前線からの守備の再構築が喫緊のテーマ

［J１第28節］G大阪 １－３ 浦和／９月24日／パナソニックスタジアム吹田

ACLとの過密日程に加えて、ホセ・カンテの退場による数的不利という逆風が吹いた浦和に３失点を許して、屈辱的な今季４タテを許したG大阪。

【PHOTO】G大阪の出場16選手＆監督の採点・寸評。及第点は黒川のみ…ポヤトス監督を含めて攻撃陣・守備陣ともに軒並み低評価

札幌にアウェーで０－４の大敗を喫して以降、公式戦は１分４敗。明らかにチーム状況は下降曲線を描いているが原因は、要所で踏ん張れない守備にある。

浦和に序盤から押し込まれる流れが続いた10分過ぎ、東口順昭はアンカーを務める山本悠樹を呼びとめ、声をかけたがその意図はこうだった。

「チームとしてスペースを守っているけど結局ボールホルダーに行けていなくて、ゴール前の危ないところに簡単にパスを通されたり、シュートもされている。ボールを持っている人の時間を守備陣からすると奪って欲しい」（東口）

宇佐美貴史の直接FK弾で先手を取り、優位に試合を進められるはずの展開で、正守護神の懸念が29分に的中した。

右サイドでボールを持つ浦和に対して、決して後手を踏む守備陣形ではなかったにも関わらず、伊藤敦樹が難なく、カンテに浮き球のパスを供給。佐藤瑶大と福岡将太がシュートブロックに行きながらも、あっさりと同点ゴールを許すのだ。

浦和に連敗したルヴァンカップの準々決勝を含めて、やや局地戦の寄せの甘さも目立つ最終ラインであるのは事実だが、現状のメンバー構成で佐藤と福岡のCBが最善のチョイスであるのは事実である。

自陣にブロックを形成し、手堅いサッカーで逃げ切る昨季終盤の松田浩前監督のスタイルならば三浦弦太とクォン・ギョンウォンが適切な顔ぶれだが、ビルドアップにスムーズさを欠き、攻撃でリズムが出ないのはシーズン序盤の低迷を見れば明らかだ。

全盛期の「西野ガンバ」で中澤聡太が、守りに秀でた髙木和道や水本裕貴ら代表歴を持つCBにポジションを譲らずに定位置を守り続けたのも守備のデメリット以上に攻撃で良さを出せたからである。

浦和戦の先制点につながるFKは黒川圭介のドリブル突破は佐藤の絶妙なフィードが起点となっていたが、この場面だけでなく佐藤はサイドに好フィードを連発。「お互いの弱点を補え合える」と福岡も話す佐藤との関係性は、上々だ。

ただ、徳島時代からのポヤトスチルドレンでもある福岡と、プロ３年目で急成長中の佐藤にとっては指揮官も浦和戦後に「去年、なかなか出場機会が得ていなかった２人は、すごく良くやってくれている」と話す通り、経験値を積み上げているCBコンビであることは言うまでもない。

味方の甘いプレーには厳しい指摘も厭わない東口は、浦和戦の失点についてCB陣を責めようとせず、キッパリと言い切った。

「局面だけ見ると寄せとか、いくらでも言うことはあるが、それ以前に全体の守備が良くないし、後ろだけで守れる訳ではない。チーム全体で守れなくなってきているのが大きな問題」

１－１のドローに終わった新潟戦でも終盤、前線からの守備が機能せず、CBの千葉和彦にあっさりとゴール前への楔を許したことが同点ゴールにつながったが、今G大阪に求められるのは好調時に見せていた前線からの連動した守備である。

イッサム・ジェバリが前線の軸である以上、気を利かせてジェバリの守備のフォローに回れる山本はインサイドハーフでの起用が最適解。ネタ・ラヴィが宗教的な理由でピッチに立てなかったのはポヤトス監督にとっても不運だったが、前線からの守備の再構築が、喫緊のテーマになる。

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