中谷進之介が移籍した理由、ガンバ大阪の救世主となるか 失点の多かったチームで「センターバックとしての真価を試される」

ダニのサッカーでは、ボールを持ちながら前進することで守備のリスクを減らすという狙いが第一にあるので、まずはそのサッカーをピッチに立つ全員が自信を持ってやれるかが肝になってくるし、そのためのコンパクトな陣形は不可欠だと考えています」

また、相手も策を講じてくるなかでは、常に自分たちが主導権を握って進められる時間帯ばかりではないからこそ、チームとして意思統一を図ることの大切さを強調した。

「昨年のガンバとの対戦を思い返すと、試合のなかですごく間伸びしていく感じがあったし、それは他の試合を見ていてもしかりで……。そうなると、攻守にどっちつかずの展開になって、結局やりたいことの半分もできなかった、ということになりかねない。

だからこそ、チーム全体での意思統一はすごく大事になると思っています。前線の選手は攻撃に行きたい、でも、後ろの選手は失点するのが怖いからラインを上げられない、ではなく、(攻撃に)行くなら、後ろも思いきってラインを上げて全員でトライするべきだし、行けないなら全員で割りきって下がってリトリートすることも必要になる。

そういった意思統一をしながら試合を進めるためにも、お互いが声を掛け合って、みんなが状況を感じてプレーできるチームになっていきたいし、それができれば失点を減らしながら攻撃の時間も増やしていけると思っています」

もちろん、移籍の決断にもつながった自身の成長も意識しながら。

「これまで『若い、若い』と言われながら試合に出てきましたけど、気づいたらもう28歳なので。ここからもうひと伸びするためにも、日々の練習からいろんな刺激を自分の力にして、ひたむきに努力を続けなければいけない。

この世界では常に100%の準備をして練習に臨み、全力でサッカーに向き合い続けられる選手がやっぱり強いし、結果も残している。当たり前のことですけど、そこは今後も真摯にやり続けたいし、何より僕はサッカーが好きなので。よりサッカーを楽しむために、新たなコーチングスタッフ、選手との出会いを通してサッカー観を広げながら、人間的にも成長していきたいと思っています」

目標はチームが掲げる『J1リーグでの7位以上』をマストで実現することと、ユニフォームの左胸に並ぶ星の数を増やすこと(=タイトルを獲得すること)。ホーム、パナソニックスタジアム吹田でのプレーにも思いを馳せた。

「2021年にパナスタで日本代表のカタールW杯アジア二次予選、タジキスタン戦が行なわれた際、練習を含めてガンバの施設を使わせてもらったんです。その時に、スタジアムの中にクラブハウスがあって、すぐ隣には練習場が二面あるという環境を体感して、『めちゃめちゃいいクラブだな』って思ったし、スタジアムにもすごくいい印象があった。

そのことが頭に残っていたことも、実は今回の移籍に気持ちが動いた理由のひとつでした。というのも、僕は以前からプロサッカー選手にとって、スタジアムは本当に大事な要素だと思っているから。

スタジアムが満杯に膨れ上がった時の地鳴りのような応援、スタンドから溢れ出てくる感情は、間違いなく僕たちを後押ししてくれる力になる。しかも、大阪の人たちはかなり熱いと聞いているので。早くその熱に触れたいし、僕自身も皆さんに認めてもらえるようなプレーをしなければいけないと思っています」

今年の元日には祖父母が住む石川県珠洲市が能登半島地震の被害に遭ったことを受け、自身のSNSで被災地を慮る発信をしていた中谷。今も避難所生活が続く祖父母に心を寄せながら過ごしていると聞く。

「僕にできることは、サッカーを頑張っていいニュースを届けること。そんな大それた力が自分にあるとは思っていないので、まずはじいちゃんやばあちゃん、その友だちとか近所のみなさんに元気になってもらえたらうれしいな、喜ぶニュースを届けられたらいいなって思っています。そういう意味では、今シーズンはガンバを応援してくれる人たち、僕を応援してくれる人たちはもちろん、震災で苦しむ人たちのためにも結果を届けられるシーズンにしたいです」

新たに芽生えたプロサッカー選手としての使命を胸に、自身の成長を勝利につなげることを胸に誓った中谷の新たなチャレンジが始まった。

中谷進之介(なかたに・しんのすけ)1996年3月24日生まれ。千葉県出身。ガンバ大阪所属のDF。柏レイソルのアカデミーで育ち、2014年にトップチームに昇格。3年目にはレギュラーに定着。2018年6月に名古屋グランパスに完全移籍し、主力として活躍した。そして2024シーズン、ガンバ大阪に完全移籍。さらなる躍進を誓う。

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