日本サッカー協会次期会長に元代表主将・宮本恒靖氏が就任へ〝ツネさま政権〟誕生で恐れられていること
来年の4月から日本サッカー協会(JFA)新会長に、W杯2大会連続で日本代表主将を務めた宮本恒靖専務理事(46)の就任が確実になった。40代という若さに加え、ワールドカップをピッチ上で戦った抜群の知名度に語学堪能と注目が集まっているが、一方で政権誕生をおそれる声も、JFA内部から聞こえてくるーー。
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現職の田嶋幸三会長(66)が任期満了で退任するに伴って、12月下旬にJFAでは8年ぶりとなる会長選挙が行われるはずだった。立候補を希望したのは宮本専務理事とJリーグチェアマン特命担当オフィサーの鈴木徳昭氏(61)の2人。正式立候補には79人で構成されるJFA評議員の16人以上の推薦が必要で、鈴木氏は集めることができずに宮本専務理事だけが次期会長候補として立候補した。
「評議員の推薦は記名式だった。誰が推薦したかはっきりわかるかたちです。まさに〝踏み絵〟でした。鈴木氏を推薦する評議員はほとんどいなかったと聞きました」(JFA元幹部)
宮本専務理事は評議員全員に「ともに新しい扉をあけよう」というタイトルのマニュフェストを配布した。その冒頭にはなんと岡田武史副会長(67)との対談が掲載されていた。これを見たというJFA関係者は「まるで岡田さんが宮本の選挙対策委員長に就任したかのような内容でしたね。2大会W杯で主将だった宮本と、日本人監督として2度W杯に出場した岡田さんがタッグを組んだら、JFAの中で誰も異議あり!なんて言う人はいないよ」と苦笑いを浮かべた。
JFAでは会長予定者選出管理委員会(選挙管理委員会)によって立候補を希望した2人の『身体検査』を行った。
「この身体検査は前回の会長選挙ではなかったのですが、その結果に誰がみてもわかるような採点がつけられていたそうです。圧倒的に宮本の点数の方が上だったようです」(同)。
宮本新会長の後ろ盾はこれまでの電通ではなくて…
JFAがここまで巨大組織になったのは電通による強力なアシストがあったのはいうまでもない。だが、東京五輪のスキャンダルがおきたあとから、今まで通りに頼り切っていい、というわけにはいかなくなっている。
「今の電通は、JFAの新しいスポンサー契約も放映権交渉も主導権を握れなくなっています。先日、W杯アジア2次予選のシリア代表戦が結果的に日本で放映できなかったこともそれを示す出来事です。森保ジャパンは歴代最強と言われ、地上波のテレビ局側は放送したいと考えていたのに、日本がW杯に行くようになってから初めて、その予選を放送できなかったわけですから。電通に以前ほどのパワーはなく、JFAにとっては〝戦力〟になっていない状況です」(JFA担当記者)
JFAは電通との契約を’30年まで更新したばかり。引き続き協力関係を続けながらも、新たな外資系コンサルタントが入ってくるのではないか、とJFA内部で取り沙汰されているのだ。
「『デロイト・トーマツコンサルティング』が入ってくるのではないか、と言われています。’17年から国際戦略とIT領域などの施策を推進する提携関係を結び、2年後の’19年にJFAとはコンプライアンス体制の強化を目的に契約しました。Jリーグと JFAの双方とパートナーシップを結んでいるのは電通と全く同じ手法です。デロイトさんは、岡田副会長が始めたJ3・FC今治とも提携関係にあるんです」
現職の田嶋会長は歴代会長の中でも特に電通の後ろ盾を受けていた。コロナ禍の中、’20年に日本代表トレーニング施設「夢フィールド」(千葉県幕張)を約42億円もの巨費を投じて建設。さらに女子サッカーの底上げのために億単位のお金をJFAから先行投資した。その結果、JFAの財布は一気に苦しくなり、最終的には200億円近い巨費で自社ビル(JFAハウス)を売却せざるをえなくなった。
宮本新会長にとってはJFA財政再建がひとつのミッションであり、世界最大級のコンサルタントの力を借りなければいけない状況なのだ。
「デロイトさんはずっと岡田さんの活動を支えているスポンサーでもある。後ろ盾のない宮本を会長に推すことによって、デロイトさんとJFAとのパイプが一気に太くなる可能性は十分あります」(前出の元JFA幹部)
デロイトトーマツとのパイプが太くなることで新しい風が吹く気もするが、むしろ、JFAにいる200人をこえる職員は今、不安に感じて「これからのJFAはいったいどうなるんでしょうか?」と担当記者に逆取材するシーンが増えている。というのも、デロイト・トーマスでは米国グーグル社から委託される形で、退職勧奨者に対して離職を促す面談も行っているからだ。JFAでは宮本体制になると現状27人いる理事の定数を一気に9~15人に大幅に減らすことを決めているが、理事だけでなく、職員にも降りかかってくる可能性があるのだ。元JFA幹部はこう明かす。
「’00年代は100人台体制で仕事を回していました。今、職員数が200人を超えるのであれば、当時の約2.5倍いる計算になります。仕事内容はそこまで増えたわけではないと思いますので、職員の数は多すぎる印象です」
宮本氏は現役引退後の‘15年から’21年までコーチ、監督としてチームマネジメントに関わった。’21年5月、44歳のときに古巣ガンバ大阪の監督を解任されたが、その直後は別のJクラブからも監督オファーがあった。だが、解任から10ヵ月後の‘22年3月には日本サッカー協会の理事に就任した。別のJFA担当記者が明かす。
「JFAでは宮本氏に対して監督のオファーがあった情報はキャッチしていて、最終的には彼の決定を尊重するつもりでいたのですが、宮本氏は監督のオファーを蹴ったそうです」
その時点で、宮本氏は協会の人間として生きていく覚悟を決めた。ただ、ここまでJFA幹部としての目立った実績はまだなく、「ガンバ大阪の監督で失敗した宮本が日本サッカー界のトップであるJFA会長になって大丈夫なのか?」と厳しい声がJFA内部では意外にも多いという。どんな方針を打ち出し、どんな手を打つのか。JFA職員のみならず、注目している。