【バイタルエリアの仕事人】vol.41 カシージャスに憧れたガンバGK一森純は間もなく33歳…「昔と今の30代は違うよ」「変化はマジで感じない」

「Jリーグファン」を自称する大阪出身の32歳

ここまでのキャリアは「100点満点」――その理由が興味深い

カシージャスに憧れた少年時代から時は過ぎ、一森は7月2日に33歳の誕生日を迎える。

インタビューを行なったのは6月27日。「1週間後ぐらいですね」と伝えると、柔和な守護神は「1週間後!? 奥さんの誕生日が7月27日なんですよ。そのことばっかり考えていました」と笑みを浮かべた。そんな様子からも分かるように、年齢はあまり気にしていないようだ。

ただ、Jリーガーの平均引退年齢は25~26歳と言われており、すでにそのキャリアは一握りの部類に入っている。そうしたなかで、「ここまでのキャリアの点数」を尋ねた際には、力強い答えが返ってきた。

――◆――◆――

100点満点です。その時々で「もっと上手いことやれたな」とかはあるんですけど、めちゃくちゃ人に迷惑をかけながらここまで来たので、今まで以上に頑張ろうと思ったら、家族とかを犠牲にして、もっと人に迷惑をかけてしまうことになります。それはできないので100点ですね。やれることはやり尽くしています。

年齢を重ねての変化はマジで感じないです。ホテルでメンバー表を見て「あっ、上から3番目やん」とかになって気付くぐらいです。体力の衰えがあるかと言えばそうでもないし、やっぱりヒガシ君(東口順昭)や飯倉さんを見てても全然…すごいなと思います。

朝起きるのがきつくなるとか、全くないですね。年齢を感じることがなかったので、サッカー選手としての終わりを感じたことも今まで1回もないです。本当に意識してこなかったですね。

今は栄養学やリカバリーのデータや論文が、昔と比べてすごく出ているので、その辺の感覚は皆さんも変えていってほしい部分ですね。昔の30代と今の30代は違うよっていう。

自分が若い頃は、33歳はマジでおっさんと思っていました(笑)。怪我しがちだなとか思っていましたね。

「僕が見てようが見ていまいが、点が入る時は入るし、入らない時は入らない」

バイタルエリア――。「vital」は英語で命を意味する通り、ゴールに近いそのエリアでの成否は、勝ち負けに直結する。

そんな重要な局面において、一体どんな心構えでいるのか。最後にそう尋ねると、一森はGKとして、守備時の意識から教えてくれた。

――◆――◆――

バイタルエリアでのプレーは勝負を分ける場面です。色々な駆け引きや観察、ポジショニング、構えだったり、様々な技術を凝縮してシュートストップに繋げるのですが、一番大事にしているのは、やっぱりメンタリティの部分です。

「絶対にやらせない」とか、責任感や勇気を持つこと。例えば、相手と1対1の時に一瞬身体が浮いちゃうと、下が届かなかったりするんですよ。「怖い!」って思っちゃうと、キュって上がると思うんですよ。そうならないために常日頃から、責任感や絶対にやらせない気持ちを意識することで、バイタルエリアで活きてくると思っています。

自分たちのシュートチャンスは、余裕があって見れる時は見るんですけど、あんまり見ていないです。僕が見てようが見ていまいが、点が入る時は入るし、入らない時は入らないので。

今どこにボールがあって、どういうボールの質が入ったかを確認したり、クロスやシュートの後の展開を呼んで、後ろの選手の配置や枚数をコントロールしています。リスク管理ですね。 ※このシリーズ了

https://www.soccerdigestweb.com/

Share Button