、名和田は複数のオファーからスペイン人のポヤトス監督(46)率いるG大阪を選んだ。
「(スペインは)細かいパスのつなぎやポジショニングをすごく大事にする。これからの成長をすごく支えてくれると思う。結局は自分だけれど、成長していける手応えはある」
将来性豊かな18歳に、クラブの期待も大きい。与えた背番号「38」は堂安律、中村敬斗が過去につけた“出世番号”だ。
「偉大な先輩がつけた背番号。自分もそれ以上の活躍をして外に出ていくことで、強いクラブだな、すごいクラブと思ってもらえる。G大阪のためにも活躍したい」
「大空に羽ばたくように」との思いで「我空(がく)」と名付けられた。描く青写真は世界へと広がっている。
「最終的には海外に行って、欧州リーグで活躍する。W杯や欧州チャンピオンズリーグで活躍して、優勝する夢をかなえたい」
かつて中田英寿、小野伸二らは高卒1年目から圧倒的な力を示して海を渡り、W杯にも出場した。高卒ルーキーとしてJ1で2ケタ得点達成なら94年の城彰二(市原)以来2人目。その系譜に名を連ねるため、名和田我空の挑戦が幕を開ける。(森口 登生)
◆高卒1年目で活躍した主な選手
▼FW城彰二 94年に鹿児島実から市原(現千葉)に加入。開幕のG大阪戦で初先発初得点を決め、開幕4試合連続得点。33試合12得点をマークし、12ゴールは高卒新人歴代最多記録。
▼MF中田英寿 合計11クラブのオファーの中から平塚(現湘南)を選び、95年に韮崎から加入。開幕前のスーパー杯で公式戦デビューし、第1ステージ第13節・鹿島戦で初得点。26試合8得点。
▼MF中村俊輔 97年に桐光学園から横浜M入りし、第2節・G大阪戦でデビュー。第6節・平塚戦での初ゴールは代名詞の直接FKから奪った。27試合5得点。
▼MF小野伸二 清水商から98年に浦和加入。27試合9得点で新人王とベストイレブンを受賞。同年のフランスW杯にも18歳で出場。
▼MF本田圭佑 05年に星稜から名古屋入り。千葉との開幕戦で初アシスト、第8節・東京V戦で初得点。31試合2得点。
▼DF内田篤人 06年に清水東から鹿島入りし、クラブ史上初の高卒ルーキー開幕スタメン出場を果たす。28試合2得点。
◆名和田 我空(なわた・がく)2006年7月29日、宮崎・都城市生まれ。18歳。神村学園中、高でプレー。全国高校選手権は1年時4強、2年時8強、3年時は県予選決勝で敗退。高3夏の総体では準優勝し、自身は9得点で大会得点王と優秀選手賞に選ばれた。22年にU―16で世代別日本代表初選出。23年はU―17代表としてU―17アジア杯でMVPと得点王となり、優勝に貢献した。利き足は右。169センチ、63キロ。好きな選手はマンチェスターCのMFフォーデン。