日本サッカー協会次期会長に元代表主将・宮本恒靖氏が就任へ〝ツネさま政権〟誕生で恐れられていること

宮本新会長の後ろ盾はこれまでの電通ではなくて…

JFAがここまで巨大組織になったのは電通による強力なアシストがあったのはいうまでもない。だが、東京五輪のスキャンダルがおきたあとから、今まで通りに頼り切っていい、というわけにはいかなくなっている。

「今の電通は、JFAの新しいスポンサー契約も放映権交渉も主導権を握れなくなっています。先日、W杯アジア2次予選のシリア代表戦が結果的に日本で放映できなかったこともそれを示す出来事です。森保ジャパンは歴代最強と言われ、地上波のテレビ局側は放送したいと考えていたのに、日本がW杯に行くようになってから初めて、その予選を放送できなかったわけですから。電通に以前ほどのパワーはなく、JFAにとっては〝戦力〟になっていない状況です」(JFA担当記者)

JFAは電通との契約を’30年まで更新したばかり。引き続き協力関係を続けながらも、新たな外資系コンサルタントが入ってくるのではないか、とJFA内部で取り沙汰されているのだ。

「『デロイト・トーマツコンサルティング』が入ってくるのではないか、と言われています。’17年から国際戦略とIT領域などの施策を推進する提携関係を結び、2年後の’19年にJFAとはコンプライアンス体制の強化を目的に契約しました。Jリーグと JFAの双方とパートナーシップを結んでいるのは電通と全く同じ手法です。デロイトさんは、岡田副会長が始めたJ3・FC今治とも提携関係にあるんです」

現職の田嶋会長は歴代会長の中でも特に電通の後ろ盾を受けていた。コロナ禍の中、’20年に日本代表トレーニング施設「夢フィールド」(千葉県幕張)を約42億円もの巨費を投じて建設。さらに女子サッカーの底上げのために億単位のお金をJFAから先行投資した。その結果、JFAの財布は一気に苦しくなり、最終的には200億円近い巨費で自社ビル(JFAハウス)を売却せざるをえなくなった。

宮本新会長にとってはJFA財政再建がひとつのミッションであり、世界最大級のコンサルタントの力を借りなければいけない状況なのだ。

「デロイトさんはずっと岡田さんの活動を支えているスポンサーでもある。後ろ盾のない宮本を会長に推すことによって、デロイトさんとJFAとのパイプが一気に太くなる可能性は十分あります」(前出の元JFA幹部)

デロイトトーマツとのパイプが太くなることで新しい風が吹く気もするが、むしろ、JFAにいる200人をこえる職員は今、不安に感じて「これからのJFAはいったいどうなるんでしょうか?」と担当記者に逆取材するシーンが増えている。というのも、デロイト・トーマスでは米国グーグル社から委託される形で、退職勧奨者に対して離職を促す面談も行っているからだ。JFAでは宮本体制になると現状27人いる理事の定数を一気に9~15人に大幅に減らすことを決めているが、理事だけでなく、職員にも降りかかってくる可能性があるのだ。元JFA幹部はこう明かす。

「’00年代は100人台体制で仕事を回していました。今、職員数が200人を超えるのであれば、当時の約2.5倍いる計算になります。仕事内容はそこまで増えたわけではないと思いますので、職員の数は多すぎる印象です」

宮本氏は現役引退後の‘15年から’21年までコーチ、監督としてチームマネジメントに関わった。’21年5月、44歳のときに古巣ガンバ大阪の監督を解任されたが、その直後は別のJクラブからも監督オファーがあった。だが、解任から10ヵ月後の‘22年3月には日本サッカー協会の理事に就任した。別のJFA担当記者が明かす。

「JFAでは宮本氏に対して監督のオファーがあった情報はキャッチしていて、最終的には彼の決定を尊重するつもりでいたのですが、宮本氏は監督のオファーを蹴ったそうです」

その時点で、宮本氏は協会の人間として生きていく覚悟を決めた。ただ、ここまでJFA幹部としての目立った実績はまだなく、「ガンバ大阪の監督で失敗した宮本が日本サッカー界のトップであるJFA会長になって大丈夫なのか?」と厳しい声がJFA内部では意外にも多いという。どんな方針を打ち出し、どんな手を打つのか。JFA職員のみならず、注目している。

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