【番記者の視点】印象に残ったG大阪・ポヤトス監督の言葉 プレシーズンマッチで「完璧」と言った意味を考える

プレシーズンマッチ G大阪 2―1 広島(10日・エディオンピースウイング広島

【G大阪担当・種村 亮】G大阪は、広島の新本拠地「エディオンピースウイング広島」で初の興行となったプレシーズンマッチで2―1で逆転勝ち。1点を追う後半14分、J2清水から新加入したMF岸本武流が同点弾。同43分にMF倉田秋のゴールで勝ち越した。

試合後、ポヤトス監督の第一声が印象に残った。「全体を通して、完璧な試合ができたんじゃないかと思う」。シーズン開幕を見据え、結果以上に内容に重きが置かれるプレシーズンマッチ。恐らく、どのクラブも成果と課題を見つめながらチーム作りを進めている時期のはずだ。だからこそ、調整の意味合いが強い一戦で「完璧」というフレーズが出てくることは珍しいように感じた。

前半、主導権を握ったのはG大阪だった。ボールを保持しながら攻め込んでいく昨季からのスタイルをベースに、今季、監督が強調する「攻撃→守備時の切り替え」が強く意識されていた。特に柏から完全移籍で加入したMF山田康太の敵陣での積極的なプレッシングは効果的で、チーム全体としてもコンパクトな陣形を保てていたことでゲームをコントロール。好機を仕留められなかったこと以外は、指揮官が合格点を出したくなる内容と言えた。

後半は3分に先制点を献上。「(前線の選手が)プレスにいけず、ラインがズルズル下がってしまった」と山田が振り返ったように守備が機能せず苦しい時間帯が続いたが、セットプレーから同点に追いつくと、互いにスペースが生まれる終盤に逆転した。試合を通して、監督が評価したのは「狙い通りの前半」以上に「劣勢から勝ちきった後半」だったのではないかと思う。

C大阪と神戸を担当した昨季、対戦相手として見たG大阪は巧みなパスワークで相手ゴールを脅かすものの得点が奪えず、1つのミスなどをきっかけに崩れてしまうチーム、という印象だった。この日の広島戦も、失点から流れを相手に渡してもおかしくなかったが、最少失点で踏ん張ったことが逆転劇を呼び込んだ。試合をコントロールする、という点では後半は課題を残したが、ポヤトス監督はそれ以上の価値があったと捉えているように見える。そうした収穫が冒頭の「完璧」につながっているのではないだろうか。

昨季は7連敗でリーグ戦が終了。24日に敵地で町田と対戦する今季の開幕戦は、前年の嫌な流れを断ち切る意味でも負けられない一戦となる。試合後、指揮官から再び「完璧な試合だった」との言葉が聞けるか。注目の開幕まで2週間を切った。

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