平畠啓史チョイス“至極の11人”|鹿島のボランチはプレー強度が高く、本当に頼もしい。MVPは微塵の迷いもなく神戸の牽引車【J1月間ベストイレブン11・12月】
山川哲史は鉄壁のパフォーマンス
芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦。Jリーグウォッチャーとしておなじみの平畠啓史氏がセレクトする「J1月間ベストイレブン」。本連載もこれが今季のラスト。11・12月の栄えある11人はどんな顔ぶれになったか。
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12月8日の最終節を終え、J1リーグも全日程終了。最終節、プレー強度の高い神戸らしい戦いぶりで、湘南に勝利し神戸がJ1リーグチャンピオンに輝いた。リーグ2連覇、今シーズンは天皇杯優勝もあり二冠! 神戸にかかわるすべての皆様、2連覇そして二冠おめでとうございます。
さて、11月はルヴァンカップ決勝や天皇杯決勝、日本代表の活動などもあり、イレギュラーな日程になったJ1リーグ。延期された試合の消化や後半45分だけのゲームもあり、試合数にバラつきがあった11月と12月を合わせたなかでのベストイレブン、MVPを勝手にセレクトしてみたい。
GKは京都の太田岳志。今シーズン、スタメン1試合、途中出場2試合だったが、11月3日の広島戦でスタメン起用されると、ラスト5試合で2失点。その広島戦では好セーブ連発。目の前でバウンドするようなボールにも落ち着いて対応。広島の大迫敬介も好パフォーマンスで両ゴールキーパーがゲームを引き締めた。出番は少なくとも、常に準備を怠らない姿勢が好パフォーマンスに繋がった。
DFは3人。神戸の山川哲史は鉄壁のパフォーマンス。最終節の湘南戦ではゴール前の守備はもちろん、それより前に相手フォワードに対応し仕事をさせなかった。神戸の対戦相手がいつもより走り切れていないように見えるのは、相手のチームがさぼっているわけではなく、神戸が相手に走らせない守備をしているから。シーズン終盤も山川のパフォーマンスが落ちることはなかった。
G大阪はシーズン終盤6戦負けなし4連勝。そのなかでも、ディフェンスリーダー中谷進之介は好パフォーマンスを継続。そして、今シーズンはフルタイム出場。後方からチームを支えるだけでなく、最終節ではゴールも決めた。今シーズンのG大阪にとって中谷はまさに不可欠な存在だった。
もう一人はG大阪の2アシストの黒川圭介。左足のキックの精度は言うまでもないが、常に良いポジションを取り、ビルドアップで苦しくなっても黒川がボールを受けることで落ち着きを取り戻すことができる。ウェルトンがスピードに乗って前進しても、しっかりついて行ってサポートすることも怠らない。数字やデータでは表現されないかもしれないが、効果的な仕事が多かった。
ATに執念のゴール。その後の筋肉美も
ボランチは鹿島の知念慶。相手に寄せるだけではなく、ボールを奪い切ってしまう。プレー強度が高く、本当に頼もしい。攻撃に関わるシーンも増え、11月、12月負けなしの鹿島の中でも貢献度は高かった。
ボランチのもう一人は川崎の山本悠樹。ボールを受けて運んでパスというプレーの連続性が素晴らしい。そして、パスカット時の読みが絶妙。ギリギリでボールを奪うというより、完全に読み切ってボールをカットするので、その後の攻撃にスムーズに移行できる。攻守両面で存在感を発揮していた。
中盤の右には神戸の武藤嘉紀。柏戦で口を切りながらアディショナルタイムに執念のゴール。その後の筋肉美。闘う姿勢を90分間、そして1シーズン貫き通せる選手。圧倒的な存在感は、シーズンが進むにつれてさらに増していった。
左には、通常右サイドだが鳥栖の中原輝。名古屋戦の2ゴールも見事だったが、最終節・磐田戦の2アシストも素晴らしすぎた。サイドでのプレーの印象が強いが、インサイドに入っての絶妙スルーパスは圧巻。技術力の高さを証明した。
前線の1人目は横浜のアンデルソン・ロペス。3試合連続ゴール、ハットトリックもあり4試合で5ゴール。トータルでも24ゴールを奪い見事に得点王に輝いた。強さと繊細さを兼ね備えるアンデルソン・ロペス。今シーズンも存在感絶大だった。
2人目は川崎の山田新。東京V戦のハットトリックを含む、4試合で4ゴール。相手にドリブルで仕掛けて並走するような状態になった時に、身体をねじ込んでいくような強さ、使い方が個人的には大好きだ。フォワードに必要な要素をたくさん持っている山田。今後の活躍も楽しみにしたい。
3人目はG大阪の坂本一彩。3試合で3ゴール。宇佐美貴史が負傷し苦しくなりそうなシーズン終盤のG大阪だったが、坂本が前線で存在感を発揮し、10月23日の名古屋戦を含めれば4試合で5ゴール。
シュートのタイミングを見逃さず、しっかりとネットを揺らした。守備での貢献も大きく、苦しい時には少し下がって顔を出すなど、ゴールだけでなく仕事量も非常に多い。トータル10ゴールの坂本。これからの飛躍が楽しみなフォワードだ。
そしてMVPは神戸の武藤。労を惜しまず闘い続け、神戸を牽引し優勝に導いた。微塵の迷いもなく武藤をMVPにします。



