サッカー日本代表、“未招集選手”で一度は試したいのは 次のW杯で“輝ける人材”は豊富

9月に行われる北中米W杯アジア最終予選2試合に臨む日本代表メンバー27人が発表された。注目はアジア杯以来の代表復帰となったMF伊東純也(スタッド・ランス)と、A代表初招集となったDF高井幸大(川崎フロンターレ)、DF望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)だろう。だが、まだまだ “試したい選手”は多くいる。森保ジャパン未招集選手の中からポジションごとに推薦選手をピックアップしたい。

【写真】“未招集選手”、FWで試してほしいのはやはりこの選手!

GKは3人挙げたい。1人目は小久保玲央ブライアン(シントトロイデン)だ。2001年1月23日生まれ。身長193センチの高さと大舞台での強さは今夏のパリ五輪でも存分に発揮されて“国防ブライアン”と崇められたことは記憶に新しい。移籍先でのレギュラー奪取が条件にはなるが、間違いなく試すべき選手だ。

2人目は、Jリーグから一森純(ガンバ大阪)を推す。1991年7月2日生まれ。JFLからJ3、J2、J1と駆け上がってきた苦労人で、昨季のセーブ率は74%、今季は78%。優れた足技も持ち、ビルドアップ能力の高さも魅力だ。33歳という年齢がネックにはなるが、一度は呼んでもらいたい。

もう1人が、高丘陽平(バンクーバー・ホワイトキャップス)だ。1996年3月16日生まれ。横浜FM時代に実力を証明済みで、現在はMLSで活躍中。MLSのレベルは年々上昇しており、「MLSだから」と候補から外すべきではない。次回W杯が北中米開催ということを踏まえても、選ぶ意味はあるのではないか。

人材豊富なCBでは、以前から推薦していた高井が選出され、中谷進之介(ガンバ大阪)、植田直通(鹿島アントラーズ)、荒木隼人(サンフレッチェ広島)らがA代表経験ありということを踏まえると、Jリーグから三國ケネディエブス(名古屋グランパス)を推したい。2000年6月23日生まれ。身長192センチの高さとスピードを併せ持つ大型センターバック。ビルドアップ面、細かいポジショニングなどにまだまだ粗さが残ることは確かだが、滞空時間の長いヘディングは強烈かつ魅力的。候補に入れてもらいたい人材だ。

SBは「右」に候補者が多い。今回は望月が抜擢され、パリ五輪代表だった関根大輝(柏レイソル)、半田陸(ガンバ大阪)も控える中、濃野公人(鹿島アントラーズ)を推薦したい。2002年3月26日生まれ。関西学院大学から今季がプロ1年目となっているが、開幕から全試合スタメン出場を続け、積極果敢な飛び出しで7得点をマークしている。その優れた攻撃センスだけでなく粘り強い守備も光り、90分走り続けられるスタミナは大きな武器だ。

その濃野の“鹿島の先輩”に当たる常本佳吾(セルヴェット)も試したい1人だ。1998年10月21日生まれ。対人能力に優れ、鹿島時代に“三笘を止めた男”として注目され、スイスリーグでも1年目から不動のレギュラーとして活躍した。

さらに中野就斗(サンフレッチェ広島)も試したい。2000年6月27日生まれ。抜群の身体能力を持ち、推進力のあるドリブルと運動量が武器。大卒1年目だった昨季は右ウイングバックが主だったが、今季は3バックの右CBで出場。特に後半戦の活躍は凄まじく、「まるでセルヒオ・ラモス」と叫ばれた長距離スプリントからのゴールも話題になった。3バックと4バックの試合中の可変にも適応できるはずだ。

一方、「左」のSB。左利きの本職SBが不在で人材難が叫ばれる中、ベルギーでようやくながら定位置を掴んだ小川諒也(シントトロイデン)の代表復帰に期待したいが、未招集組から選ぶならば、大畑歩夢(浦和レッズ)の名前が挙がる。2001年4月27日生まれ。“対世界”を考えた際に身長168センチの身長がネックになるが、今夏のパリ五輪ではそれを補って余りある運動量とアグレッシブさで実力を証明。左サイドに活力を与えられる人材だ。

そしてもう1人、東俊希(サンフレッチェ広島)にも可能性がある。2000年7月28日生まれ。広島ユースからの生え抜きで精度の高い左足キックが武器。今季は不動の左ウイングバックとして出場を重ね、チーム最多の6アシストをマークしている。4バックのSB起用の際の守備力が鍵になるが、身長180センチでヘディングも得意としており、適応できる可能性は十分にある。まだ24歳になったばかり。是非とも試してもらいたい。

ボランチでは、Jリーグから3人を推薦したい。1人目は知念慶(鹿島アントラーズ)だ。1995年3月17日生まれ。昨季まではFWとして活躍していたが、ボランチへコンバートされた今季は自身の高い身体能力と対人能力をピッチ中央で思う存分に発揮。J1のデュエル勝利総数104(2位が79)と断トツの数字を残している。

2人目として、秋山裕紀(アルビレックス新潟)を推したい。2000年12月9日生まれ。今季のパス総数2366本は断トツで、新潟のパスサッカーの中心としてチーム全体をオーガナイズしている。優れた技術と戦術眼を持ち、A代表の高いレベルの中に入れば、その能力がさらに研ぎ澄まされる可能性がある。

3人目は、森田晃樹(東京ヴェルディ)だ。2000年8月8日生まれ。アカデミー時代から天才と呼ばれ、その華麗なテクニックとパスセンスが脚光を浴びた。体格のハンディもあって“軽さ”も感じられたが、主将としてチームをJ1昇格に導き、自身初のJ1舞台で戦っている今季は“力強さ”も備え、頼もしさを増している。秋山同様、高いレベルの中でさらに自身の才能を輝かせることができるはず。A代表で見てみたい選手だ。

2列目のアタッカー陣では、俵積田晃太(FC東京)の成長を期待したい。2004年5月14日生まれ。FC東京の下部組織出身で、高卒1年目の昨季リーグ戦27試合に出場して2得点2アシストをマークすると、今季はここまで27試合に出場して1得点3アシストという状況だ。武器は、縦へ仕掛けるドリブルにあり、その切れ味は間違いなく一級品だ。7月中旬からベンチスタートが続いているが、短い時間でも個性を発揮できるタイプであり、A代表でも切り札になり得る。今後、得点、アシストともに数字に残る活躍を増やすことができれば、激戦区の左サイドアタッカーの1人に名乗りを挙げてもおかしくない。

同じく左サイドが主戦場になる横山歩夢(バーミンガム)も楽しみな存在だ。2003年3月4日生まれ。J3で得点を量産して2023年にサガン鳥栖に加入。1年目は適応に苦しんだが、2年目の今季は自慢のスピードを武器に攻撃のキーマンとして働き、今夏にイングランドへと渡った。まだまだ実績不足で完成していないが、秘密兵器として試してみても面白い。

最後にFW陣。まずは今季のJリーグでブレイクしたジャーメイン良(ジュビロ磐田)は是非とも試したいストライカーだ。1995年4月19日生まれ。強さとしなやかさを併せ持ち、ゴール前に飛び込むだけでなく、強烈な左足でのロングシュート、さらにピッチを幅広く動き回って攻撃の組み立てにも加わることができる。故障離脱がありながらも今季の15得点の結果は無視できない。

2人目は大橋祐紀(ブラックバーン)だ。1996年7月27日生まれ。昨季、湘南ベルマーレで23試合13得点を挙げてブレイクすると、今季はサンフレッチェ広島で22試合11得点をマーク。今夏にイングランドに渡ると、2部リーグながらすぐさまゴールを決めてサポーターの心を掴んだ。現代表のFW陣はスタメン出場からリズムを作っていくタイプが多く、途中出場からでもアクセル全開に得点を奪いに行ける大橋は貴重だ。

その他、宮代大聖(ヴィッセル神戸)、山田新(川崎フロンターレ)、木村勇大(東京ヴェルディ)なども今季のJリーグで大きく成長した姿を見せており、今後の招集を期待したい面々だ。

北中米W杯のアジア最終予選は、この9月に始まり、2025年6月まで行われる。そして本大会は2026年の6月11日に開幕。その時点での招集メンバーが、現状のままだったならば、それは“停滞”を意味する。チームのマンネリ化を防ぐためにも、常に新戦力を試すべきであり、今後の日本サッカー界のためには「Jリーグで活躍すれば代表入りできる」ということも実績として証明すべきだ。今回挙げた推薦選手以外からでも、どしどしと、新たな選手の台頭を期待したい。(文・三和直樹)

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