「自分の中で思い出に残る」 J1アビスパ福岡・宮大樹 シジクレイに憧れた男がG大阪から今季初ゴール
◆明治安田J1第28節・G大阪2―2福岡(24日、パナソニックスタジアム吹田)
アビスパ福岡の宮大樹(28)が一時勝ち越しとなる今季初ゴールを決めるなど、攻守に存在感を発揮した。
4バックの左サイドバックでスタメン出場すると、1―1で迎えた前半30分すぎ、左サイドからドリブルで攻め上がってチャンスをつくると、味方がCKを獲得。同32分にショートコーナーから前寛之が上げたクロスボールに頭で合わせた。Jリーグ公式戦では昨年11月4日のルヴァン・カップ決勝(国立)以来、294日ぶりのゴール。「ヒロ君(前寛之)が運び、良いボールをくれたので感謝したい。今季なかなか点が取れていなかったので、少しは貢献できたのかな」とはにかんだ。
大阪府豊中市出身の宮にとってG大阪は、幼少期にファンクラブに入っていたほど思い入れの強いクラブだ。「ヤットさん(遠藤保仁)や宮本恒さん(宮本恒靖)がいたし、渋いところではシジクレイもいた。僕が見ていたときは強くて本当に憧れのチームでした」。小学校にシジクレイが訪問したときの思い出は特に強く残っている。「そのチーム相手に点を取れたのは、すごく自分の中で思い出に残る」と浸った。
得点だけではなく、本職の守備でチームは2失点したものの、主に左サイドで体を張って相手の攻撃を食い止めた。この日、G大阪は今季3度目のチケット完売で3万3878人の観衆が入り、四方をガンバサポーターが囲んでいた。「ああいう迫力のある相手の応援の中で守るのは、声も聞こえづらいのですごく嫌」と相手の圧力に敬意を示す。コイントスで攻める方向を変え、前半にG大阪のゴール裏を背にして守る形にしたのも「後半のきつい場面で守るより、前半の元気なうちに守った方がいいので」と説明した。
試合は後半開始直後に追いつかれてドロー。後半だけで15本のシュートを浴びながら耐えきり、強豪のG大阪と引き分けたことに宮は「勝ち点1を持って帰れたことはちょっとプラスに捉えたい」と顔を上げる。
ただ、満足感はなく「2試合続けて後半の立ち上がりに失点してしまっている。早急に改善する必要がある」と反省。後半29分に左CKを頭で合わせた決定機を外したことも「ああいうところでもう1点取るのが僕の目指している選手」と悔やんだ。新潟戦とは見違えるようなチームのハードワークにも「本来のベースがこれ。この基準を上げていきたい」と向上心を持ち続ける。警告が累積4枚に達したため次節の神戸戦(9月1日、ベスト電器スタジアム)は出場停止となるが、練習から熱い魂をぶつけてチーム力を引き上げていく。(末継智章)