今季、何点が目標?「言う必要はないですね」ガンバ宇佐美貴史は自分に矢印を向ける「2月14日にどう進んでいくかに集中」
昨年11月の怪我の影響はもはや皆無と言っていい
ダニエル・ポヤトス監督体制2年目の2024年はJ1で4位、天皇杯準優勝と飛躍を遂げたガンバ大阪。しかしながら、彼らの最終目標はリーグタイトルに他ならない。
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昨季は総失点35。FC町田ゼルビアのリーグ最少34に次ぐ堅守を見せつけたが、逆に得点数の方は49と平凡な数字に終わった。
このうち12点を宇佐美貴史、10点を21歳の成長株・坂本一彩が挙げたが、ご存じの通り、坂本は今年頭に海外移籍に踏み切っている。
ゆえに、エースにかかる期待はより一層、大きくなる。2024年は重要な天皇杯決勝のヴィッセル神戸戦の直前に右ハムストリング肉離れに見舞われ、シーズン終盤を棒に振っただけに、33歳になる今季はフル稼働が求められるところ。自身のキャリアハイだった2015年の19点を上回る数字を残せれば理想的だ。
「個人的な(ゴールの)目標はありますけど、言う必要はないですね。自分自身が生み出すゴールは変えずに、それ以外の選手たちがたくさん点を取れるようになれば、チームとしての攻撃力は上がる。僕自身がもっと周りを活かすことができれば良い方向に行くと思うので、自分に矢印をしっかり向けてやっていきたいと思っています」と、沖縄キャンプで終盤を迎えた背番号7は毅然と語っていた。
宇佐美が思い描く「自分も周囲も多彩な形でゴールを奪える集団」への進化は見えてきたのか。1月28日の浦和レッズとの練習試合(45分×3本)はそれを測る絶好のチャンスだった。
予想通り、エースFWは最前線に陣取り、背後に位置する新加入の名和田我空、奥抜侃志らと攻撃陣を形成。開始早々にいきなり彼自身が決定機を迎えたが、これは惜しくもクロスバーの上。先制点とはならなかったが、昨年11月の怪我の影響はもはや皆無と言っていいほど動きは軽やかだった。1本目はそこからもG大阪がボールを保持する時間が長く、より高い位置で主導権を握るという意識が色濃く感じられた。
「今年のテーマは『前から奪いに行くところ』。そのシーンはすごく多く作れたし、チャンスも生まれた。もともと我空も侃志も能力のある選手ですし、クオリティもあるので、チームのスタイルの中でそれぞれの出し方を見つけていってくれればいいですし、ポジションの近い選手に関して、自分はプレーしたいエリアとかもあるので、やりながら合わせていけばいい」と宇佐美は手応えも口にした。
だが、0-0で最初の45分を終えた後の2本目はやや停滞。GK一森純のパスをマテウス・サヴィオに拾われ、そのままチアゴ・サンタナに決められるという昨季には見られなかった失点場面も作ってしまった。
宇佐美らはこのタイミングで交代。その後はサブメンバー主体の編成で戦ったが、原口元気らが出てきてギアが上がった浦和に押され、さらに松本泰志に2ゴールを許す。
最後の3本目にイッサム・ジェバリと山下諒也で2点を返したものの、浦和の中島翔哉に1点を追加され、終わってみれば2-4の敗戦。宇佐美自身もゴールという明確な結果を残せず、悔しさを覚えたのではないか。
「この時点でベストに持っていく必要は全くないですし、プレシーズン4試合全て勝つ必要もないと思っているので。大事なのはチームとして積み上げるところと各々のコンディション。キャンプが終わって2週間ありますし、そこでベストに近い状態に持っていくことが一番ですね。
とにかく、僕の場合は怪我をしないこと。それさえなければ、あとは修正が利く。2月14日(のセレッソ大阪との開幕戦)にどう進んでいくかということだけに集中していきたいです」と、宇佐美は慎重なスタンスを保ち、前向きな感触を得つつあるようだ。
指揮官は様々な組み合わせにトライ
いずれにしても、G大阪が昨季より順位を上げ、神戸やサンフレッチェ広島といったライバルに勝っていくためには、宇佐美のコンスタントな活躍が欠かせない。
中谷進之介も昨年末に「夏場以降は貴史君以外に得点を取れる人がいなかった。それはチームとして明確にあったし、課題を改善していかないといけない」と語っていたが、宇佐美の個人的な数字の引き上げはマストと言っていい。
ポヤトス監督もそのためにウェルトンや山下を昨季と反対のサイドでトライしたり、レンタルバックした若手の唐山翔自、南野遥海らを前線に置いたりと、様々な組み合わせを試している。そういった試みがエースのゴール増、そして他のアタッカーの得点パターン拡大など、数字的な上積みにつながれば一番良い。
そうなるように、宇佐美はこれからも率先して仲間と意思疎通を図り、良好な関係性を構築していく必要がある。多くの人が考えているように、やはり今季もG大阪はこの絶対的なリーダーの一挙手一投足にかかっている。それは紛れもない事実である。