10代の遠藤保仁、ブラジルで学んだハングリーさ 現役の支えに
9日に現役引退を発表したサッカー元日本代表の遠藤保仁選手にとって3度目のワールドカップ(W杯)となった2014年ブラジル大会は、日本代表に欧州のビッグクラブに所属する選手が現れた時期だった。その中で遠藤選手はチームの司令塔を担った。
香川真司選手がイングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドでプレーし、本田圭佑選手がACミラン、長友佑都選手がインテル・ミラノと、それぞれイタリアの強豪で活躍。一方、遠藤選手が所属していたガンバ大阪は13年はJ2で戦ったが、代表を率いたイタリア人のアルベルト・ザッケローニ監督の信頼は揺るがなかった。
周囲の環境が変化しても、遠藤選手自身は「相手が足元に来ても、取れないところにボールを置けばいい。(ボランチは)ボールを一番触らないといけないポジション。自分からアクションを起こして周りを動かしたい」と自らの技術に自信を持ち、常に戦術眼を光らせていた。
ブラジルには別の思いもあった。チームが現地入りして、最初の練習を行ったサンパウロ州のソロカバは、自身が鹿児島実高時代に短期留学をした場所。
当時、同校で指導していたブラジル人コーチの目には、普段から積極的にヘディングにいかない遠藤選手の姿などを見て「技術も体力もあるが、厳しさが足りない」と感じ、送り出されたという。慣れない異国の地でプロのトップチームの選手に交じって練習し、「厳しさやサッカーに対する思いが変わった」と振り返っている。
W杯ブラジル大会は1次リーグ敗退に終わり、日本代表戦の出場は歴代最多152試合となった15年が最後となったが、現役は23年まで続けた。冷静なプレーとともに、10代で身につけたハングリーさが、長い現役生活を支えた。【村社拓信】



