個人昇格あるか!? J1クラブに推薦したいJ2最強の外国人選手6人。トップカテゴリーで見たい怪物たち
2024シーズンの明治安田Jリーグも全日程が終了。各クラブは、早くも来季に向けての補強に動いている。その中には様々なケースがあるが、いわゆる「個人昇格」はとくに注目ポイントと言えるだろう。今回は、個人昇格を狙えそうなJ2最強の外国人選手を紹介する。※来季J1に昇格する清水エスパルス、横浜FC、ファジアーノ岡山に所属する選手は対象外。スタッツはデータサイト『transfermarkt』を参照。情報はすべて12月13日時点。
【一覧】移籍情報2025 Jリーグ全60クラブ 新加入・昇格・退団・期限付き移籍・現役引退
DF:ラファエル(ブラジル出身)
生年月日:2000年11月15日
所属クラブ:栃木SC
今季リーグ戦成績:32試合1ゴール1アシスト
栃木SCに所属するDFラファエルは、今季最も評価を高めた選手の1人だろう。
現在24歳のラファエルはブラジル出身。昨夏の移籍市場で母国のアナポリスから日本へと活躍の場を移した。これが初めての海外挑戦だ。
その大きな魅力は、身長189cmという恵まれたフィジカルを有しているところだろう。力強いディフェンスで対峙する相手に自由を与えない。また、その強靭な肉体はエアバトルにも活かされており、今季は空中戦勝率60.4%を記録。ヘディングから1ゴールを奪った(Jリーグ公式記録参照)。
ポテンシャルの大きさを評価されていたラファエルだったが、昨季はリーグ戦5試合の出場にとどまった。今季は一転、リーグ戦32試合に出場し、その能力の高さを存分に見せつけている。
主力として活躍した今季は、試合の随所で正確なフィードを右足から供給。攻撃面でも貢献できることを証明した。屈強な体格には似つかない繊細さも持ち合わせている。
強い、高い、巧いの三拍子に加えて、若い。攻守両局面で存在感を発揮するラファエルはJ1の舞台でも活躍できるのではないだろうか。今後さらに完成度の高いディフェンダーへと進化する可能性もある。
来季ラファエルがどのユニフォームに袖を通しているかは分からないが、そのプレーには要注目だ。
DF:カイケ(ブラジル)
生年月日:2001年5月30日
所属クラブ:徳島ヴォルティス
今季リーグ戦成績:31試合0ゴール1アシスト
開幕から絶不調に陥り、今季の降格最有力候補として考えられていた徳島ヴォルティスだったが、後半戦で劇的な復調を果たし、最終的に8位まで順位を上げている。そんな中で、DFカイケはチームをJ1残留に導いた選手の1人となった。
23歳のブラジル人DFは、2022年にV・ファーレン長崎に加入した。昨季は大宮アルディージャに、そして今季は徳島に期限付き移籍している。これまではシーズンを通して安定した出場機会を確保するには至っていなかったが、今季はリーグ戦31試合に出場。主力としてチームを支えた。
最大の特徴は、圧倒的な高さとリーチの長さである。カイケは身長190cmとJリーグ有数の大型DFであり、いとも簡単に相手からのロングボールを弾き返す。また、長い足を使って相手選手からボールを絡めとることが可能で、守備範囲が広い部分も大きな武器だ。
高い身体能力を誇るカイケに対して、最終ラインにテコ入れを図りたいJ1のクラブが関心を示しても不思議ではない。彼ほどサイズのある選手はJ1にも殆どいないからだ。
現状は長崎から期限付き移籍中であり、長崎に復帰するシナリオも、徳島に完全移籍するシナリオも考えられるだろう。
まだ23歳と若く、足元の技術面なども含めて荒削りな部分も少なくない。が、ポテンシャルはJ2でプレーするディフェンダーの中でも随一のものをもっている。
MF:マテウス・ジェズス(ブラジル出身)
生年月日:1997年4月10日
所属クラブ:V・ファーレン長崎
今季リーグ戦成績:36試合18ゴール7アシスト
今季のJ2リーグでマテウス・ジェズスは凄まじいインパクトを放っていた。どこからでもゴールネットを揺らしてしまうダイナミックなプレーに目を奪われた人も多いだろう。
現在27歳のブラジル人が初めてJリーグに参戦したのは2018年まで遡る。ポルトガルのエストリル・プライアに所属していたジェズスはサントスに続く期限付き移籍先にガンバ大阪を選んだ。
G大阪では公式戦18試合に出場したものの、監督交代の煽りを受けて出場機会が激減。シーズン途中にチームを去ることになった。
その後、ポルトガルやブラジルのクラブを期限付き移籍で転々としていたジェズスだったが、昨季にJ2のV・ファーレン長崎に完全移籍を果たす。ようやく安住の地を見つけた形だ。
もともとはボランチを主戦場にしていたが、長崎では2列目や最前線など攻撃的なポジションで起用されている。これにより、持ち前の攻撃性能が完全開花。在籍2年目となる今季、ついに鋭いシュートでゴールを狙うハンターへと変貌した。
今季はリーグ戦36試合で18ゴールをマークし、J2得点ランキング2位に名を連ねている。そのパワフルなプレーはJ1でも猛威を振るうことが十分に予想でき、ジェズス獲得に動き出すクラブが現れるかもしれない。
J2を蹂躙した左足は、来季どのクラブにあるだろうか。
MF:マルコス・ギリェルメ(ブラジル出身)
生年月日:1995年8月5日
所属クラブ:V・ファーレン長崎
今季リーグ戦成績:35試合12ゴール8アシスト
V・ファーレン長崎は惜しくもJ1昇格を逃してしまった。残念な結果になったとはいえ、チームがあと一歩のところまで迫ることができたのは、マルコス・ギリェルメの存在が大きいだろう。
現在29歳のギリェルメは、サンパウロやサントスなど母国ブラジルの名門クラブに所属した実績をもつプレイヤーだ。2023年夏に、長崎へ完全移籍を果たした。
昨季は途中加入ではあったものの、リーグ戦15試合に出場。3アシストの活躍を残した。
在籍2年目となる今季は、序盤戦ではスーパーサブとしての起用がメインだったが、徐々に出場時間を伸ばして後半戦では先発起用される試合がほとんどとなった。最終的にリーグ戦35試合(うち24試合に先発)に出場。12ゴール8アシストと素晴らしい成績を残している。
長崎がJ1に昇格できなかったため、ギリェルメや同胞のマテウス・ジェズスなどがJ1のクラブに引き抜かれる可能性は否定できない。どちらも2桁得点を達成しており、獲得すれば必ずチームの攻撃力をアップしてくれるだろう。
DF:ペレイラ(ブラジル出身)
生年月日:1997年1月31日
所属クラブ:大分トリニータ
今季リーグ戦成績:27試合2ゴール2アシスト
J2リーグでプレーする助っ人外国人選手の中でも、大分トリニータのペレイラはかなり評価の高い選手と言えるのではないだろうか。
母国ブラジルのアトレチコ・ゴイアニエンセでプレーしていたペレイラは、2021年に大分(当時J1)に期限付き移籍で加入することを決断。海外挑戦1年目となった2021シーズンは公式戦15試合の出場にとどまったが、天皇杯決勝でゴールを決めるなど鮮烈なインパクトを残した。
J2に舞台を移した2022シーズンは、定位置を確保してリーグ戦36試合に出場。シーズン終了後、大分に完全移籍したことが発表された。
昨季も引き続き主力として活躍し、リーグ戦32試合に出場した。期限付き移籍期間も含めて在籍4年目となる今季は、リーグ戦27試合に出場。10月にはJリーグ通算100試合出場を達成している。
「守備者」としてのペレイラの魅力は、危機察知能力が高く、素早いカバーリングでスペースを埋めることができるところ。だが、それに加えて高い得点力も兼ね備える「攻撃者」であることを忘れてはならない。
2022シーズンはディフェンダーながらリーグ戦5ゴールを奪う活躍を見せ、今季は第26節・ロアッソ熊本戦(2-1)で試合終了間際にヒールでのスーパーゴールを披露。8月の月間ベストゴールにも選ばれた。
J2で長く安定した活躍を残しているという事実は、助っ人外国人選手を評価する上で重要な指標だ。ペレイラ引き抜きに動くJ1クラブが現れてもおかしくないだろう。
FW/MF:アダイウトン(ブラジル出身)
生年月日:1990年12月6日
所属クラブ:ヴァンフォーレ甲府
今季リーグ戦成績:33試合14ゴール3アシスト
34歳となったブラジル人FWの嗅覚はまだまだ衰えることはないようだ。ヴァンフォーレ甲府のFWアダイウトンは、リーグ戦で14ゴールを奪っている。
2020シーズンからはFC東京でプレーした。加入初年度にはYBCルヴァンカップ優勝に大きく貢献し、2022シーズンには12ゴールをマークして、自身初となるJ1年間2桁ゴールを達成している。
そんなアダイウトンが今季、次なるプレー先として選んだのが甲府だ。
昨季はFC東京でリーグ戦3ゴールにとどまった同選手だったが、J2の舞台では別格の輝きを放った。2列目から一気に最前線に飛び出し、狙い澄ましたシュートでゴールネットを揺らす…。得意な形でゴールを量産し、14ゴールを奪った。
ブラジリアン助っ人の活躍に反してチームは低迷したが、彼の実力を考えればJ1に昇格したチームなどが獲得に興味をもつかもしれない。
現在34歳と年齢面のネックはあるが、今季のパトリック(名古屋グランパス)のようにスーパーサブとして起用する選択肢もある。経験豊富なゴールハンターの獲得に動き出すクラブは現れるだろうか。



