J1札幌残留へ黄信号…G大阪に痛恨の逆転負け「大きなショック」と指揮官
◆サッカー◇明治安田J1▽第33節 G大阪2―1北海道コンサドーレ札幌(5日、パナスタ)
北海道コンサドーレ札幌が、J1残留に黄信号が灯る敗戦を喫した。アウェー・G大阪戦は前半8分、初先発のFW白井陽斗(24)が、古巣相手にJ1初得点を決めて先制。1点リードを守って迎えた後半アディショナルタイム、G大阪FW宇佐美貴史(32)に2点を決められ、1―2で逆転負けした。この日試合のなかった残留圏の17位・湘南とは、残り5試合で勝ち点6差のまま。目標達成への道のりは極めて厳しくなった。
最後の最後に、勝ち点が札幌の手からこぼれ落ちた。1点リードを全員で守り続け、後半ATに突入したが、そこから2失点しての逆転負け。J1残留が遠のく1敗に、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(66)は「何と言っていいか、言葉に詰まる。大きなショックだ」と険しい表情で息をはいた。
前半8分に先制するも、主導権は握られた。シュート数は4対18と圧倒され、クロスバーに2度、救われた。それでも全員が体を張ってゴールは割らせなかったが、最終盤に悪夢が待っていた。DF岡村大八(27)は「89分までの試合運びは完ぺきだったが、DFとして最後に失点したら意味はない。2失点目の場面は、相手が誘ってきているのは分かっていた中で、中に行かれてもスライディングすれば足に当たるという自分の能力の過信。あれは自分の責任」と唇をかんだ。
試合前まで残留圏の17位にいた柏が勝ち、15位に浮上。17位の湘南は5日は試合がなかったが、6日の東京V戦に勝てば、勝ち点差は9に広げられる。目標が遠のく敗戦に、MF駒井善成(32)は「非常に痛い。可能性は消えていないが、この負けで更に追い込まれた」と言葉を絞り出した。
状況の厳しさは皆、痛感している。状況を理解した上で、駒井は「全勝しか道はない。毎試合毎試合、ベストを尽くしてやるしかない」と気を取り直し、岡村も「痛い敗戦だが次に切り替えて、諦めることなくやっていかなければいけない」と前を向いた。残り5試合、奇跡を信じて戦い抜くしかない。(砂田 秀人)
*****
J1初先発のピッチで、白井が結果を出した。前半8分、前線で相手DFからボールを奪うと、右サイドの角度のない位置から左足を振り抜いた。低い弾道は逆サイドのゴールに吸い込まれ、J1初得点に。「昨日(4日)、先発があるかもと聞かされて。その時点で得点もあるかもなと」。自信と予感が的中し、頬が緩んだ。
大阪出身でジュニアユースからG大阪育ち。ユースから昇格も、J1では一度しかピッチに立てず、J2岡山、J3琉球と移籍を重ねた。7月に札幌に加入し、迎えた里帰りに、選手紹介の際には相手ファンからも大きな拍手が送られた。記念弾も勝利には結びつかなかったが、「チームが勝つのがもちろん一番だが、個人としてもガンバから点を取れて。自信につながる一歩」とうなずいた。思い出の地での一発を皮切りに、更なる飛躍を図っていく。