【18位争いは磐田、柏、新潟の三つ巴に。ラスト2節、J1残留争いの行方(1)】首の皮一枚つながったものの札幌は降格濃厚。磐田はラスト3戦で奇跡を起こせるか……修正急務なポイントとは
2024年J1も最終盤を迎え、上位・下位ともに混沌とした状況が続いている。
第26節を終えて、タイトル争いは勝ち点68の首位・ヴィッセル神戸、同65の2位・サンフレッチェ広島が同65、同63の3位・町田ゼルビアが同63の3チームに絞られた。そして同60の4位・ガンバ大阪と同58の5位・鹿島アントラーズがAFCチャンピオンズリーグ(ACL)圏内の3位を狙っている状況だ。
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このうち、鹿島だけは試合消化数が1つ少ない。11月17日の京都サンガ戦に勝てれば、ACL圏内も見えてくる。しかも12月8日の最終節は鹿島と町田の直接対決。そこまで可能性を残したいところだが、9日の名古屋グランパス戦で鈴木優磨が退場。最低でも2試合出場停止は確実ということで、エース不在で最大の難局をどう乗り切るかが注目される。
一方のJ1残留争いだが、すでに最下位・サガン鳥栖の降格が決定。残る2枠をコンサドーレ札幌、ジュビロ磐田、柏レイソル、アルビレックス新潟の4チームで争う構図になったと見ていいだろう。
現状では、19位・札幌が勝ち点34、18位・磐田が同35、17位・柏が同40、16位・新潟が41。磐田だけは残り試合が1つ多いため、最大勝ち点9を稼げるという点を頭に入れておく必要がある。
このうち、札幌は2連勝できれば最大勝ち点が40で柏と並ぶが、得失点差で9も差がある。最終節は両者の直接対決なのだが、そこで逆転残留を果たそうと思うなら、12月1日の次節・広島戦で大量得点勝利を手にすることが絶対条件になってくる。
■ジュビロ磐田の行方
広島も10日の浦和レッズ戦で0-3と大敗を喫しており、可能性はゼロとは言えないが、ミヒャエル・スキッベ監督も修正を図ってくるはず。ペトロヴィッチ監督の攻撃サッカーをもってしても、古巣を圧倒するのは非常に難しい。となれば、現実的には残留の可能性はかなり低いと言うしかない。
「J2に落ちたとしてもクラブをサポートしてほしい」とミシャ監督は9日の湘南ベルマーレ戦後にコメントしたというが、これは今季限りで退団する札幌に対して自身が発信できる最大限のメッセージだったのかもしれない。
2024年の札幌はシーズン開幕前にルーカス・フェルナンデス、田中駿汰(ともにセレッソ大阪)、福森晃斗(横浜FC)ら有力選手が移籍。夏にも金子拓郎(コルトレイク)が去り、チーム作りが困難を極めた。夏に加入した大崎玲央、パク・ミンギュは重要な戦力となったが、助っ人選手が不発。得点力アップが叶わなかったのも痛かった。
降格濃厚の札幌に比べると、磐田はまだ諦める必要はない。残り試合はJ1残留の決まった横浜F・マリノス、FC東京とJ2行きの決まった鳥栖で、いずれも磐田よりモチベーションの低い相手。そこも追い風だ。
直近の神戸、ガンバ戦での連敗はダメージが大きかったが、ガンバ戦では1-3の状況から一時、3-3まで追いつく粘りを見せた。同時刻に行われていた柏対新潟戦が、柏リードで進んでおり、そのまま終わっていたら、磐田は絶望的な状況に追い込まれていた。そこで最後の最後に新潟が追いついて勝ち点1を分け合ったことも、彼らが運を持っている証拠かもしれない。
今の磐田は夏に加入した渡邉りょうがガンバ戦で目の覚める先制ゴールを決め、同じタイミングで加わったジョルディ・クルークスもいい働きを見せるなど、攻撃陣は確実に上向いている印象だ。生え抜きの上原力也、鈴木海音らも意地の一発を決めるなど、「何としてもJ1に残りたい」という意識をチーム全体が鮮明にしている。それも前向きな要素と言っていい。
■修正急務は守備面
ただ、ガンバ戦で4失点している通り、守りの方は修正は急務だろう。名守護神・川島永嗣が最後尾に控えていると言っても、重要局面で小さな綻びが生まれるようだと、勝てる試合も勝てなくなる。ガンバ戦の決勝点などはまさにそう。どこまで細部にこだわれるかが残り3試合の命運を大きく左右しそうだ。
もともとはボールを保持する攻撃サッカーを横内昭展監督も、すでにJ1残留へと完全に舵を切っている。それを全員で共有し、簡単に失点せず、1点をしぶとく勝ち切るような形に持ち込めれば、何かが起きる可能性もある。1年でのJ2逆戻りだけは阻止すべく、スタッフ・選手一丸となってまずは16日のマリノス戦に向かっていくべきだ。 (取材・文/元川悦子)