【番記者の視点】柏“降格ペース”勝ち点12で前半戦終了「降格1チームのみ」に甘んじてはならない
◆明治安田生命J1リーグ▽第17節 横浜FM4―3柏(10日・日産スタジアム)
柏は不用意な退場で数的不利となった後半ロスタイムに2点を奪われ、悪夢の逆転負けを喫した。全34試合中17試合を終え、前半戦を2勝6分け9敗で折り返した。順位は18チーム中暫定17位。
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横浜FM相手に3得点、前節の札幌戦(4●5)と合わせて2試合で7得点という結果は素晴らしい。一方、2試合で9失点という数字は、サッカーチームとして致命的である。
この日の4失点は、立ち上がり、前半終了間際と、後半終了間際に2点。踏ん張りどころ、勝負どころで耐えられない。
立田悠悟の遅延行為による退場は理解に苦しむプレー判断だったし、3―3とされた直後は引き分けを良しとするのかどうか、チームとしての意思が統一されていなかったように見えた。勝ち点3を取れたはずの試合で、1ポイントも得られなかった。
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今季のJ1は、J2降格が1チームのみという特殊なレギュレーションで行われている。18チーム中、最下位のみが降格となる。
以下は、例年なら降格となり、今シーズンは残留ラインとなる「18チーム中17位」の近年の年間勝ち点である。18年が39(柏)、19年が31(松本)、20年が28(仙台)。20チーム制の21年を飛ばし、22年が33(清水)。
今季の柏は勝ち点12でシーズンの半分を終えた。年間で言うと勝ち点24のペース。数字上、「降格ペース」の成績での折り返しとなった。
もっとも、5月20日に就任した井原正巳監督にとって「神戸→鹿島(ルヴァン)→川崎→札幌→横浜FM」という上位勢との連戦はあまりに酷だった。
連戦中はコンディション調整も重要となるため、「井原流」を浸透させるだけの練習時間も確保できなかった。小手先での修正を余儀なくされていた。
リーグはここから代表ウィークによる中断期間に突入する。改善に着手し、井原監督のカラーを植え付ける期間としなければならない。
再開後のリーグ戦は新潟、FC東京、湘南、G大阪、京都と続く。全てJ1の2桁順位に沈むチームとの対戦だ。言い換えれば、残留に向けた「6ポイントマッチ」の連続である。
絶望的だった攻撃面が劇的に向上していることには胸を張るべきだし、失点が増えているからといって、個々のパフォーマンスが酷いわけではない。いかに得点力を下げないまま、組織としての守備力を改善できるか。いかにゲームをコントロールする術を身につけ、意思を統一できるか。「降格1チームのみ」というルールに甘んじてはならない。(柏担当・岡島智哉)