【G大阪】宇佐美貴史がアディショナルタイムに2発 10戦ぶりの勝利に「今までで一番、感極まったゴール」
◆明治安田J1リーグ▽第33節 G大阪2―1札幌(5日・パナソニックスタジアム吹田)
5位のG大阪が大逆転で10試合ぶりの白星を挙げた。1点を追う後半アディショナルタイム(AT)に、元日本代表FW宇佐美貴史(32)が一挙2得点。起死回生の勝利で、クラブワーストに並ぶ10試合連続勝ちなしを免れた。3位・町田は今季リーグ戦最多失点の1―4で川崎に大敗。初昇格初優勝が遠のく今季初の2連敗となった。
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ヒーローは倒れ込んで涙した。「本当に苦しかった。今までで一番、感極まったゴールだった」。1点を追う後半AT4分。相手ハンドで得たPKを、宇佐美は鋭くゴール左に決めた。同8分には相手2人をかわしてペナルティーエリアに切り込み、右足で逆転弾。「絶対もう一発決めてやるって強い思いを思っていたから、チャンスを手繰り寄せられた」と胸を張った。
長いトンネルからの脱出だ。2日の大阪ダービーから中2日だったため、欠場を除けば5月3日の福岡戦以来のベンチスタート。出番は1点を追う後半20分に巡ってきた。「0―1で負けている時が、前(FW)の選手としては燃える」。2ゴールで15年以来の2ケタ到達となる11得点。劇的な一勝に「本当に主人公だと思う」と笑いつつ、主将の重圧も漏らした。
負けか引き分けなら、クラブワーストに並ぶ10試合連続勝ちなしの窮地。「チームを勝たせたいのは自分のタスクとしては真ん中。でも一番高いハードル。そこにトライしての苦しさは、チームで一番自分が抱えている」と苦悩を隠さなかった。「その苦しさを払しょくする姿を見せることで、チームにいい刺激が入ると信じたい」。自分の右足を信じ、振り抜いた結果の勝ち点3だった。
9年ぶりの2ケタ得点にも、「数字から逃げずにやっていけたら」と満足はしていない。「もう一回リラックスして、気は抜かずにタイトルを目指す。リーグは順位をなるべく上へ。天皇杯を取ってACLへ行く」。リーグ上位の背中は遠いが、4強入りを決めている天皇杯制覇は現実的なターゲット。その目標が実現した時、安どの涙はうれし涙へと変わる。(森脇 瑠香)