追加タイムで奇跡の逆転劇 ガンバ大阪・宇佐美「流れは引き戻せる」
◇○ガンバ大阪2―1北海道コンサドーレ札幌●(5日・パナソニックスタジアム吹田)
スタジアムが「劇場」と化した。ガ大阪が、0―1で迎えた後半追加タイムに2得点を挙げ、逆転勝ち。エースFW宇佐美貴史がドラマの主役となった。
降格圏に沈む札幌相手に苦戦を強いられた。前半8分にはガ大阪ユース出身のFW白井陽斗に先制点を許す。得点機を生かせず、時間だけが経過した。
わずかに光が差したのは後半追加タイム突入直後。ペナルティーエリア内で札幌の選手がハンドを犯し、PKを獲得。宇佐美が決めてまず同点。残された時間はわずかだが、宇佐美は猛然とダッシュし、試合を再開させた。「レフェリーからあと(追加タイムが)2分と聞いた。絶対ワンチャンスあると」。そして後半53分。パスを受けた宇佐美がゴール前に抜け出す。「(シュートを)打つか、切り返すかあの瞬間で5、6回悩んだ。最後の最後まで(相手を)見た結果、スライディングしてくるなと分かった」と一瞬で判断。相手を冷静にかわし、右足で沈めた。
試合前まで9試合勝利なし。2日のセ大阪との「大阪ダービー」にも完敗し、屈辱を味わった。「どんな罵詈(ばり)雑言を浴びせられても、やり続けようと言っていた。一番はっきりとした姿を見せつけられた」。試合後、ピッチに顔をうずめ号泣した。
燃える理由がもう一つ。後輩である白井のJ1初得点を目にし「本物というのを見せてやろうと。まだまだヒーローにはさせません」。最後は笑みを浮かべた。【生野貴紀】