24年“J助っ人”ベストイレブンは?|ガンバ躍進に貢献したダワンは外せない。ヤン・マテウスは稼働率の高さが光った【識者選出】
フィニッシュにも絡むダイナミックさは特筆すべき点
古くはドラガン・ストイコビッチやドゥンガ、最近だとオルンガ、レアンドロ・ダミアンのように、Jリーグには傑出した能力を誇る持つ外国人選手が常にいて、見る者を魅了し続けてきた。
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今季に活躍した助っ人たちに目を向けると、まずGKは名古屋に二度目のルヴァンカップのタイトルをもたらしたランゲラックがベスト守護神と言っていい。
2024年の名古屋は、リーグ戦は11位と予想外の低迷を強いられたが、カップ戦の優勝というのも大きな価値がある。11月2日のファイナル新潟戦は120分間の末、PK戦にもつれ込む死闘となり、ランゲラックは2人目のキッカーとしてシュートを決め切るなどの活躍でMVPに輝いている。今季限りで日本を離れたが、本当に世界基準のハイレベルなGKだったのは確か。7年間のJリーグへの貢献も含め、この男がベストイレブンに相応しい。
守備陣は神戸のリーグ連覇、天皇杯との二冠へと牽引したマテウス・トゥーレル、町田の躍進&J1最少失点の立役者となったドレシェヴィッチをまず抜擢。この2人は順当だろう。
問題はもう1人で、エドゥアルド(横浜)、ハ・チャンレ(名古屋)、ドウグラス・グローリ(福岡)など複数候補がいるなか、試合出場数と存在感の大きさから浦和のマリウス・ホイブラーテンを選んだ。
今季の浦和の成績や失点数を考えると賛否両論もあるだろうが、彼がいるかいないかで浦和守備陣の安定感は全く違っていた。9月にマチェイ・スコルジャ監督が復帰してからは失点数が確実に減っており、その原動力になったのも事実だろう。2025年にはクラブW杯もあるだけに、ホイブラーテンにはさらなる期待を寄せたいところだ。
中盤は助っ人が少ないため、選ぶのが難しかったが、G大阪の躍進請負人となったダワンは外せない。鈴木徳真とのコンビでチーム全体を安定させ、時にはフィニッシュにも絡むダイナミックさは特筆すべき点。改めて高く評価したい。
もう1人は左MFを主戦場とする柏のマテウス・サヴィオを選んだ。彼の圧倒的な存在感とインパクトは誰もが認めるところ。柏が最終節までJ1残留争いに巻き込まれたにもかかわらず、彼がJリーグのベストイレブン入りしたのを踏まえても、突出した能力がよく分かる。得点数は9だが、サヴィオのポテンシャルを考えれば、もう少し数字を伸ばしてほしいところ。
MVPはアンデルソン・ロペス一択
サイドアタッカーでは、右は横浜のヤン・マテウス、左はG大阪のウェルトンを選んだ。横浜は今季9位で、シーズン途中にハリー・キューウェル監督が更迭されるなど苦しい1年を過ごしたが、ヤン・マテウス自身は35試合に出場し5得点・8アシストと結果を残し、さらにアジア・チャンピオンズリーグエリートでも浦項戦などでゴールを決めるなど、稼働率の高さが光った。
ウェルトンも32試合出場で4ゴール・6アシストとまずまずの成績を残している。しかも彼の左サイドの突破力と推進力はJリーグ基準をはるかに超えており、対峙した全ての相手が手を焼いていた。それだけの迫力をピッチ上で体現できる選手はそうそういない。来季はよりゴール数を伸ばし、点の取れるアタッカーへと変貌してほしいものである。
最後にFWだが、24ゴールで得点王に輝いた横浜のアンデルソン・ロペス、21点で2位のC大阪のレオ・セアラ、14点で6位にランクインした鳥栖のマルセロ・ヒアンの3人をピックアップした。
それぞれが在籍したチームはいずれも優勝争いに参戦できず、鳥栖に至っては13年ぶりのJ2降格を余儀なくされたが、マルセロ・ヒアン自身は怪我で離脱した夏場と11月を除いてフル稼働。その時期にピッチに立てていたら、20点越えも十分にあり得るほどの得点力を示していた。
「フォワードに求めるのは、一番はゴールを決めること」と日本代表の森保一監督も口癖のように語っているが、やはりゴールを決めてくれる外国人FWの有無はチームの成績に直結する。そういう意味でも、この3人が好評価されるのはしかるべきである。
この中でMVPに該当するのは、やはりアンデルソン・ロペス一択だろう。J1ゴール数のみならず、ACLEでのコンスタントな結果など、彼こそが2024年最高のストライカーだというのに異を唱える者はいないはず。
横浜は来季から元イングランド代表ヘッドコーチのスティーブ・ホーランド監督を招聘したが、新指揮官のもとでアンデルソン・ロペスがどう進化していくかは興味深いところ。この選手には2025年もJリーグをリードし続けてもらいたい。



