「これがガンバのスタイルなんだ」。強さを取り戻す「唯一の選択肢」とは?【英国人の視点】

明治安田生命J1リーグ第22節、川崎フロンターレガンバ大阪が6日に行われ、3-4でガンバが勝利を収めている。前半戦に苦しんだ不調から抜け出したガンバは、強さを取り戻すために必要なことが何かを理解しているようだ。(取材・文:ショーン・キャロル

【動画】まさかの結末…川崎フロンターレ対ガンバ大阪

●中断明け初戦、川崎フロンターレに挑むガンバ大阪

7月末に行われた親善試合「ツアー」の無意味さを考えると、J1のサッカーが戻ってきたことは素晴らしいことだ。

リーグ戦が夏休みに入ってから20日後、「アジアのファンとの絆を深める」ために欧州の巨人たち(そしてクリスティアーノ・ロナウドが所属するアル・ナスルもそこに含めなければいけないという義務があるのだが)が大挙来日した。日本のトップリーグが大成功を収め、親善試合を装ったマーケティング活動より、本物のサッカーの方が優れていることを皆に知らしめることになっている。

国立競技場で川崎フロンターレがバイエルン・ミュンヘンのシャツを売るのに貢献したのを見たちょうど1週間後、私は実際のホームである等々力へ向かい、鬼木達監督率いるチームがガンバ大阪と対戦するのを観た。

シーズン序盤の14試合でわずか1勝(相手は川崎)しか挙げられなかったガンバは、5月末にアルビレックス新潟を3-1で破り、7試合負けなし、6勝を挙げて中断期間に入った。

試合開始から15分、彼らは中断前と変わらぬテンポでプレーしていた。川崎に問題を引き起こし、13分に石毛秀樹のゴールで先制したのは当然の流れだった。

脇坂泰斗のゴールで川崎は27分に同点に追いついたが、ガンバはそのわずか3分後に再びリードを奪った。石毛は前半のチームの特徴であった粘り強さを発揮し、ジョアン・シミッチに倒されてPKを獲得。イッサム・ジェバリはこれをミスなく成功させた。

41分には、高井幸大の衝撃的なバックパスからフアン・アラーノが冷静さを保ってチョン・ソンリョンをかわし、大南拓磨を振り切ってゴールに流し込む。ガンバはリードを2点に広げてハーフタイムを迎えた。

●ガンバ大阪の「プレーは成熟している」

ガンバは春頃にもがいていたチームとはまったく異なり、前半の45分間はほとんどすべての面で川崎を上回っていた。特に、ポゼッションの有無にかかわらず、インテンシティと自信の度合いは明らかに違っていた。

「まず、僕たちは新しいチームだと思う。だから、最初のうちはまとまるのが難しかった」と、ネタ・ラヴィは2023シーズンで出遅れたチームの立て直しについて語った。

「前にも言ったけど、最初のうちは勝たなければならない試合もあったのに、突然勝てなくなった。でも今は状況が本当に良くなってきている。試合はどんどん厳しくなっているから、この勢いを維持し続けなければならない。試合ごとに改善し、良くなっていかなければならない」。

チームメイトのジェバリも同じ意見だった。

「ネタが言うように、シーズン当初は新しい選手、新しい監督、新しいシステムだった。また、不運にも怪我人が出てしまった。でも今は、もちろんすべてのことがうまくいっているし、とてもいいチームになっている。プレーの仕方は成熟しているし、試合を終わらせる方法も知っている」

後半、川崎はガンバを長い時間追い詰め、71分と75分には交代出場の瀬川祐輔の素早いワンツーで同点に追いついた。

その時点で、ガンバは勝ち点1を守り抜こうとしても良かったが、ゴールを目指して最後の最後でもぎ取った。後半アディショナルタイムのセットプレーから、ダワンが高井を振り切ってゴールへ流し込み、南スタンドの一角に詰めかけたサポーターを熱狂させた。

●「単純なチームではない」ガンバ大阪の成長と成熟

「選手として、川崎フロンターレとアウェイで対戦するとき、前半を3-1で折り返したとしても、後半はより多くの選手がファイナルサードに攻めてくることは分かっていたはずだ」とジェバリはフロンターレの反撃について語った。「彼らは質の高さを見せていたし、簡単なゲームではなかった。後半は難しかったが、集中を切らさずに戦い続けたことが、チームの強さを示している」

「今、私たちはボールを回すだけの単純なチームではない。鋭いセットプレーやカウンターアタックがある。チームとして成長している。もちろん、まだまだ先は長い。我々はトップチームになりたいし、ガンバはトップチームだ。ファンの期待もわかっているし、チームを盛り上げるために、そして自分たちの居場所に戻るために、ここに来たんだ」

一方、ラヴィは、ハイエナジーで積極的なアプローチこそがガンバにとって唯一の選択肢であるという。

「サッカーでは最終的にゴールを多く決めた方が勝つ。攻撃的なサッカーをする必要があり、全員が攻撃に絡まなければいけない。これがガンバのスタイルなんだ」

フルタイムでのガンバファンのリアクション、96分間の激闘を終えたエクスタシーと一種の疲労と安堵は、ガンバのアプローチがもたらす喜びを証明している。中立的な立場の人にとっても、このゲームはサッカーが持ちうるすべてのものを内包していた。

有名人のツアーのことは忘れて、地元のスタジアムに足を運ぶ。これは両チームにとって本当に重要な試合なのだ。いつの間にか感動に巻き込まれ、引きずられている自分に気づくはずだ。

(取材・文:ショーン・キャロル)

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