<万博競技場>ガンバ26日最終戦 宮本さん「歴史一緒に」 毎日新聞 12月21日(月)13時13分配信

サッカーJ1のガ大阪は、来季から本拠地を大阪府吹田市の市立吹田スタジアムに移す。これに伴い、前身の松下電器産業サッカー部時代からホームとしてきた 万博記念競技場での試合は、今月26日に行われる天皇杯準々決勝の鳥栖戦が最後となる。ガ大阪で12年間プレーした元日本代表の宮本恒靖さん(38)は 「芝は良い香りがして、照明に照らされたピッチはきれいだった」と思い出に浸る。

宮本さんが入団したのは1995年。Jリーグ発足は93年で、当時の熱狂ぶりを、ガ大阪の初代監督だった釜本邦茂さん(71)は「毎試合たくさんのお客さんが来て、サッカーのバブルだった」と、振り返る。その「バブル」がはじけ始めたころだった。

「減ってきたお客さんに戻って来てほしい」。当時10位台が定位置だった順位を上げることが、観客の増加につながると信じ、宮本さんは必死にプレーした。初めてフル出場を果たした95年の横浜フ(現横浜マ)戦も、初得点を決めた97年の市原(現千葉)戦も万博だった。

万博で思い出すのは「ゴールを決めた瞬間の地響きのような声援」だ。初めてJ1を制した05年。ゴール裏はチームカラーの青と黒で埋まった。9月24日に行われた鹿島との首位攻防戦で記録した2万2884人の観客動員は、今も超えることができていない。

ホームでの優勝とはならなかったが05年のJ1制覇、08年のアジア・チャンピオンズリーグ初制覇、12年のJ2降格に1年でのJ1復帰、14年の国内 3冠……。宮本さんが「歴史を万博と一緒に作ってきた」と語るように、万博はその変遷を見守り続けてきた。そして、「いつか新しいスタジアムで指揮する時 が来ればいい」と宮本さん。思い出を胸に、新たなスタジアムで新たな歴史を刻んでいく。【丹下友紀子】

◇万博記念競技場 1970年に開催された大阪万国博覧会の跡地利用の一環として、74年7月に万博記念公園内に完成。ガ大阪の本拠地が移った後も陸上競技大会などの会場として引き続き使われる。

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