13年間過ごしたG大阪に涙の別れ…藤春広輝「感謝しかないです。チャントは一生、忘れることは…」

◆明治安田生命J1リーグ▽第34節 G大阪0―1神戸(3日・パナスタ)

G大阪の元日本代表DF藤春広輝が、13年間の思いを胸に、ガンバの選手として最後のプレーを披露した。1点を追う後半40分。同じく左サイドバックのポジションを争ってきたDF黒川圭介(26)と交代してピッチに立った。黒川、そして同い年のMF倉田秋(35)とがっちりと抱擁し、慣れ親しんだパナスタのピッチ、そして定位置の左サイドバックに。アディショナルタイムも含め約10分間。最後は代名詞だった攻撃参加でゴール前に進入してボールを触ったが、シュートまで持ち込むことはできず、敗北のホイッスルを聞いた。

試合後には、この日何度も藤春のチャントを歌い続けたサポーターの前へ。

「13年間、感謝しかないです。チャントは一生、忘れることは…」と語り、言葉につまった。あふれる涙を必死でぬぐい「一生、忘れられないです」と続けた。さらに「みなさんのことが大好きです。悪いときもいいときも、ガンバのことを応援し続けて下さい。お願いします。一生、ガンバのことを、僕もこれから応援したいと思うので。一緒に応援しましょう。本当に13年間、ありがとうございました」と頭を深々と下げた。

11年に大阪体育大から加入し、抜群のスピード、運動量を武器に左サイドバック(SB)のレギュラーに。軽やかに、伸びやかに左サイドを駆け、クロスからゴールを演出する攻撃的SBとして、14年の3冠などタイトルに貢献した。経験を重ね、そのスピードは守備のカバーリングにも生かされるようになり、10年以上にわたってレギュラーの座を守り続けた。長年左サイドでコンビを組んできた倉田は「ハルはガンバでナンバー1の左サイドバックだった、というのは、みんな忘れないと思う。ハルが後ろにいて、上下運動してくれて、おれの分まで守備してくれた。おれのパスに追いつけるのは、ハルくらいしか今まで会ったことがない。ハルがいてこそのおれだったんで。ここまでできているのもハルのおかげ」と話した。

試合でも練習でも全力を絞り出して走る抜く姿は、チームメートからの信頼を集め、そしてサポーターに愛された。「(サポーターには)13年間ありがとうって言われたんですけど、こっちが言いたいぐらいでした。ガンバで13年できてよかったなと思います。自分がやってきたことは間違ってなかったのかな、って思いもしました。気持ちの部分でしんどいときに走りきる、それが伝わってよかったなと。お金を払って見に来てもらっている人に対して、100%出し切らないのはおかしい。もう立てない、走れないぐらいは、自分の考えとしては、サッカー選手として当たり前の仕事というか。これからもやり続けたい」。貫いてきたプロとしての自負を、これからもピッチで表現することを誓った。

取材後、最後にチームメートたちの前で話す機会があると言い「涙はだいぶ出したんで」と笑った。「やっぱりガンバはこういう順位(16位)にいてはいけない。7連敗するようなチームでもないと思う。個々は素晴らしい選手がそろっている。もったいない、という気持ちもあるんで。今から話してぶつけてきたいと思います。ここにいるチームじゃない、優勝、タイトルを取れるチームに戻って欲しい、と言いたい」。再建を仲間達に託し、13年間過ごしたクラブに別れを告げる。

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