【ガンバ大阪の“24年”が感じさせた25年のタイトル奪還の可能性(2)】最大の課題は宇佐美貴史以外の得点源確立。就任3年目・ポヤトス監督の攻撃陣テコ入れ策は?

2025年はJ1、YBCルヴァンカップ天皇杯に加え、AFCチャンピオンズリーグACL)2への参戦可能性が出てきたガンバ大阪。ACL2に関しては、正式な出場権獲得は川崎フロンターレ、横浜F・マリノスのACLエリート、サンフレッチェ広島のACL2の結果次第となるが、本当にアジアの舞台に挑むことになれば、秋以降は超過密日程を強いられることになる。

2023年の浦和レッズ、2024年の広島がシーズン終盤のハードスケジュールによって失速し、無冠に終わったのは周知の事実。そういった前例を踏まえながら、ガンバも分厚い選手層を構築して必要がありそうだ。

守備陣に関しては、一森純中谷進之介が主軸というのは来季も不変だろうが、万が一、彼らが負傷離脱した場合も考えておくべき。一森のところはベテラン守護神・東口順昭がいるし、17歳にしてU-19日本代表の正GKをつかんでいる荒木琉偉も急成長しているから何とかなるだろうが、中谷がいなくなったら堅守が崩れてしまいかねない。

そのタイミングで三浦弦太がフル稼働できる状態であればまだいいが、センターバック(CB)のバックアップ人材強化は必須。すでにジェフユナイテッド千葉から左利きCBの佐々木翔悟の獲得に踏み切っているが、彼がいつ戦力に加わってくるかを見定めることが肝要ではないか。

■中谷進之介のE―1召集が確実視される中で

中谷に関しては、7月のEー1選手権(韓国)での日本代表抜擢が確実視されるだけに、これまで以上にコンディションを万全にすることが求められる。本人はオフシーズンも個人トレーナーをつけて強化に取り組むということだが、さらなるパワーアップに期待を寄せたい。

中盤に関しては、ダワンと鈴木徳真のボランチ、山下諒也山田康太・ウェルトンの2列目アタッカー陣が来季も軸を担うと見ていい。12月終盤の時点で新戦力は神村学園高校の超高校級アタッカー・名和田我空や、ロアッソ熊本へのレンタル移籍からの復帰が28日に発表された唐山翔自らわずか。ここからさらに動きがあると見られるが、今季の成長株である美藤倫、松本山雅にレンタルで出ていた中村仁郎らも含め、戦力アップに勤しんでいくべきだ。

FWも今季はエース・宇佐美貴史への依存度が高かったが、その宇佐美も来年は33歳。現在も負傷離脱しており、2025年にシーズンフル稼働できるかどうか分からない部分がある。今季は体重を絞り、体のキレを出すトライが奏功し、非常にいいパフォーマンスを見せたが、つねに同じ状態を期待するのも酷だ。

■完全復活が求められる林大地

だからこそ、今夏加入した林大地、今季やや低調なパフォーマンスに終わった食野亮太郎らの復調が求められるところ。イッサム・ジェバリら外国人選手の入れ替えがあるかどうか分からないだけに、日本人選手の個のレベルアップは必須。坂本一彩がいつまで日本でプレーするか分からない分、林には完全復活を期待したい。

ご存じの通り、彼は2021年夏の東京五輪で予備登録から正式メンバー入りし、最終的には上田綺世(フェイエノールト)からポジションを奪い取った実績がある。その後、赴いたシントトロイデンやニュルンベルクではブレイクしきれなかったが、泥臭くゴールを追い求めるアグレッシブさは誰にも負けない。本人もジュニアユース時代を過ごした古巣で成功を収めたいと躍起になっているはず。その思いをピッチにぶつけて、宇佐美と並ぶ得点源になってもらいたい。

いずれにしても、ダニエル・ポヤトス監督体制3年目のガンバは何としてもタイトルを奪還しなければいけない。今季は天皇杯であと一歩のところまで迫ったが、来季はそこからもう一段階、上のステージに上がれるようにチーム全体の総合力を引き上げていくことが肝要だ。

堅守に多彩な得点力が加われば鬼に金棒。そういうベストな状態を作り上げてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)

前編より

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