【番記者の視点】G大阪、5連敗でJ2降格圏に5差…敵将も指摘した後半1分の“余裕”が命取りに
◆明治安田生命J1リーグ▽第32節 G大阪1―2福岡(11日・パナスタ)
【G大阪担当・金川誉】初タイトルとともに自信を手にした福岡と、出口の見えないトンネルに迷い込んでさまようG大阪の差が、はっきりと現れた。ホームで逆転負けによる5連敗を喫して肩を落とす選手達に、スタンドからは当然のブーイングが降り注いだ。しかしサポーターの声も、怒りというより、嘆きの響きを含んでいるように聞こえた。残り2試合で、最下位・横浜FCとの勝ち点差5。J2降格の可能性が残る事実が、冷え込んだスタジアムを覆っていた。
前半は決して悪い内容ではなかった。前半13分にCKから先制。7か月ぶり先発のFW鈴木武蔵が体を張って起点となり、労を惜しまぬプレスで守備のスイッチ役に。また右ウイングで起用したDF半田を、守備時は最終ラインに組み込む5バックに配置。中央3枚となるCB(福岡、三浦、権)は、起点を作ろうとする福岡FW山岸、MF紺野らを最終ラインから飛び出してしつこく追い、前半は仕事をさせなかった。攻撃ではアンカー・MF山本の近くまでインテリオールのMF倉田が落ち、フリーとなって落ち着いてボールを握り、チャンスもつくるなど攻守に狙いが出たシーンも多く、1点リードでハーフタイムに入った。
しかし後半1分。自陣深くからのスローインを簡単につながれると、中央に人数はいるにもかかわらず、ラストパスを出したMF紺野も得点したFW山岸もフリーにして失点。複数人の選手が少しずつ隙を見せたことで生まれた失点を、ポヤトス監督は「軽い失点がかなり響いた」と嘆いた。さらに福岡は後半から投入した大型FWウェリントンを起点に、ロングボールも生かしてシンプルかつ効果的に攻撃を展開。G大阪も簡単には2失点目は許さず、セットプレーなどでチャンスも迎えたが、運動量に陰りが見え始めた後半途中からは福岡ペースに。5バックの影響か、中盤でのセカンドボール争いで後手を踏み、ボールを奪っても前線に厚みを出せない時間帯が続いた。
後半33分にはDF黒川のファウルでPKを与えたが、これをGK東口がセーブ。絶体絶命の危機をしのいで息を吹き返すかに思えたが、流れは変わらず。守備のバランスを気にしてか、2枚目の交代カードを切れないうちにボールの出所へとチェックが甘くなり、フリーのクロスから福岡FWルキアンに決勝点を献上。切り札として投入されたFW宇佐美も、ゴールをこじ開けることができなかった。
5連敗の理由は、決して一つではない。ただ試合の流れに大きく影響を与えた後半開始の失点は、福岡・長谷部監督のコメントが腑に落ちる。「ガンバさんは後半に少し落ち着きがある入り方をしてきました。リードしていたからか、余裕だったのかは分かりませんが、自分たちは必死に攻撃、もしくは切り替えでどうにか流れをつかもうと、選手たちは後半に入っていきました」。勝てない理由はいくつも感じるが、今のG大阪が必死さで相手に劣っていいはずがない。残り2試合。今はホームで迎える最終節・神戸戦のことも、ましてや来季のことも考える余裕はない。J1残留という最低にして絶対の目標に向け、次節の広島戦に向かう。