【3試合無得点、勝ち切れないガンバの現在地(2)】リーグ最少の18失点を支える一森&中谷の今季加入組。彼ら守備陣に求められることは?
得点力という部分では明らかに物足りなさが感じられる今季のガンバ大阪。それでも上位争いを繰り広げられているのは、徹底した堅守があるからだ。
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ここまで26試合のガンバの総失点は18。これはもちろんJ1トップの少なさだ。
「38試合で1以下は目指していきたいですし、全然達成できる数字だと思います」と最終ラインの守備の統率役である中谷進之介も自信をのぞかせたが、「簡単にはやられない」という安心感が今のチームの大きな支えになっている。
その原動力となっているのが、今季名古屋グランパスから加わった中谷と横浜F・マリノスへのレンタル移籍から復帰した守護神・一森純だろう。
まず中谷は名古屋時代から発信力のあるDFとして異彩を放っていた。メディアの質問にも理路整然と答えられて、明るく社交的なキャラクターを備えているという点で前日本代表キャプテンの吉田麻也(LAギャラクシー)に通じるものがある。
正直、昨年末の移籍も海外ではないかと多くの人々が考えていたはずだが、意外にも同じ国内のガンバを選択。「自分がレベルアップするために環境を変えた」と本人は話しているが、スペイン人のダニエル・ポヤトス監督に師事することによって、ボールのつなぎやビルドアップなど攻撃面でブラッシュアップできるところが数多くあると考えて、新天地に赴いたのだろう。
「今季の失点の少なさは、シンとか(三浦)弦太が前半戦にすごい頑張って流れを作ってくれたからこそ、自信を持ってやれている」と一森も強調したが、中谷が入ったことで意思疎通が密になり、連携面も向上したのは事実だ。
■中谷「全体として守備への意識がすごく高まった」
三浦が4月28日の鹿島アントラーズ戦で右膝の重傷を負った後は福岡将太とコンビを組んでいるが、福岡も11日の柏レイソル戦ではパリ五輪帰りの細谷真大をガッチリマーク。反転からシュートに持ち込まれるシーンはあったが、失点は確実に防いでいた。そのように守備陣全体を底上げしているのも中谷加入の大きな効果と言っていい。
「チームとして全体として守備への意識がすごく高まったと思うし、昨年は分かんないんですけど、しっかり結果として表れてはいるので、これを継続しながらどっかでチャンスは来ると思うので、まだまだ上を目指しながらやっていきたいです」と中谷は堅守を研ぎ澄ませてタイトルを取りに行くつもりだ。
もう1人の一森にしても、柏戦でナイスセーブを連発。「この守護神がいればそうそう失点しない」という能力の高さと存在価値を改めて実証した。
「細谷選手は五輪を見させていただいて、怖い選手だなと思って警戒していたけど、守備陣がコースを切ってくれて、うまく守れましたね。マテウス・サヴィオとジエゴの左サイドからの攻めも質で上回られたと思うけど、何とか無失点に抑えられました。
ただ、もっともっと未然に防ぐプレーは増やさないといけない。監督からも言われていたんですけど、攻めてる時のリスクマネージメントとか、絞るところの改善とか、そのあたりも後ろからもっと声をかけてやっていくことが大事だと思います」と一森は守備のレベルを一段階引き上げ、鉄壁の組織を構築したいと考えているという。
■中谷が考える最後尾からの攻撃関与
こうした意識レベルの高さはやはりJ1屈指。守りの強いチームは簡単には負けない。これだけのベースがあるのだから、1点を取って勝てる状況を何とか早く作りたいところだ。
「欲を言えば、もっともっと前進しないといけないですし、自分たちが主導権を持って、前から行く必要がある。自分も攻撃に絡んでいく回数を増やしたい。まだまだ課題はあるかなと思います」と中谷は最後尾から攻めに関与する重要性を口にしていた。
確かにリスタート含め、彼らのところでもっと得点できれば、チームも楽になる。どういう泥臭い形でもいいからゴールを奪う術を見出すこと。今のガンバにはそれが強く求められている。 (取材・文/元川悦子)