【本田圭佑が語った、日本代表強化のための改革案(2)】現状の日本代表スタッフ入りの唯一の道はロールモデルコーチ就任だが……「バーンと変えないと前に進まない」
今のところJFA公認指導者ライセンスを取得する意向はないと断言する本田圭佑。そんな彼でも日本代表指導に参加する道が全くないわけではない。一案と言えるのが、JFAロールモデルコーチ就任だ。
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2020年8月に現役引退した内田篤人が第一号として当時のU-19日本代表に帯同し始めたのを皮切りに目下、中村憲剛(川崎FRO)、阿部勇樹(浦和ユースコーチ)の3人が正式なロールモデルコーチとして活動している。内田・中村の2人は2024年元日のタイ戦(東京・国立)に挑む日本代表活動に参加。A代表の選手たちに直々に指導することになる。
「ロールモデルコーチに関しては、代表歴があって世界大会を経験しているという条件が前提にあります。日本代表としての考え方をしっかり持っていて、身を持って伝えることができることも大事だと思っています。
加えて言うと、指導者を目指していることが大事。ユーチューバーを目指している人を入れるわけにはいかないんで、そこも大前提であることは間違いないです。
活動的にも最初から最後に解散するまでチームと全く同じ時間を過ごすことが必須。11月のU-17ワールドカップ(W杯)を例に取ると阿部勇樹が参加したが、彼はずっとチームに帯同していました」
これは日本サッカー協会の反町康治技術委員長が12月18日の2024年年間代表スケジュール発表の場で語っていたことだが、こうした条件を見れば、本田は十分に該当する。
■記者に逆質問
もちろん彼の場合、幅広いビジネスを手掛けていて、現役復帰の意向もあり、指導者ライセンスがないという現実もあるが、監督になることを最優先に考えているのは事実。多彩な活動をしているという部分では内田と通じるところも少なくないだけに、本田自身にやる気があるなら反町技術委員長や森保一監督も前向きに考えるのではないか。
12月26日の4人制のU-10サッカー全国大会「4v4」の決勝後、本人の意向を尋ねてみるとこんな回答が帰ってきた。
「詳細が分かってないんですけど、ないんじゃないですかね。ロールモデルコーチは何をやるんですか? 代表選手の指導? A代表も?だったら篤人や憲剛さんはS級をもらえるんですか?」
本田から逆質問をされてしまったわけだが、引退後の元代表選手をいち早く指導現場に戻すために反町技術委員長らが中心となって取り入れた試みだと説明すると「そういうのをやってるんですね。進歩はしてますよね」と協会側のスタンスに一応の理解を示した。
そのうえで、彼は「進歩はしてるんですけど、グッと変えられないのは協会だけじゃなくて日本の問題点。バーンと変えられない。批判されてもバーンと変える人はホントどの業界でも少ない。バーンと変えないと前に進まない。(ライセンスを)なくしたいって言い始めたらまた問題になるんで、残しましょうってなるし。例えばJ3から(ライセンスなしを)やるとか。どっかからやればいいんですよね」と改革が急ピッチで進まない現状に苛立ちを覚えている様子だった。
■夢は「日本代表をW杯で優勝させること」
今の協会には、ロールモデルコーチのみならず、代表活動に短期的に帯同するスペシャルコーチのような存在もあり、大黒将志(G大阪ユースコーチ)がU-17日本代表の練習に何度か加わった例がある。彼も間もなくS級ライセンスが認定される指導者ではあるが、まだS級がなくてもそういう関わり方も考えられる。
本田の夢は前々から「日本代表をW杯で優勝させること」なのだから、少しずつ協会側と歩み寄って、代表活動に何らかの形で参加するところからスタートできれば、彼の経験値を生かせるのではないか。W杯3大会で4ゴールを奪った人材をこのまま活用したいのは日本サッカー界にとってあまりにもったいない。そうやって関わりを持つ中で、本人がライセンス取得に前向きになってくれれば、協会にとってもプラスだろう。
2024年に本田圭佑が日本代表指導の一翼を担っているようなことはあるのか。本人は現役復帰をまず第一に考えている様子だが、宮本新会長、反町技術委員長、森保監督らと意思疎通を図り、名案を見出してほしいものである。 (取材・文/元川悦子)



