運命のJ1最終節 2連覇&国内2冠達成に王手の神戸 ホーム湘南戦の見どころは 番記者に聞く

サッカー・J1で2連覇に王手をかけ、天皇杯に続く国内2冠達成目前のヴィッセル神戸。J1最終節となる8日の第38節ではホームで湘南ベルマーレと対戦します。勝てば自力で優勝が決まる一戦を前に、2日放送のラジオ番組『GOGO!ヴィッセル神戸』(ラジオ関西)では、この試合を展望。ヴィッセルの番記者で、日刊スポーツ記者の永田淳さんに話を聞きました。

【表】運命のJ1最終節 優勝の条件は?

ヴィッセルは11月30日に行われたJ1第37節、柏レイソルとのアウェイ戦では、序盤に先制される苦しい展開のなか、土壇場にFW武藤嘉紀選手の執念のゴールで追いつき、1-1のドロー。勝ち切れなかったとはいえ、貴重な勝点1を獲得しました。

後半アディショナルタイムに入った直後に得たPKの好機をエースFW大迫勇也選手が外したことで、敗色濃厚という空気も流れていただけに、起死回生の同点ゴールは、チームにとってとてつもなく大きな価値を持つものになったと言えるでしょう。

現地取材を行った永田さんも、「もちろん、勝点3がとれればベストだったと思うが、その1をしぶとく取ったことで、最終節に勝てば文句なしに優勝を決められる状況になった。仮に“1”をとれていなかったら、広島と勝点で並ぶも、得失点差で不利になるので、そういう意味では(勝点1獲得は)すごく大きかったと思う」とコメントします。

第37節を終えて、首位ヴィッセルは勝点69(得失点差+22)。しかし、2位サンフレッチェ広島(勝点68(得失点差+31)との差はわずか1。3位のFC町田ゼルビア(勝点66、得失点差+22)も含めて、3チームに優勝の可能性が残された激戦の優勝争いのなかで、運命のシーズンラストゲームに臨みます。

ヴィッセルの優勝条件は、勝てば文句なく自力で決定。引き分けの場合は、広島が引き分け以下。敗れた場合は、広島が負け、町田が引き分け以下の結果が必要となります。

それでも、8日のホームゲームで、ヴィッセルは、昨シーズンと同じく、地元で、ノエビアスタジアム神戸に集うクリムゾンレッドサポーターの大観衆の前で、優勝を決めるチャンスがやってきました。

今シーズン最後の相手となる湘南は、すでにJ1残留、15位以上が確定。この試合で何かがかかっているというものはないですが、ヴィッセルにとって「難しい試合になると思う」と、永田さん。シーズン後半戦では広島、町田、ガンバ大阪、鹿島アントラーズといった上位陣から次々と勝利するなど躍進を遂げていただけに、「リーグ15位とはいえ、今年、僕が見た試合の印象でいえば、すごく強い。攻撃も守備もすごくアグレッシブで、後ろからしっかり組み立てて、前線にもすごくいきのいい選手がいる」と評価していました。

ヴィッセルと湘南のJ1での対戦成績は、ヴィッセルの8勝8分け9敗と、ほぼ五分。今季、湘南とは1度、J1第9節で対戦し、そのときはアウェイで1-0と勝利。アディショナルタイムに武藤選手のゴールで劇的な白星をつかみとりましたが、拮抗した戦いを繰り広げていただけに、クリムゾンレッドにとってはやっかいな相手であることは間違いありません。

接戦必至の顔合わせですが、永田さんの予想スコアは、「2-1で神戸の勝ち」。前節のPK失敗のリベンジを誓う大迫選手や、今シーズンのヴィッセルで活躍が目立ったFW宮代大聖選手のゴールを期待しつつ、「まず自分たちが勝てば決められるということで割り切ってやれると思う。広島や町田はアウェイ戦であり、ACL出場権獲得を目指すガンバ、鹿島という相手との上位対決なので、難しい試合になる。ホームでやれる神戸は優位になるかなと思う」と、優勝争い中の3チームのなかで唯一ホームで戦える利点も強調していました。

湘南戦のJ1ホームゲームは、2021シーズンから3連勝中。この相性のよさもいかしたいところ。ちなみに、ノエスタで湘南に敗れたのは2度(2018年、2020年)ありますが、いずれも現ヴィッセル所属のMF齊藤未月選手が得点を決めた試合でした。

一方、チームで心配なのは、連戦が続くなかでの選手のコンディション。特にFWジェアン・パトリッキ選手ら負傷離脱した選手の状態は気になるところです。「彼らの状態についてはっきりしたことはわからない。いないとなると痛いのは痛いが……」という永田さんですが、「今季のチームが積み上げてきたものや、選手層の厚さ、誰が出ても一定の戦いができるようになっているということもあるので、そのあたりでは不安を感じすぎなくてもいいのではと思う」と、リーグ戦、カップ戦で多くの選手を使いながら好成績を残してきたチームの総力に期待を寄せていました。

3日には、AFCチャンピオンズリーグエリートのリーグステージ・浦項スティーラーズとの試合を、韓国で行ったヴィッセル。結果は1-3と、今季のACLEで初黒星を喫しましたが、柏戦から中2日の一戦で先発を総入れ替えしたなか、PKゴールを決めたFW佐々木大樹選手や、けがから復帰後初のフル出場となったキャプテン・MF山口蛍選手、チームでの台頭が目覚ましいMF鍬先祐弥選手らが奮闘。選手層の厚さを改めて感じられた試合でもありました。大迫選手、武藤選手、GK前川黛也選手、DFマテウス・トゥーレル選手、MF扇原貴宏選手ら主軸を温存できたことも、J1最終節につながるはずです。

「一応、今年の頭に順位予想を出しているが、僕はヴィッセルの2連覇を予想させてもらっているので、そこは当たったことにしてほしい!」という永田さん。その通りの結果になるのか、それとも……。8日午後4時ごろには、J1優勝争いの結果が判明しているでしょう。そのときには、昨シーズン同様、ホームでヴィッセルの選手たちがシャーレを掲げる姿を見たいものです! 運命の一戦のキックオフは、8日午後2時です。(ラジオ関西『GOGO!ヴィッセル神戸』)

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