【番記者の視点】G大阪、守備は改善の兆しも3連敗…必要なのはパスの“受け手”となる存在

明治安田生命J1リーグ▽第30節 G大阪0―1名古屋(21日・パナスタ)

【G大阪担当・金川誉】名古屋に敗れて3連敗を喫した試合後、ポヤトス監督は2度「よい試合をした」と言う言葉を使った。失点はセットプレーからの1点のみ。前2試合では浦和、FC東京相手にともに3失点と守備が崩壊したことを思えば、流れの中で相手にほとんどチャンスを与えず、試合の主導権を握る時間も長かったことから、指揮官は内容面への評価を口にした。しかしもう2か月以上も勝利を味わっていないサポーターにとっては、“よい試合”だったとは言えないはずだ。

この日はDF黒川が守備時は5バックの左、攻撃時は左ウイングに入る変則的なポジションを取った。名古屋の3トップ(この日はFW永井がトップ下気味にプレー)に対し、5枚のDFラインでカウンターを受けるリスクを減らす狙いは効果を発揮した。しかし攻撃面ではチャンスが多かったとは言えず、何度かあった決定機も相手GKの好守に阻まれた。ポヤトス監督は「最後の正確性、決めきるところで決めきれば、流れは変わったでしょう」と振り返っていた。

ゴール前の質不足を解消するためには、チャンスの回数を増やすしかない。ヒントとなるシーンは、後半途中から今季初出場したMF塚元大が決定機を迎えた場面か。FWジェバリが動いて空いた中央のスペースに右ウイングの塚元が入り込み、宇佐美からのラストパスを受けてシュートを放った。名古屋GKの好セーブにあったが、この日最もゴールに近づいた場面だった。昨季期限付き移籍先のJ2金沢で2度の大けがに見舞われ、長期のリハビリを経てピッチに立った22歳が、チームに必要な要素を示したと言える。

G大阪の前線にはスピードやパワーに秀でた選手より、狭いスペースで技術を発揮する選手が多い。そんな能力を生かしてチャンスをつくるためには、単純なクロスを増やすより、誰かが動いてできたスペースをいかに次の選手が使い、相手ボックス内に進入できるかが重要。MF山本悠樹が「このチームは(パスの)出し手に回る選手が多い。もう少しライン間でふらついて、そこから背後を取るような動きが増えてこれば」と語ったように、味方の動きに連動してチャンスのにおいをかぎ分け、“受け手”となる選手が必要だ。

次節はアウェーC大阪戦。すでに来季続投は決定的となっているポヤトス監督にとっても、5月にリーグ戦で敗れている宿敵への2連敗は許されない。「よい試合」で見えた復調の兆しを結果につなげ、連敗を止めることができるか。現在の順位に関係なく、大阪ダービーが持つ意味はいつだって大きい。

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