【番記者の視点】G大阪・ポヤトス監督も「美しいフットボール」と満足 進化証明した湘南戦の前半45分間

明治安田生命J1リーグ 第24節 G大阪2―1湘南(19日・パナスタ)

【G大阪担当・金川誉】前半のみで4失点を喫して大敗した前回対戦とは、まるで違う内容となった45分間だった。湘南相手に勝利し、ポヤトス監督は「前半は本当に美しいフットボールを全員で展開してくれたと思っています」と特に前半の内容を褒めた。酷暑の中、今季2度目の満員となった本拠地でつかんだ勝利に、満足そうな表情を浮かべていた。

「どうやって相手のファーストラインを越えるか」。司令塔のMF山本は、試合前から湘南戦に向けたポイントを挙げていた。2トップ2シャドーの4人で、G大阪の最終ラインに対してプレスをかける湘南に対し、自陣でボールを失うことが最大の懸念点。特にセンターバック(CB)からサイドバック(SB)への横パスがスイッチとなり、SBに強くプレスがかかる状況を避けたかったという。

その対策としてG大阪が準備した策があった。山本は「僕のサイド(G大阪の左)だと、康介君(小野瀬)が(プレスに)行く後ろからサイドに流れて、数的有利を作ろうと。そのために(左ウイングの)貴史君(宇佐美)には中に入ってもらって。(左SBの黒川)圭介が浮くので、そこまで見えると一気にはがせるシーンが多かった。そこで相手にスタートを切らせなかったことが前半はすごくうまくいった。僕もダワンも、サイドに流れることが多かった。引っかけられるとカウンターが怖かったけど、相手が出てくることができなくなっていたので、余裕を持って回すことができた」。この日は左ウイングの宇佐美が中にポジションを取り、入れ替わるように本来は中央に位置する山本が左サイドへ。ポジションチェンジによってマークのずれを生み出し、湘南の選手が「誰が誰のマークをみるんだ?」と迷う状況をつくった。

後方に迷いが生じれば、湘南の前線4人も背中が気になって矢印を前に向けることができず。結果、G大阪は強いプレスを受ける回数を減らし、相手陣内でプレーする時間を増やすことに成功した。ポヤトス監督は「インテリオール(山本、ダワン)の高さ調整がすごくうまくいった。相手はしっかりとプレッシャーをかけてくるので、出てきたところで空いたスペースを認識できたのかなと思っています。ダワン、(山本)悠樹のゲームを読む力が素晴らしかった。それに加えて、(宇佐美)貴史のタレント性、質も生きてスペースの認知を全員でできた」と賞賛した。さらにDF福岡が機を見て背後を狙う正確なロングボールを供給し、湘南が高いDFラインを敷くことに恐怖感を植え付けたプレーも、試合を優位に進めた要因の一つだ。

2得点はともにカウンターが起点だったが、その前段階として試合の主導権を握ったことが、試合前まで3連敗と“苦手”にしていた湘南戦の勝利を引き寄せた一因に。ミスから自滅して前半のみで4失点して大敗したアウェーでの試合(4月1日)後、「2度と起こしてはいけない試合をしてしまいました」と指揮官がつぶやいた日から140日。スタッフ陣が準備したタスクを、選手達が遂行してつかんだ勝ち点3。前節の横浜M戦で9試合ぶりに敗れ、仕切り直しとなった一戦でつかんだ勝利は、チームの進化をあらためて証明した。

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