文句なしの“優良”は3選手  Jリーグ今季初来日の助っ人「アタリ」と「ハズレ」は

9月を迎えて代表ウイークが明ければ、J1リーグは残り8節という終盤戦に突入する。改めて各チームの現状を見ると、昨季からの戦力アップに成功している大きな理由に新外国人選手の存在がある。近年はJ2、J3も含めて日本で実績のある外国人の獲得例が増えているが、それでも今年、初来日した外国人選手たちも多くいる。だが、その評価は「アタリ」と「ハズレ」に大きく分かれている。

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文句なしの「アタリ」は3人。筆頭は、ACL制覇にも大きく貢献したノルウェー人DFマリウス・ホイブラーテン(浦和)だ。自身初の海外移籍となったが、開幕から相棒のDFアレクサンダー・ショルツと鉄壁のセンターバックコンビを組み、高さ、速さ、強さといった身体能力に加えて、高い戦術眼と献身性を発揮して高レベルな守備を連発。人間的な魅力も含めて、チームに不可欠な存在となっている。まだ28歳。今後もできるだけ長く日本でプレーしてもらいたい選手となっている。

Jリーグ初のイスラエル人選手としても話題だったMFネタラヴィ(G大阪)の実力も本物だった。決してスピードがある訳ではないが、中盤の底で的確なポジショニングと確かな技術、球際の強さでボールを失わず、抜群のキープ力から長短織り交ぜたパスと推進力のあるドリブルで「中盤の核」となって働いている。体の頑丈さ、タフさもあり、年齢的にも27歳になったばかり。前半戦にチームが苦しんでいた際にも黙々と自らの仕事を続け、その姿を目に焼き付けているサポーターたちは「この男の笑顔が見たい」と思わせる存在になっている。

同じく今季加入したチュニジア代表FWイッサム・ジェバリ(G大阪)も、想像以上の優良助っ人ぶりだ。離脱期間もあってリーグ戦出場22試合で5得点3アシストと数字だけを見れば物足りないが、試合の中では最前線で抜群のキープ力、強くて柔らかいポストプレーで攻撃の流れを作っており、この男がいるといないとではチームが大きく変わってしまうほど存在価値を高めている。ポヤトス監督のポゼッションサッカーの中でのキーマンである。今季の残りシーズンだけでなく、もちろん来季以降も期待大だ。

その他、夏場になって“理不尽ゴール”を連発して能力の高さを見せているFWホセ・カンテ(浦和)、パワフルかつ切れ味抜群のドリブルで攻撃にアクセントを加えているブラジル人FWカピシャーバ(C大阪)、守護神としてビッグセーブ連発で奮闘を続けている韓国代表GKソン・ボムグン(湘南)も、間違いなく「アタリ」。豊富な運動量で攻守に奮闘しているMFユーリ・ララ(横浜FC)も評価したい来日1年目の選手だ。

その一方、「ハズレ」と言える新外国人も多いる。まだ巻き返すチャンスがあるとはいえ、身長193センチの超大型ストライカーとして注目されたFWフロート(柏)は出場16試合(スタメン7試合)で1得点のみ。チームの10番を託されたブラジル人FWカプリーニ(横浜FC)も出場14試合(スタメン6試合)で0得点2アシストと物足りないパフォーマンスだ。

また、開幕前から未知数だとされたブラジル人コンビ、MFダニーロ・ゴメス(新潟)とFWグスタボ・ネスカウ(新潟)も不満の残るプレーぶり。24歳のダニーロ・ゴメスはキラリと光るプレーもあったが、出場12試合(スタメン5試合)で1アシストのみ。23歳のグスタボ・ネスカウはそれよりも出番が少なく、出場8試合(スタメン1試合)でゴールに絡めていない。チームが残留争いに巻き込まれ、攻撃の核だった伊藤涼太郎が今夏に海外移籍したことで、この2人が真価を発揮してもらいたいところだが、現状では望み薄だ。

さらにチームの新守護神として獲得したはずだったGKヴァルネル・ハーン(京都)、ブラジルの年代別代表歴のあるGKフェリペ・メギオラーロ(神戸)はリーグ戦では出番なし。現役ケニア代表の30歳のDFアンソニー・アクム(鳥栖)もルヴァン杯では出場したがリーグ戦では出場機会がないまま秋を迎えようとしている。

今夏には、バフェティンビ・ゴミス(川崎)、そしてファン・マタ(神戸)といった大物助っ人が来日したが、果たして彼らが期待通りの働きを見せられるか。各チームとも「最後の力を振り絞る」、あるいは「今季の集大成」となる残り8試合。来季以降の契約もかかった来日1年目の外国人選手たちの働き注目だ。(文・三和直樹)

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