【番記者の視点】なぜG大阪は急失速したのか…公式戦7戦未勝利、止まらぬ失点はリーグ最多タイに

明治安田生命J1リーグ▽第29節 FC東京3―0G大阪(1日・味の素スタジアム

【G大阪担当・金川誉】G大阪はFC東京に3失点完敗し、公式戦の未勝利は7試合(リーグ戦は5試合)となった。試合後、ポヤトス監督は「守備の姿勢、もっと球際をしっかりいく、球際に行く前にアラートにしておくというところで守備の改善が必要。普段もトレーニングではやっているが、ゴール前は改善していかなければ」と課題を挙げた。ここ7試合での失点数は計16失点。リーグ戦の計53失点は札幌、湘南と並んでリーグ最多に。5~8月頭にかけては8戦無敗を誇ったチームが、まるで最下位に沈んでいたシーズン序盤に戻ってしまったような感覚に陥った。

前半37分、FC東京の分厚い攻撃にゴール前をこじ開けられて失点。さらに同43分、一本のパスで裏を取られ、FWディエゴオリベイラに決められた。2点を追う後半は前掛かりとなり、バランスを崩したところで何度もカウンターからピンチを迎えたが、GK東口の好守もあって耐えた。しかし同33分。右サイドを個人技で破られ3失点目を喫した。

チームの問題点を最も感じたのは2失点目だ。DF黒川圭介が「失点するような展開じゃない中で、簡単に失点してしまった」と表現した1点目の後は、前半の残り時間が少ないことを考えれば、2失点目だけは避けなければいけない時間帯。しかしボールに対してプレッシャーをかけられず、簡単に中盤まで運ばれたボールはFC東京の左ウイング・アダイウトンへ。フリーで前を向いたアダイウトンのロングパスをDF佐藤が処理しきれず、裏へ飛び出したFWディエゴオリベイラの動きをDF権は捕まえきれなかった。失点の責任をCBに押しつけるのは簡単だが、チーム全体の問題点として捉えるべきだ。

今季は最下位に沈んだ前半戦の低迷から、8戦負けなし(5月20日・新潟戦~8月6日・川崎戦)で一気に残留争いから抜け出した。この間はチーム全体が強度の高い守備で「まず先に点を与えない」という意識を徹底。泥臭い守備で流れをつかみ、ポヤトス監督が目指す「試合をコントロールする」という色が少しずつチームに浸透していったことで、勝利を重ねていった印象だった。

余談にはなるが、9月29日に行われた横浜M対神戸の首位決戦、神戸が見せた前線から一体となった守備からはすさまじい気迫を感じた。もちろんG大阪と神戸は目指すべきスタイルは違うが、見習うべき部分があることは間違いない。ヒントになるのは、この日左FWに入った倉田秋が示したプレーか。マッチアップしたFC東京DF長友に対し、何度も激しく体を寄せて食い下がった。ファウルになるシーンもあったが「ボールを奪う」という明確な意志をプレーで表現していた。この強度がチームのスタンダードにならなければ、J1残留は果たせたとしても、来シーズンの上位進出はとても望めない。

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